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ClouderaがMicrosoftとの提携拡大を発表 PaaS製品「Cloudera Altus Data Engineering」がAzureに対応
2017年11月8日 10:25
Cloudera株式会社は7日、マイクロソフトとの提携を拡大し、Microsoft Azure向け「Cloudera Altus Data Engineering」のベータ版を近日中に提供開始すると発表した。同日に行われた記者発表会では、ワールドワイドでのClouderaのビジネス概況とマイクロソフトとの提携拡大の狙いなどについて説明した。
「Cloudera Altus Data Engineering」は、エンタープライズグレードのClouderaディストリビューションを元に構築されたPaaS製品。これによりエンジニアは、オンデマンドのクラウドインフラストラクチャを使用して、データパイプラインを迅速に構築・運用することができ、データドリブンの高度なアプリケーションに対応することが可能となる。今回、同製品がAzure環境に対応することで、使い勝手に優れ、統一感のある、エンタープライズ対応のデータエンジニアリング体験を実現するとともに、エンドユーザーに対してはクラウドインフラストラクチャのプロバイダの選択肢を拡大する。
米Cloudera アジア太平洋および日本担当バイスプレジデントのマーク・ミカレフ氏は、マイクロソフトとの提携拡大にあたり、同社のワールドワイドにおける事業概況を説明。「当社は2008年に創業し、現在は社員数1600人を超え、世界28か国でグローバルチームがビジネスを展開している。オープンなパートナーネットワークによって、パートナー企業は3000社以上に達しており、巨大なエコシステムが構築されている。過去4年間でGlobal 8000の顧客数は48%増加し、銀行やテレコム、公共、ヘルスケア、テクノロジーなど幅広い業界において大規模企業での導入が加速している」と、好調にビジネスが推移しているという。ビジネス戦略の方向性については、「『顧客洞察力(インサイト)の強化』、『製品とサービスの接続によるIoTの実現』、『包括的なビジネスの保護』の3つにフォーカスし、データをビジネスのコアにしているさまざまな顧客を支援していく」との方針を示した。
今回、マイクロソフトとの提携を拡大する狙いについて、米Cloudera 最高技術責任者(CTO)のアマー・アワダラ氏は、「当社は、機械学習のためのエンタープライズプラットフォーム『Cloudera Enterprise』を主力製品として展開。この製品では、コアサービスにデータサイエンス、アナリティクス、オペレーショナルデータベース、データエンジニアリングの機能を統合しており、Cloudera shared data experience(sdx)アーキテクチャによって、俊敏かつアジャイルにデータを活用することができる。また今年、エンタープライズのためのセルフデータサイエンスを実現する『Cloudera データサイエンスワークベンチ』を新たにリリースした。これらのIaaS製品は、すでにAzureなどあらゆるパブリッククラウドに対応しているが、今回のマイクロソフトとの提携拡大により、PaaS製品の『Cloudera Altus Data Engineering』についてもAzure対応を進めていく。これによって、ユーザーはクラスタを全く意識することなく、Azureのネイティブストレージとして活用できるようになる」と述べた。
具体的には、Azure環境の「Cloudera Altus Data Engineering」では、データパイプラインの開発・運用を簡素化することで、データエンジニアリングのワークロードにフォーカスしつつ、時間のかかる複雑なインフラの管理・運用を削減できるという。また、データ分析向けのハイパースケール・クラウドストレージシステム「Azure Data Lake Store(ADLS)」上でデータレイクをホストし、Azureのインフラ容量をオンデマンドで利用することで、エンドユーザーのセルフサービス機能に対応できる。さらに、計算リソースとストレージを分離することで、ADLSはリソースのスケーリングを独立して行うことができ、要求の厳しい顧客の利用にも対応可能となる。
米Microsoft Corporation Field Marketing Strategy WorldWide Cloud&Enterprise OSS Business Lerdの石坂誠氏は、発表会で、「現在、Azureのバーチャルマシンの40%以上がLinuxとなっている。特に、新規のバーチャルマシンについては、Linuxのほうが上回っている。そして、Azureのトップクラスユーザーの多くがLinuxバーチャルマシン上でClouderaを活用しているのが実情だ」と、すでにAzure上でCloudera製品の活用が進んでいることを強調。導入事例として、顧客インサイト強化の用途でアデコ、IoTの用途でコマツ、ビジネス保護の用途で世界トップクラスのカード会社でCloudera on Azureが活用されていることを紹介した。
Clouderaとの提携拡大については、「マイクロソフトでは、オープンソースへのアプローチとして、パートナー企業のOSSをAzureのバーチャルマシン上で迅速に利用可能にすることに加えて、パートナー企業とのインテグレーションの取り組みも進めている。今回のClouderaとの提携拡大による『Cloudera Altus Data Engineering』のAzure対応は、このアプローチになる。当社とClouderaが協力して、オープンプラットフォーム全体をマネージすることで、顧客がコアのビジネスにフォーカスできるようサポートしていく」との考えを述べた。