SAPジャパンでは、「SAP R/3の用途が、従来のように会計にとどまらず、人事、生産、物流と幅広くなっているのと呼応して、サーバー側のパフォーマンスアップが必要となり、64ビットサーバーの必要性が増している」と説明する。また、インテル、マイクロソフトの3社で共同プロモーションを行っていることもあって、プラットフォームとしてはWindowsが先行しているという。SAPのソリューションに、64ビットサーバーとWindowsを選択するユーザーが増加している要因はどこにあるのだろうか。
■ リアルタイム処理にはサーバーの高いパフォーマンスが不可欠
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アライアンス本部、竹田邦雄バイスプレジデント
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「5年前であれば、ベストブリード、つまり各社のソリューションを寄せ集めて作っていた業務システムが主流だったが、最近ではユーザーが望むのは生産、物流などがリアルタイム処理できるシステム。かつてのバッチ処理のように、データを貯めて処理するシステムであれば、ベストブリードモデルでも十分に対応できるが、リアルタイム処理となるとすべてSAPのシステムで統一した方が親和性が高い」
SAPジャパン・アライアンス本部の竹田邦雄バイスプレジデントは、ユーザーの指向が、各社のソリューションを組み合わせて作り上げるスタイルばかりでなく、すべてSAPのもので統一することを望むユーザーが増加してきたと指摘する。
SAPのソリューションといえば、会計がまず浮かぶ。R/3イコール会計ソリューションと考える人も多いのではないか。
しかし、最近では、「SAPのソリューションは会計だけにとどまらない」という。
「人事、生産、物流といったソリューションでも、当社のソリューションを利用する例が増えている。また、業種の実例でいえば、製薬業界のトップ10社はすべてSAPユーザーだ。従来、製薬業界といえば、リベートの支払いが不可欠となるため既存アプリケーションでは対応が不可能とされてきた。しかし、複雑な製薬業界でさえ、当社のソリューションを利用するようになってきている」
こうした用途の拡大に呼応するように、64ビットサーバーの必要性が生まれているのだという。
「最初に話した通り、リアルタイム処理になると、高いパフォーマンスが必要となり、当然、サーバーもパワーがあるものが求められるようになる。SAPのソリューションの幅が広がっていくのと同時に、高い性能を発揮できるIA64のサーバーの必要性が増している」
具体的なソリューションでいえば、サプライチェーン、データウェアハウス、トランザクションの多い販売といったソリューションは、64ビットを必要とするユーザーが多い。
■ RISCよりもIA64を評価するユーザーも増加
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プログラムマネジメントグループアライアンスマネジメント、渡邊周二テクニカルマネージャー
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しかし、64ビットサーバーは、すでにRISCベースのサーバーが存在する。RISCサーバーではなく、IA64サーバーを比較するとどうなるのか。
SAPでは、RISCとIA64を比較した場合、次のような優位点があると指摘する。
(1)MIPS、ALPHA、HP-PAはすでに、end-of-liveを既にアナウンス
(2)すべてのメジャーなOSとデータベースが適用可能
(3)アプリケーションは64ビット化の傾向
「RISCの64ビットサーバーと比較しても、x86ベースの64ビットサーバーの方が将来性も高い。しかも、RISCサーバーを選択した場合は、特定ベンダーにしばられるのを嫌うユーザーは、プラットフォームを自ら選択できるIA64ビットサーバーを選択したいと考えるケースが増えている」(プログラムマネジメントグループアライアンスマネジメント・渡邊周二テクニカルマネージャー)
■ 高いWindowsの割合
SAPのソリューションを利用するユーザーにおいて特徴的なのは、「IAの64ビットサーバーに、Windowsという組み合わせのユーザーが多い」(渡邊テクニカルマネージャー)ことだ。
「もともと、プラットフォーム別状況を見ても、2003年1年間ではパートナーも含めたOSシェアではWindowsが73.0%、ユーザーだけでも61.8%がWindowsで、UNIXよりもWindowsの割合が高い。累計のインストールベースとしても、Windowsが5割を越え、イメージ的にはSAPユーザーはUNIXプラットフォームが多いと思われるかもしれないが、実情はこの1、2年で大きく変わってきている。それだけに、64ビットサーバーについてもプラットフォームとしてWindowsを選択するユーザーの方が多い」(竹田バイスプレジデント)
オラクルを利用するユーザーが、圧倒的にHP-UXをプラットフォームとして採用していることとは対照的な結果である。
もっとも、数ではWindowsが先行するものの、大規模システムとなるとUNIXが依然優位である。IA64サーバー+Windowsという選択をするユーザーが期待するのは、「UNIXに比べ低価格でありながら、信頼性をもっていることに対する期待」だという。
特にSAPは、「Itaniumのスペックを評価する際のベンチマークとなるのが当社のシステム。パフォーマンスについては、実証済み」となる。
それだけに、「企業でも評価段階を終えて、富士写真フィルムのように導入事例が増加している。この後、運用管理ツールなどが64ビット化されることで、2004年以降は導入が加速していくのではないか」(竹田バイスプレジデント)という。
また、Linuxについても、「欧米では導入例が出ているものの、日本はそれに遅れていた。UNIXユーザーの移行が用意であることから考えても、そろそろ日本でも導入が始まるタイミング」と、LinuxベースでのIA64サーバーの導入も、今年が本格スタートとなる見込みだ。
■ URL
SAPジャパン株式会社
http://www.sap.co.jp/
( 三浦 優子 )
2004/01/28 00:00
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