ジュニパー新社長の細井洋一氏、「ネットワークのDNAがわき上がった」

国内でのエコシステムの構築を最優先に進める

 ジュニパーネットワークス株式会社(以下、ジュニパー)は11月11日、記者説明会を開催。米Juniper Networks(以下、Juniper) アジア太平洋地域 シニアバイスプレジデントのアダム・ジャッド氏と、11月1日にジュニパーの代表取締役社長に就任した細井洋一氏より、ネットワーク戦略に関する説明が行われた。

米Juniper アジア太平洋地域 シニアバイスプレジデントのアダム・ジャッド氏

 ジャッド氏はまず、Juniperがかかげている新しい概念、「NEW NETWORK」を説明した。ジャッド氏によれば、現在、インターネットのトラフィックが爆発的に伸びる中で、ビデオアプリケーションの登場と普及により、さらに大きな帯域が必要となることが想定されている。また、多くのデバイスがネットワークに接続されるようになっているし、アプリケーションをデバイスに提供するデータセンターとの間や、デバイス同士の間で、大きな接続能力がネットワークに求められるようになるという。

 そうした将来を見据えてJuniperが提唱する「NEW NETWORK」では、ネットワークにインテリジェンスが組み込まれる点が、現在のインターネットと大きく異なる点だ。ジャッド氏はこれを具体的に、「デバイスが接続した段階で、ユーザーが誰であるか、どのアプリケーションへアクセスしたいのかをネットワークが認識し、どこのデータセンターからデバイスへ提供するのかを見定め、確実にそれを送るためのQoSを担保する仕組みを用意する」と説明。そのために、現在のネットワークよりも高い接続性、信頼性、拡張性、セキュリティを提供するとした。

 そしてJuniperでは、このようなビジョンを実現するための第一歩として、10月30日(米国時間)に新たな製品群を一斉に発表した。ハードウェアでは第4世代のASIC「Junos Trio」を、ソフトウェアでは、オープンなJunosプラットフォームの拡張として「Junos Space」「Junos Pulse」を提供することを明らかにしている。また、データセンター内のネットワークを簡素化する「Stratus Project」を推進するとともに、パートナーとのアライアンスでビジネスを進めることを説明した。

ジュニパー 代表取締役社長の細井洋一氏

 続いて登壇した細井氏は、日本でもエコシステムの構築に力を注ぐことを表明する。Juniperでは、Junosプラットフォームをパートナーとともに強化し、ともにビジネスをできるような方向性を今回の発表で示しているが、細井氏も、「まず、日本で構築しなくてはいけないのがエコシステム。パートナーは、自分たちの価値を付加してエンドユーザーに提供したいという要望がある。当社では、パートナーが得意とする領域で、好きなように料理をして(ソリューションを)提供できるプラットフォームを持っている」という点を強調。「システムインテグレータ、ディストリビュータ、リセラーに対して、当社のテクノロジーをそれらのパートナーを通して、エンドユーザーへスムーズに提供できるよう、市場に働きかけていきたい」とした。

 なお細井氏は、ネットワークサービスを手掛けるバイテル・ジャパン(現エクスパダイト)や、ネットワーク・コンピューティングのビジョンを示してきたサン・マイクロシステムズに在籍。直前には、GPUを提供するNVIDIAで日本代表を務めていた経歴を持つ。こうした過去を振り返った細井氏は「NVIDIAでわかったのは、ジャッド氏も述べたように、GPUがつかさどっているビデオがネットワークに載ってきているということ。膨大なデータが行き来するネットワークには、セキュリティやスケーラビリティも大事だし、止まってはいけない堅牢性も必要になるだろう。そう思っていたときに、コンタクトがあって、ジャッド氏のパワーに押し切られた形だ。ネットワークサービスの会社にいて、ネットワークコンピューティングのサンにいて、ネットワークのDNAは持っていた。それがふつふつとわき上がってきた」と、就任に至った経緯を述べた。




(石井 一志)

2009/11/11 17:30