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攻撃者もAIファーストになる時代、日本IBMの対策とは

 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は13日、最新のサイバーセキュリティ動向や、フロンティアAI時代における脆弱性リスクとその対策に関する説明会を開催した。

 まず、日本IBM 執行役員 コンサルティング事業本部 成長戦略統括事業部 サイバーセキュリティー事業 セキュリティー・ソリューション&デリバリー担当の藏本雄一氏は、最新のセキュリティ動向としてIBMの「X-Force Threat Intelligence Index 2026」から主要なポイントを紹介した。

 それによると、サイバー攻撃のうち、外部に公開されたアプリケーションを悪用するケースが全体の40%を占めているという。また、グループ企業や取引先といったサプライチェーンを狙った侵害が5年間で約4倍に増加しているほか、正規認証情報を悪用するケースが32%に達しており、「被害に気づくまでの長期化に拍車をかけている」と藏本氏は指摘する。

データ侵害のライフサイクル
日本IBM 執行役員 コンサルティング事業本部 成長戦略統括事業部 サイバーセキュリティー事業 セキュリティー・ソリューション&デリバリー担当 藏本雄一氏

 データ侵害のコストも上昇の一途をたどっている。IBMの「データ侵害のコストに関する調査レポート」2026年版によると、グローバルの全業種におけるデータ侵害の平均総コストは499万ドルで、前回調査から55万ドル増加。データ侵害が継続する期間も長期化の傾向にあり、「侵害に気づくまでに平均183日、気づいてから封じ込めるまでに平均64日かかっており、合計するとデータ侵害が継続する期間は平均247日にものぼる」と藏本氏は警告した。

 続いて、日本IBM 執行役員 兼 技術理事 テクノロジー事業本部 技術戦略本部の藤田一郎氏は、「AIの急速な進化に伴い、サイバー攻撃もAIファーストとなりつつある」として、「防御側においてもAIを活用した自動化や自律型エージェントの導入が不可欠だ」と強調した。

日本IBM 執行役員 兼 技術理事 テクノロジー事業本部 技術戦略本部 藤田一郎氏

 藤田氏によると、今年のCVE(共通脆弱性識別子)の公開数は想定を上回るペースで急増しており、「当初の予測は5万9000件だったが、6万6000件へと修正された。2030年には100万件を超えるとの予想もある」という。

 また、攻撃側がAIエージェントを用いてマシンスピードで攻撃する時代になっており、「ループエンジニアリングを活用した攻撃では、人間では数週間かかっていた攻撃が、10時間程度で完了したという報告もある」と藤田氏。さらに、オープンソースソフトウェア(OSS)の脆弱性を攻撃者がフロンティアAIを使って早期に発見し、悪用する懸念も高まっているという。

 これに対し、日本IBMでは以前から提唱しているセキュリティ対策フレームワークをベースにしつつ、AIエージェントを活用した自動化と高度化を推進している。

脆弱性対応高度化の進化

 そのひとつが、脆弱性管理ツールの「IBM Concert」だ。IBM Concertは、脆弱性のスキャン情報や環境情報、リスクファクターなどを組み合わせ、AIがリスク評価やトリアージを自動化し、AnsibleやTerraformなどの自動化ツールと連携して迅速な修復をサポートする。「IBM社内でも、自社のソフトウェア1390製品の管理にIBM Concertを活用し、リスク評価や迅速なフィックスを実現している」と藤田氏は明かす。

IBM Concert

 また、OSSのリスクに対しては、IBMとRed Hatが2026年5月に「Project Lightwell」を始動させた。これは、OSSの特徴であるソースコードが公開されているという点や、フィックスの提供がコミュニティに依存しているという課題に対応するもので、利用者が特定のOSSをフロンティアAIでスキャンし、CVEが公開される前に脆弱性を発見、CVEの公開前にフィックスを作成し提供するサービスで、「半年で400件以上の未知のJava脆弱性を修正した」と、藤田氏はその実績をアピールする。ネットワークレベルの仮想パッチの提供も準備中だという。

Project Lightwell

 最後に藏本氏は、セキュリティのライフサイクルをつかさどる自律型AIエージェント群を紹介した。それは、リスク評価を担う「IBM ARGO(Autonomous Risk Governance Orchestrator)」、防御を担う「IBM ADA(Autonomous Defense Agents)」、検知対応を担う「IBM ATOM(Autonomous Threat Operations Machine)」だ。これら3つのAIエージェントが連携し、自律的にシステムを守る仕組みが構築されるという。

 「攻撃がマシンスピードになってきた今、人手中心の防御では追いつかないため、脆弱性の発見からリスク評価、修復、監視、対応をAIで自動化する必要がある。IBMはこれまでに培ってきた実践知を基に、パッチ適用から自律型セキュリティに至るまで包括的に支援していく」と藏本氏は述べた。

自律型セキュリティエージェント