沖縄クロス・ヘッドと日本HP、沖縄でのデータセンター事業で協業


沖縄クロス・ヘッドの代表取締役社長、新居昭生氏
協業の概要
日本HP エンタープライズストレージ・サーバー・ネットワーク事業統括 インフラストラクチャーソフトウェア・ブレード事業本部 事業本部長の正田三四郎氏

 沖縄クロス・ヘッド株式会社と日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は12月21日、沖縄における次世代データセンター向けのワンストップ・パッケージソリューションの提供について協業すると発表した。

 沖縄は大きな地震がない、他県と比べて若年層が多い、といった点や、県がITにコミットしており、通信コストの一部を県が補助する「新通信コスト低減化支援事業」など、さまざまな支援を提供していることから、データセンター、コールセンターなどを中心に、県内に進出するIT企業が増加している。

 沖縄クロス・ヘッドは、こうした情勢の中で、県内のデータセンター利用企業などへ、ネットワークの導入サービスや24時間365日の運用・監視サービスを提供してきた。また、香港と直結した沖縄GIX(グローバル・インターネット・エクスチェンジ)を利用すると、米国を経由せずに直接アジアとの接続が可能になることから、アジア向けのクラウドサービスの拠点としても沖縄をアピールし、今後のビジネスにつなげていきたいのだという。

 しかしその際に、「ハードウェア基盤は、プラットフォームビジネスの上で非常に重要。沖縄は、東京ほどたくさんのHWベンダーが事業をしているわけではない」(沖縄クロス・ヘッドの代表取締役社長、新居昭生氏)課題があった。そこで今回、「ハードウェアベンダーとして高い技術力を持つ日本HPの支援を受けながら、首都圏と遜色(そんしょく)ないサポートを受けられるようにした」(同氏)。

 具体的には、従来、日本HPが個別の企業ごとに提供している「データセンター事業者向けアカウントサービス」を、沖縄クロス・ヘッドを窓口として一括提供するようにした。これによって、「いちいち当社と契約を行わなくても、沖縄クロス・ヘッドの後ろにいるお客さまへ、期待に添ったサービスを提供できる」(日本HP エンタープライズストレージ・サーバー・ネットワーク事業統括 インフラストラクチャーソフトウェア・ブレード事業本部 事業本部長の正田三四郎氏)ようになる。

 両社ではさらに、ハードウェア製品から運用・保守サービスを包含したデータセンター運用モデルを沖縄で確立する考えで、沖縄県内のデータセンター事業者やそのユーザー企業はもちろん、首都圏やその他の地域で事業を展開する企業に対しても、競争力のあるデータセンター環境を提供できるとのこと。

 新居氏は、「クラウドといえば、米国のインフラを使えばいいという動向もあるが、これは逆に、今後のIT基盤は市場に隣接しなくてもいい、という実証でもある。沖縄は米国よりもアドバンテージを持ったクラウド基盤への対応が可能だ」とこの意義を説明した。

 なお沖縄クロス・ヘッドでは、最新のハードウェアおよびソフトウェアを用いて、検証環境「クラウドサービス アジア検証センター」を沖縄県のIT津梁パークに設置し、沖縄でのデータセンター運用を検討する企業向けに検証環境サービスを提供する予定。サービス開始は2010年4月を予定している。また日本HPでは、このセンターで検証した企業がスケールアウト型サーバー「HP SE2120」を購入する際に、価格を半額の18万9000円に割り引くキャンペーンも実施するとしている。


(石井 一志)

2009/12/21 15:36