フォーステン、ネットワーク管理を自動化するオープンオートメーション構想を発表


米Force10 Networks マーケティング担当バイス・プレジデントのスティーブ・ギャリソン氏

 フォーステン・ネットワークス株式会社(以下、フォーステン)は4月13日、ネットワーク管理を自動化するオープンオートメーション構想を発表した。この発表に合わせ、米Force10 Networks マーケティング担当バイス・プレジデントのスティーブ・ギャリソン氏が来日し、オープンオートメーション構想に関する事業戦略説明会を開催した。

 今回発表したオープンオートメーション構想は、データセンターにおけるネットワークのパフォーマンスと効率性を自動で最適化し、クラウドベースサービスの基礎を構築するというもの。ギャリソン氏は、「今後、データセンターは、統合化から仮想化、クラウド・コンピューティング、そしてクラウド・ネットワーキングへと進化していく。しかし、その中で、仮想化から真のクラウド・コンピューティングに進むためには、ネットワークインフラを自動化することが必須要件になると考える。当社では、実際に大手データセンターの多くが、ネットワークの自動化で悩んでいることを把握しており、そのニーズに応えるのが今回のオープンオートメーション構想。来年には世界に正式公開する」としている。

 具体的には、同社の仮想化フレームワークをベースに、「FTOS(Force10 Operating System)」がオープンな方法でネットワーク自動化を実現する。同社では、オープンオートメーションを実現するため、「ハイパーリンク」と「スイッチリンク」という2種類のソフトウェア機能をFTOSに搭載したという。「ハイパーリンク」は、FTOSとハイパーバイザー間におけるリアルタイム通信を提供。例えば、VLANの再設定を1台もしくは複数のスイッチ上で、自動かつ同時に設定することができる。「スイッチリンク」は、FTOSと各種オーケストレーション・ツール間におけるリアルタイム通信を提供し、ネットワーク上に点在する仮想デバイスとの接続設定を自動で行う。

 また、従来、ネットワークの自動化を行うためには、新たな投資が必要となっていたが、オープンオートメーションはマルチベンダー環境に対応。これにより、マルチベンダー環境の既存データセンターでも、追加投資の必要なく各システム、サービスを、スムーズにオープンオートメーションフレームワークに参加させることができる。また、システムごとに行っていたネットワークの管理業務と構成作業を自動化できるため、従業員の生産性の改善と人的エラーの削減を図ることが可能となる。さらに、一般的なスクリプト言語と標準ベースのプロトコルを使用することで、顧客は既存の技術を活用でき、新たなソフトウェア開発やツールの習得は必要ないという。

 ギャリソン氏は、「現在の仮想化環境は、ネットワーク、ハイパーバイザー、仮想スイッチ、オートメーションミドルウェアがバラバラで動きながら、ベストプラクティスを構築している状態。オープンオートメーションは、サーバーセントリックによるオープンなネットワークオートメーションでこれらを統合し、コントロールする。これにより、現在のベストプラクティスの仮想環境を維持したまま、ネットワークの自動化を実現する。オープンオートメーションによって、多くのデータセンターが少ないリスクで真のクラウド・コンピューティングへ参入することができるだろう」と述べた。

オートメーションの分類オートメーションの階層オープンなネットワークオートメーション
フォーステン 代表執行役社長の権田裕一氏

 なお、説明会では、フォーステン 代表執行役社長の権田裕一氏が、日本市場における取り組みについても紹介した。権田氏は、「当社は、データセンターマーケットをターゲットに2002年に事業を開始して以来、10GbEのスイッチ・ルータ製品で業界を常にリードしてきた。2009年からはHPCおよびLANマーケットにもフォーカスを広げており、特にHPC分野では対前年比で売り上げ倍増を達成するなど、マーケットシェアを大幅に拡大している」と、国内市場での販売は好調に推移していると述べた。

 HPCおよびデータセンター分野向けの中核製品となるのがスイッチ・ルータ向け製品「Eシリーズ ExaScale」で、4月7日にはスイッチ・ルータ向けラインカードの新製品「ExaScale 40ポート 10GbE ラインカード」を発表したという。「新製品は、業界最高のポート密度となる40ポートの10GbEをサポートし、当社の仮想シャーシ型コアスイッチ・ルータ『E1200i(21RU)』に搭載した場合、1シャーシあたり最大560ポートの10GbEを実現する。適用事例による他社製品との比較では、380ノード(10GB)構成の場合、他社製品は5台必要なところを、新製品は1台でサポートすることができる。次世代のデータセンター管理者からの期待に応えられる製品だ」として拡販に意欲を見せていた。

 「ExaScale 40ポート 10GbE ラインカード」の価格は9万7500ドル(米国定価)で、2010年第2四半期より出荷開始する予定。

10年にわたりデータセンタにおける10GbEをリードスイッチ・ルータ「ExaScale」の適用事例ExaScale 40ポート 10GbE ラインカード



(唐沢 正和)

2010/4/13 17:46