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ブロケードが提供する「DCX」バックボーン製品の価値とは?


Brocade DCX Backbone

システムエンジニアリング統括部長、小今井裕氏
 企業のビジネスを支えるデータセンターを有効に活用するために、現在では、高い可用性や柔軟性、自動化による管理コストの削減などが求められるようになった。ブロケードコミュニケーションズシステムズ株式会社(以下、ブロケード)では、データセンターの革新を推し進めることを戦略の1つとして掲げているが、このテーマを実現するための効果的な武器として、バックボーン製品「Brocade DCX Backbone」(以下、DCX)を発表している。今回は、この新製品の位置付けを、同社のシステムエンジニアリング統括部長、小今井裕氏に聞いた。

 現在のデータセンターでは、仮想化技術が各領域で採用されるようになっており、アプリケーションやサーバーハードウェア、ストレージのプール化が可能になってきている。しかし小今井氏は、「(仮想化によって)1つの筐体へ複数の機能を押し込んでいくだけでは、管理者の求めに応えられない。サーバー統合とストレージ統合のシナジーを最大限にするためには、その間を取り持つインフラが必要であろう」と指摘する。また、企業の負担を少なくするために、既存の資源をいかに有効活用できるか、ダウンタイムなく導入できるか、といった点も重要な要素。ブロケードではこれらの要求に応えていくために、次世代データセンターのためのリファレンスとなる「Brocade Data Center Fabric」というアーキテクチャを掲げ、その実現に向けて前進している。

 その中心となる構成要素として発表されているのが、DCXだ。これは、「既存インフラの延長線上で、新しいプロトコルや接続性を提供するもの」として位置付けられており、単なるダイレクタ(大型スイッチ)とは一線を画しているという。その特徴は、マクデータとブロケードという2社の技術が活用されていること。小今井氏は、「今までブロケードが培ってきた信頼性や効率性と、マクデータが持っていた、FICONなどで蓄積されたより高い信頼性をミックスするなど、両社の統合によって可能になった」とアピールする。

 具体的な利用シーンとしては、「当社のBrocade 48000や、旧マクデータのMi10Kといったダイレクタを接続し、ファブリックサービスやネットワークサービスを集約する」(同氏)ような使い方を想定する。これが、この製品がダイレクタと一線を画するとされている最大の理由。主に遠距離スイッチ間リンク(ISL)で利用される10Gbps FCを除くと、現状でもっとも高速な8Gbps FCをフルサポートすることで、より大きなインスタンスやアプリケーションを1筐体にまとめたとしても、バックボーンがボトルネックにならないように配慮した。


 インターフェイスは、1つの筐体へ8Gbps FCポートを384基収容できるほか、2つの筐体を接続して1つの製品であるかのように動作させること可能で、2筐体合わせて最大768基の8Gbps FCポートを収容可能なスケーラビリティを備えた。それを支えるコア帯域幅は、実に12Tbpsにもおよぶ。さらに1/2/4/10GbpsのFCや、iSCSIやFCIPといったIP SANプロトコルにも対応するほか、「この先、サーバーとストレージだけでなく、サーバー間通信のプロトコルもサポートする必要がある」との姿勢から、現在実用化に向けて動いているData Center Ethernet(DCE)と、その上でFCプロトコルを走らせるFC over Ethernet(FCoE)にも対応予定で、数多くの接続をサポートする「バックボーン製品」としての展開を図っていく。

 加えて、インテリジェントな機能をSANへ提供する「アダプティブ・ネットワーキング」についても拡張していくという。例えばQoSは現在、DCX同士の通信へ3段階のキューを設定できるだけだが、今後はサーバー側のHBAとの対応を進めてファブリック側がアプリケーションの特性をより理解するようにし、それに応じて、暗号化や帯域幅管理といった付加価値をアプリケーションごとに提供できるようにする計画を示した。

 米国ではこのようなDCXの特性を生かし、ブレードサーバーによる仮想サーバー統合環境のバックボーンや、メインフレームとオープンシステムのバックボーン統合などで利用が開始されているとのこと。また、DWDM(高密度波長分割多重方式) MANを挟んでDCXを対向させ、SANのシームレスな拡張を実現した例なども出てきており、ますます活用の幅が広がるとしている。



URL
  ブロケードコミュニケーションズシステムズ株式会社
  http://www.brocadejapan.com/

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  ・ 米Brocade、データセンター統合を支援する次世代スイッチ「DCXバックボーン」(2008/01/23)


( 石井 一志 )
2008/03/04 17:46

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