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ブレードサーバー戦略を探れ -メーカーは何を目指すのか-

第二回・富士通 管理ソフトと共に新製品を提供


 富士通は、ブレードサーバーの新製品「PRIMERGY BX600」を投入し、フロントエンドだけでなく、アプリケーションサーバーやデータベースサーバーとしてブレードサーバーを活用するビジネスを本格的にスタートする。これまで販売していた製品も、「IDCでの利用よりも、企業の中でビジネス用途に活用されることが多かった」のだという。今回、新製品によって本格的にビジネス向けにブレードサーバーを提供することとなった。


大規模システムだけでなく小規模システムでも採用

サーバシステム事業本部 IAシステム事業部長 増田 実夫氏
 「発表会の席では、販売目標数について質問は出なかったが、BX600については今年度2,000枚を販売目標数としている」--富士通のサーバシステム事業本部 IAシステム事業部長・増田実夫氏はこう説明する。

 同社がブレードサーバーを最初に発表したのは2002年だが、その時点では主な用途をIDCのフロントエンドサーバーとして利用されると想定していた。しかし、実際に販売してみると、フロントエンドサーバーではない用途での利用が多かった。

 「導入例を見ると、業種などに偏りなく、IAサーバーのユーザー層とほぼイコールという感じだ。社内に分散していたサーバーを統合管理する際に、(従来モデルの)BX300を利用している」(増田事業部長)。

 ちょうど、ブレードサーバーの登場が、社内にあるサーバーの統合、それに伴う集中管理というニーズが顕在化したタイミングであり、「そのために、ブレードサーバーを導入する企業が目立った」(サーバーシステム事業本部 IAシステム事業部・木村敏幸・プロジェクト部長)という。

 社内のあちこちに分散していたサーバーを統合する際、省スペース、省エネルギー、さらにサーバー自身の能力アップを目的にブレードサーバーに切り替えた企業が多かったようだ。

 ラックサーバーと比較されることも多いが、将来の増設のしやすさはブレードサーバーがラックサーバーに勝っている。「将来増設も可能なので、最初は小さいところからと考えて、小規模でもブレードから始める例も少なくない」(プラットフォームソリューションセンター プロダクトマーケティング統括部 PRIMERGY部・野澤信之部長)と大規模システムばかりでなく、小規模システムからブレードの利用が始まっている。

 利用するブレードの枚数も、「ユーザーごとに千差万別ではあるが、最も多いのが8枚から10枚程度」(増田事業部長)と、ブレードサーバーからイメージされる枚数に比べると、その規模は案外小さい。数百台、数千台のサーバーとまではいかなくとも、10台程度のサーバーを統合する際に、ブレードを検討するというのが、富士通のユーザーの導入スタイルである。


今年5月の新製品では基幹システムでの利用を視野に

 こうした実際の需要をかんがみて商品設計されたのが5月20日に発表になったBX600である。

 BX600は、高さ7Uのシャーシに、インテルのXeonプロセッサの3.2GHzもしくは3.06GHzを搭載したサーバーブレードを、最大で10枚まで搭載可能。フロントエンドサーバーとしての利用だけでなく、アプリケーションサーバー、データベースサーバーとしての利用も想定している。

 「今回、OSやアプリケーションを一括インストールする『Systemcast Wizard Professional』、ハードウェアと共にリソースを仮想化して、運用管理を統合する『Systemwalker Resource Coordinator』、ストレージを統合管理する『Softek Storage Cruiser』をあわせて提供することで、システム運用を容易にし、さらにコスト削減を実現したことが大きなポイント」(木村部長)

 こうした管理ソフトも含めて新製品の発表を行い、「他社もブレードサーバーを提供しているが、構造も違えば、ターゲットも違っている。当社では、基幹システムまでブレードサーバーを利用することは可能だと考えており、そのためのサーバーの集約、さらに業務の効率をあげることができる、システムとしてブレードを提供していく」(増田事業部長)と、システムとしてのブレードサーバーという点にこだわりを見せる。

 ブレードサーバーによって、「各業務ごとに利用するサーバーを分け、そのかわり管理は統合して行うというスタイルであれば、サーバー管理者の負担は大幅に軽減されるだろう」(野澤部長)とブレードサーバーならではの使い方を提案する。


システム提案ができることが大きな強みに

 現在、IAサーバーはスペックだけ見れば各社大差はなく、価格だけを比較されることが多い。だが、「ブレードサーバーは、システムで提案する商品」というだけに、単に価格だけでなく、メーカーごとに商品の特徴が異なっている。

 「要は、どういうソリューションを提供できるのかというのが、ブレードサーバーのポイントとなってくる。そこで当社では運用まわりのソフトをそろえ、さらにはXMLデータを並列処理によって検索するソフトウェア『瞬索』によって、データ検索のニーズをキャッチするといった具合に、ソリューションのひとつとしてブレードサーバーを提案している。データ検索は、文書の電子化によって新たにニーズが生まれる分野であり、実際に富士通社内の電話帳を瞬索で検索できるようにしたところ、驚くほど速く検索ができるようになったという実例もある」(野澤部長)

 こうしたソリューションが充実してきたのを受けて、「今年度のシステム提案では、ブレードサーバーを前提にした提案を増加させていきたい」と増田事業部長は自信を見せる。

 「サーバーの導入は、運用部分まで考えて導入するべきと考える企業が増加している。サーバーは、製品のコスト以上に、メンテナンス、運用にコストがかかるもので、その部分をどう対処するのかということに、メーカーとしての真価が問われる。TCO削減に寄与することができる当社のブレードサーバーを評価してもらいたい」(増田事業部長)



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/

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  ・ 富士通、一般企業の基幹業務向け2Wayブレードサーバーを発表(2004/05/20)


( 三浦 優子 )
2004/06/02 00:00

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