北大の遠隔健康相談プロジェクトにシスコが参画、薬剤店に気軽な窓口を


店舗側のシステム構成

 シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は3月12日、株式会社ツルハとともに、北海道大学(以下、北大)の遠隔健康相談システムプロジェクトに参画すると発表した。地域の保健活動における取り組みを遠隔医療技術プラットフォーム「Cisco HealthPresence」で支援する。

 北大教授の小笠原克彦氏によると、「医師不足などにより地域医療に不安が高まっている。メタボ健診もスタートしているが、その検診結果をどう健康に結びつけていくかが課題で、介護用品についても情報源が少ないことから、いつでも看護職などに相談できる窓口が求められている」。そこで進められているのが、遠隔健康相談システムプロジェクトの「Health Network System」で、システム設計と実現に向けた実証実験が進められている。

 この実証実験にシスコが参画。Cisco HealthPresenceとNTTのNGNサービスを活用し、健康や介護に関する「安心感」を目指す。具体的には、テレプレゼンスとユニファイドコミュニケーションの技術を融合したCisco HealthPresenceを、調剤薬局併設のドラッグストア(ツルハドラッグ中標津東店、岩見沢大和店、札幌元町駅前店)に設置し、北大大学院保健科学研究院の保健師・助産師・看護師が詰める相談室と連結。設置対象店舗にはツルハのケアマネージャーを派遣し、3月6日から3カ月の間、実際に相談を受け付ける。

 北大は、同プロジェクトにおける基礎的な品質評価とビジネスモデル検証を担当。実際の利活用モデルについて北海道薬科大学、岩見沢市、ネットワンとも議論を深めながら、将来的にはヘルスケア分野での政策提案も見据えた基盤構築を目指すという。

 同プロジェクトで期待される、「どこでも」「誰でも」相談できる地域保険活動の推進。それ以外にも、気軽に利用できる窓口による市民の健康意識向上、医療ヒューマンリソースの有効活用法、医療連携フローの可視化、最適な窓口ブースの検証などを進めていく方針だ。


(川島 弘之)

2010/3/12 14:20