「レガシー資産をWeb化、サービス化」-ソフトウェアAGが「ApplinX」の単体販売を拡大

間接販売も併用し、AS/400、iSeriesのユーザーを中心に販売

 ソフトウェア・エー・ジー株式会社(ソフトウェアAG)は11月30日、レガシー資産の有効活用を促進するツール「webMethods ApplinX」に関する製品説明会を開催。単品での展開を強化し、AS/400、iSeriesユーザーを中心に、新規顧客の取り込みを図るとの考えを示した。

Web化機能の概要
サービス化機能の概要
エミュレータ画面(左上)とWeb化した画面(右下)

 ApplinXは、レガシー資産の再利用を可能にするソフトウェアツール。レガシーシステムを利用する際には、端末エミュレータソフトウェアのライセンスを購入し、PCにインストールして使用することになるが、エミュレータのライセンス料金や、運用コストの負担が企業に大きくのしかかってくるという。また、他システムとの連携を図ろうと思っても、標準インターフェイスがないために容易に連携ができず、人手によって二重に入力したり、バッチ連携のためのシステムを開発したり、といった手間がかかってしまう。さらにレガシーシステムに手を付けようにも、設計書がない、技術者がいないといった理由によってブラックボックス化し、容易に実行できない、といった問題が立ちふさがる。

 しかしApplinXでは、レガシーシステムをWeb化する機能を備えているため、特に開発作業をすることなく、各クライアントPCがWebブラウザの画面からアクセスできるようになるほか、カスタマイズ機能を利用すれば、Webアプリケーションライクなルック&フィールに変更したり、複数画面に遷移していた画面を、タブ切り替えを用いて表示したり、といった変更を容易に実行可能。視認性、操作性の向上を図れるという。

 さらに、レガシーシステムのサービス化機能を備えており、「複数の画面遷移をサービスとして提供することで、人が入力するしかなかった、レガシーとオープンの二重入力の問題を解決できる」(シニアコンサルタント ウェブメソッドの坂本真吾氏)ことも、大きな特徴。画面遷移をサービス化して外部システムに提供し、そのサービスが呼び出されると、ApplinXが自動的に画面オペレーションを実行してくれるため、ユーザーの手間を大幅に軽減できる。しかしも「画面アプリケーションの『ラッピング』であるから、レガシーシステム側の変更は必要なく、簡単かつローコストの利用・連携が可能」(坂本氏)な点もメリットになる。

 こうした特徴を持つApplinXは国内で提供され、すでに200社ほどのユーザーがいるものの、従来は既存顧客への販売に限られていたという。しかしこれを単体で提供し、「特に全国のAS/400、iSeriesのユーザーへ業種を問わず展開するほか、その他のメインフレームユーザーも対象とする」(ソリューションコンサルティング ウェブメソッド バイスプレジデントの北村浩一氏)方針へ転換した。これにあたっては、直販を継続するのに加え、同分野に強い新たな販売代理店を獲得。1月からの1年間で2億円の売り上げを目指す計画という。

 「エンドユーザー企業にとっては、残っているソフトウェア資産の活用が緊急課題。ここに対して、ApplinXでエミュレータ保守を統合すると、保守費用が1/5程度になるという試算もあるし、トレーニング費用がかさむ、オペレーターや入力要員を削減できるメリットを提供できる。一方でリセラーは、不景気によってSIのビジネスチャンスが減少しているが、即応性のあるApplinXを提供することで、より上流工程に注力して存在価値を上げていけるだろう」(北村氏)。

 なお、ApplinXの最小構成は、20ユーザーで120万円程度からとなっている。




(石井 一志)

2009/11/30 17:57