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クラスタ構成で「増設するほどスループットが向上する」NAS


Isilon IQとその内部。9台のHDDを搭載

Isilon IQシリーズの利用形態と従来のストレージとの違い

米Isilon社長兼CTO Sujal Patel氏
 テクマトリックス株式会社は、米Isilon Systemsと販売代理店契約を締結し、同社のデジタルコンテンツ向けネットワークストレージ「Isilon IQ」シリーズの国内販売を12月1日より開始した。

 Isilon IQシリーズは、各ストレージノード間をGigabit Ethernetで接続したクラスタを構成し、独自の分散ファイルシステム「Isilon OneFS」によってストレージを仮想的に1つのドライブとして利用できるのが特徴のNAS。保存されるファイルは各ノードに分散配置されるためノードを増設するほどスループットを加速することができる。ファイルの配置はノード増設時に約30秒ほどで自動的に行われ、ダウンタイムやアプリケーションの設定変更などを必要としない。

 例えば3ノードでスループット1.7Gbpsのシステムに1ノードを増設すると、従来のノードと新しいノード間で自動的にデータが再配置され、容量が増加するほかスループットが2.2Gbpsへ加速することができる。1つのクラスタとファイルシステムで最大32ノード(47.3TB)・20Gbpsまで拡張することが可能だ。米Isilon社長兼CTOのSujal Patel氏によると「パフォーマンス的にはSANと同等」とのこと。

 データ保護機能もファイルやフォルダーごとに重要度に応じて単純なポリシーを設定すれば自動的にRAIDなどの設定がされる。また、レプリケーション機能も備え、遠隔地にあるIsilon IQクラスタにあるデータをネットワークを通じて復元することができる。さらに、各社のバックアップツールなどとの検証も行っており対応を進めているという

 製品は1ノードあたり1.44TBの「Isilon IQ 1440(559万円)」と、2.25TBの「Isilon IQ IQ2250(759万円)」がラインアップされる。クラスタ構築には、Isilon IQ 1440を3機含めた「Isilon IQ 1440 Starter Edition」が998万円から。Patel氏は「通常のストレージは導入価格の3~7倍の運用コストが発生するが、Isilon IQシリーズはそれがほとんどかからない」と高い管理性によってTCO削減に効果的であることを強調する。

 Isilon IQシリーズが「デジタルコンテンツ向け」とされているのは、クラスタ構成によって1ファイルシステムでの大容量かつ高いスループットの実現が、比較的大きなファイルサイズや転送速度を必要とする映像や音声などのデータ保存に適しているためだという。

 米国などではテレビ局や映画製作会社などで採用実績があり、高解像度技術の普及により今後これらの業界でコンテンツ保存のデジタル化が急速に進むとされている。「2年前のオリンピックでは95%がフィルム保存だったが、今年は100%デジタルになった」(Patel氏)。米Yankee Groupの調査によるとデジタルコンテンツの保存容量は加速的に進み、2005年は前年比33%増になると予想されている。

 Isilonではこれらの業界に加えて、今後は研究開発、シミュレーション、医療分野などへ販売を拡大するとしている。


デジタルコンテンツの特徴 デジタルコンテンツを多く利用する業界と増加率


URL
  テクマトリックス株式会社
  http://www.techmatrix.co.jp/
  製品情報
  http://www.techmatrix.co.jp/isilon/

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( 朝夷 剛士 )
2004/12/03 18:36

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