アボセント、データセンターを可視化する統合管理ソフト「AMIE」

KVMスイッチなどとの連携や変更管理も実現

 アボセントジャパン株式会社(以下、アボセント)は、データセンターの統合管理ソフトウェア「Avocent MergePoint Infrastructure Explorer(AMIE)」を8月3日に発売する。

 AMIEは、データセンター内における物理的なIT資産を可視化し、統合管理できるソフトウェア。データセンターの、どのラックに、どんな機器が収納されているか、どの機器とどの機器が接続されているかを登録しておくと、「床荷重に対してどのくらい余裕があるか」「あるラックにどのくらい消費電力の余裕があるか」などの状況を、電力/スペース/重量/熱力といった観点から可視化することができる。

 また、データセンターのフロア全体を見るプランビュー→ラックビュー→デバイスビューといったように、ドリルダウンしてラックやデバイスの状況を確認できるだけでなく、「どのポートの先には何がつながっているか」といった状況を見るコネクションビューも確認可能。状況は、数値での確認はもちろん、カラー表示によって、わかりやすく状況を見る機能も備えた。

データセンターのフロア全体を見るプランビューラックビュー
コネクションビューカラー表示によって、わかりやすく状況を表示することもできる
シニアセールスマネージャーの瀧澤寛氏

 シニアセールスマネージャーの瀧澤寛氏は、データセンターの現状について、「平均2.6倍のコスト超過状態だという調査会社のデータがあり、2~3割のコスト削減が可能だ」という点を指摘。「日本のデータセンターの多くはできてから20~30年経過しているところが多く、ファシリティ的にも電源的にも不足気味になってきているので、より効率よく管理をすることが求められている」とし、そのためにAMIEが貢献できるとアピールする。

 そのAMIEでは、内部に4000以上のデバイスのライブラリを格納しており、各デバイスのパーツをラックビューの中で張り付けることで、実際のラックと同じ構成を、手間をかけずに登録していくことが可能。消費電力や大きさ、重量などはライブラリのカタログスペックをベースに算出する仕組みになっており、管理者は状況を簡単に確認できる。もちろん、ユーザー自身が数値を修正することもできるほか、サーバーなどのハードウェア本体だけでなく、NICなどのオプション製品もライブラリに登録されているので、機器の構成も現実と同じようにできるという。

 加えて、複数のフロアやロケーションをまたがって特定の資産を検出する機能も搭載。データセンター情報はExcelやPDFファイルに出力することもでき、オンサイトで特定のラックを確認する、といった手間を極力減らせるという。さらに、大本のデータと差分データを保存する仕組みにより、現在だけでなく過去の特定時点での状況を再現することも可能。変更管理に利用したり、ある部分を変更した際にシステムにどういった影響を与えるか、といった事前シミュレーションに利用したりすることも可能だ。

 マネージメントシステム部 エンタープライズセールスエンジニア マネージャーの長谷川和宏氏は、「ロールの割り当て機能によって、変更計画の作成、検証、承認を別々の人間に担当させれば、変更管理を適切に行える。将来的には、そのワークフロープロセス自体をAMIE上で行えるようにする予定もある」とした。

 なお、これまでアボセントでは、アナログ/IPのKVMスイッチやシリアルコンソールサーバー、電源管理サーバーといったハードウェア製品や、それを統合管理するソフトウェア「DS View 3」などを提供してきた。AMIEでも、これらとの連携を実現しており、ラックビューやデバイスビューからKVM、シリアルの操作画面を呼び出したり、電力消費状況をモニタリングしたり、といったことを行える点もメリットである。

変更管理にも対応するコネクションビューからシリアル操作画面を呼び出したところ電力管理製品との連携で、電力消費状況のモニタリングも可能

 AMIEの対応プラットフォームはWindowsとRed Hat Linux。管理者は、Webブラウザ経由でサーバーにアクセスして利用するが、ログイン時のユーザー認証は、ADやLDAPとの連携にも対応する。

 「今後、クラウドが主流になるなど、サービスの提供形態が変わっていく可能性があるが、形態は違っても物理的なものは残る。そこでは、管理を集約・仮想化して、サービス化していくことが重要になるだろう。当社のDS view 3で管理は集中化できたので、今後はデータセンター全体にそれを広げていく。国内でも、うまくニーズにあった形で提供していきたい」(瀧澤氏)。

 なお、AMIEのライセンスとしては、無期限の使用権である「パーペチャアル」と、1年のみ利用可能な「サブスクリプション」が用意されており、各企業は、自社の使用形態に適したライセンスを選択可能である。価格はオープンとなっている。


(石井 一志)

2009/8/3 11:00