ラドウェア、柔軟な処理能力が可能なアプリスイッチ「Alteon 4シリーズ」

Nortelからの事業買収後の現状も説明

 日本ラドウェア株式会社は3月3日、カナダNortel Networksから買収したアプリケーションスイッチ「Alteon」のラインアップに、エントリーからミッドレンジに向けた「Alteon 4シリーズ」を追加すると発表した。第1弾として、「Alteon 4408」「同 4416」の両製品を提供する。参考価格は300万円弱から。

日本ラドウェアの代表取締役、秋元正義氏

 Alteon 4408/4416は、4Gbpsまでのスループットを提供可能なアプリケーションスイッチ。両製品では最大帯域によって、3~5段階の製品価格を設定しているが、同一製品ではすべて同じハードウェアを用い、ソフトウェアによって機能制限をかけていることから、ライセンスキーによってその制限を解除し、必要な容量をオンデマンドに増やしていける特徴を持つ。

 これは、従来の同社製品でも売りにしてきた機能を、Alteon製品群にも取り込んだもので、この機能によって、Alteon 4408は最小200Mbpsから、またAlteon 4416では最小1Gbpsから、必要に応じた柔軟な処理能力の増強が可能になっている。これについて、同社の代表取締役、秋元正義氏は、「他社では、アプリケーションスイッチで、ここまでの幅のオンデマンドに対応したものはない。これが当社の特異性だ」と述べた。

 インターフェイスは、Alteon 4408がMini GBIC×2、1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T×6を、Alteon 4416がMini GBIC×4、1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T×12を搭載。いずれも同時セッションは最大1200万セッション、レイヤ7スループットは最大13万5000TPSまで対応できる能力を持ち、従来製品と比べて2倍以上の性能向上が図られている。

新製品のうちAlteon 4416性能向上、機能追加をダウンタイムなしに行える従来製品と比べて、2倍以上の性能向上を実現した
Radwareの製品マネジメント担当副社長、Yaron Bielous氏

 また同日に行われた製品発表会では、イスラエルのRadware本社から、製品マネジメント担当副社長のYaron Bielous氏が来日し、同氏と秋元氏から、Nortel NetworksからのAlteon事業買収後の状況についても説明が行われた。

 秋元氏によれば、「2009年3月の事業買収後、ブランドを市場から消さないこと、現行製品については最低でも5年のサポート継続をすること、新製品を開発・提供することなどを確約した」とのことだが、今日発表したAlteon 4シリーズと、2009年11月に発表された上位製品の「Alteon 5シリーズ」は、この約束通りに新たに開発されたものだという。

 また、買収後にエンジニアの増員を行ったほか、エキスパートによる専任のTAC(Technical Assistance Center、サポート部門)を設立し、顧客対応を開始。顧客からもその対応を評価されているという。さらに、既存製品のソフトウェアについても、「買収後数週間のうちにバグフィックスのリリースを行ったほか、今後も四半期ごとにメンテナンスリリースを提供する」(Bielous氏)方針で、OSの次期バージョン「Alteon OS 27.0」では、Alteon 4シリーズ/5シリーズにアプリケーションアクセラレーション機能を追加するなど、機能強化も引き続き行っていくとした。

 この機能の提供は、「サーバーをオフロードし、なるべく多くのアプリケーションに対応可能にする」(Bielous氏)ことが目的。まずはSSLアクセラレーションから提供を始め、データ圧縮、キャッシュ、TCP最適化などにも対応する予定で、今回発表されたAlteon 4408/4416についても、ハードウェアのアップグレードなしに機能を利用できる。

買収後のサポート体制製品提供のロードマップアプリケーションアクセラレーション機能の提供を予定する

 国内でも事業買収に伴って、Nortel Networks日本法人から、ポストセールス要員を中心に3名ほどのスタッフが移籍。あわせて、日本ラドウェアの技術者や営業担当へトレーニングを実施し、ノーテル自体と比べても、質を落とすことなく提供できる体制を整えたとのこと。なお販売目標については、厳しい目標かもしれないが、と前置きした上で、「既存製品を含めたAlteon全製品で年間10億円の売り上げを達成したい」(秋元氏)と話している。




(石井 一志)

2010/3/3 17:13