「総合力」と「安心感」の提供へ、テラデータ吉川社長が語る基本姿勢


代表取締役社長の吉川幸彦氏

 日本テラデータ株式会社(以下、テラデータ)は3月5日、Teradata Universe Tokyo 2010を開催。記者会見の場に代表取締役社長の吉川幸彦氏が登壇し、2010年度の方針などについて説明した。

 吉川氏はまず「2009年度は厳しい経済環境下だったが、比較的堅調に推移した」と振り返る。ハードウェア製品の拡充、「Teradata 13.0」「Teradata Relationship Manager 6.1」などソフトウェア製品の拡充をはじめ、DWH構築に必要な製品とサービスを包括した「Teradata Accelerate」や、流通向け分析パッケージ「Retail Template」など、導入の簡素化にも注力した1年だった。

Retail Templateの概要実際の画面。商品分析トレンド検索などリテール向けにあらかじめ最適化されたテンプレートが提供される

 市場でも活用ユーザー層は着実に広がっており、「本部と現場が同じデータを基に考え、行動する形が増加した。情報の鮮度と一貫性に対するニーズが増加したためで、業績把握とアクションの迅速性がますます要求されている。その一例が、刻々と変わるユーザーの行動からマーケティング施策を決めていくEBM(Event Based Marketing)で、より動的なさまざまな用途へ活用が広がっている」と吉川氏。

 2010年度もこの流れが続き、「部門最適な旧来システムの統合、EDW(Enterprise Data Warehouse)の実現、分析から行動を起こす時間の短縮などが強く求められ、分析力と俊敏性がますます重要になる」と市場展望を述べた。


DWHベンダーとして「総合力」と「安心感」を提供する

 こうしたニーズに対するテラデータの基本方針は、あくまで顧客自身のビジネスの競争力を強化することだ。「情報の一元化・リアルタイム化をさらに推進し、EDW/AEI(Active Enterprise Intelligence)実現へのプロモーションを強化していく。そのために2010年度もプラットフォームの拡充、新ソリューションの提供を継続し、金融・流通・製造・通信に加え、新たに運輸業界の支援にも乗り出す」(同氏)。

 製品の拡充については、今回、既存プラットフォームファミリーを一新し、分析クラウド「Enterprise Analytics Cloud」を発表した。近日中にはSSD搭載プラットフォームも投入し、ソフトウェアの新版も2010年後半にリリースする予定だ。

 分析クラウドも今回の、VMwareによるプライベートクラウド環境で開発・評価に使える「Teradata Express for VMware Player」、Amazon EC2上で開発・評価に使える「Teradata Express for Amazon EC2」を皮切りに、順次ラインアップを拡充するという。

SAPとの製品連携

 一方、パートナー協業も推進していく方針で、2年前のSASとの協業を強化するほか、3月3日にはSAPとの製品連携も発表された。BIソフト「SAP BusinessObjects Explorer」とインメモリデータベース「SAP NetWeaver Business Warehouse Accelerator」をTeradataデータベースで稼働させ、上述した市場の動向にマッチした迅速性に優れるソリューションを提供するためだ。

 販売パートナーに対しても2月より新パートナープログラムを開始し、「1)Teradataビジネスへの投資コストの削減、2)ビジネス獲得のためのパートナーサポート、3)Teradata製品の最新情報の提供の3点により、パートナーのベネフィットを最大化する」(同氏)方針も打ち出している。

 テラデータの優位点は、「多様なニーズに対応し、コストパフォーマンスに優れたハードウェア群と、OLTP処理がメインのOracle/IBM/Microsoft製品と違って、完全な並列処理を実現しリアルタイム性を追求したデータベースソフトを持っていること」「業態別にビジネスの課題を一緒に考え、業種別アプリケーションの開発も可能なDWH専門のコンサルタント・エンジニアを持っていること」「導入から運用まで万全のサポート体制を整えていること」(同氏)だ。これにより、DHWベンダーとして「総合力」と「安心感」を提供し続けることが、テラデータのミッションだとしている。





(川島 弘之)

2010/3/5 18:46