Itaniumの特徴のひとつに、ヒューレット・パッカード社のRISCチップであるPAシリーズの技術が搭載されていることをあげることができる。この特徴を生かしたサーバービジネスを行っているのがNECである。NECでは、Itanium 2搭載サーバーとして、Windows Server 2003に対応した「Express5800/1000シリーズ」、および科学演算向けの「Linux」および「HP-UX 11i v2」に対応した「TX7シリーズ」、そしてUNIXサーバー「NX7700シリーズ」とプラットフォームごとに3つのサーバーラインをもち、ユーザーの要望に応じて製品を売り分けている。
■ ソース互換があってもソフト揃い本格化するUNIXビジネス
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マーケティング本部サーバビジネス企画本部 グループマネージャーの西岡浩氏
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Itanium 2搭載サーバーとして、3つの製品をもつNECだけに、各製品ラインごとにターゲットも明確だ。
NX7700シリーズは、従来PA RISCを利用してきたユーザー向け。Express5800/1000シリーズはWindowsを利用しているユーザーの中でメモリが上限まできて利用の際に不自由を感じているユーザー。そしてTX7シリーズは科学技術計算向けである。
このうち、NX7700シリーズについては、「ユーザーからすれば、Itaniumはパソコンからの発展系として捉えているのかもしれないが、NECとしてはNX7000シリーズ、NX7700シリーズについては、RISCでやってきたビジネスの置き換えを考えている」と、NEC・マーケティング本部サーバビジネス企画本部・西岡浩グループマネージャーは説明する。
PA RISCとItaniumはソース互換をもっている。だが、「比較してもらえばわかるが、性能は明らかに違う。それはアーキテクチャが違うからで、Itanium 2のベースになっているEPICアーキテクチャは今後さらに性能拡張が進んでいくものであり、将来性という面ではItaniumが勝っている」という。
とはいっても、現在動いているPA RISCを搭載したサーバーすべてを即置き換えることが可能なわけではない。まず、問題となるのがアプリケーションの対応である。
現在のところ、オラクル、BEA、SAPといった主要メーカーのソフトは揃ってきた。「2001年にItanium搭載サーバーを発売した時点では、ビジネス用ソフトはほとんどなく、科学技術計算用に絞り込んで販売していた」ことを考えると、大幅に環境は整いつつある。
「細かなソフトで、どうしてもこのソフトがなければ駄目だというお客さんの要望まで答えられているとは言わないが、通常の要求であればほぼクリアできたといえるくらいソフト類が揃ってきた」
もちろん、PA RISCの場合の方が、多くのソフトを選択できることは確かだが、最低限必要なソフトはItaniumでも揃っている。「あとは時間をかけて、ソフトの品揃えを増やしていくしかない」
もうひとつの問題点は、UNIXビジネスとパソコンビジネスでは、稼働を保証する期間がまったく違うことだ。HP-UXをプラットフォームとした場合、「10年間は動作を保証するのがNECとしての責任」となる。つまり、「メインフレームユーザーにとっても違和感のないサポート体制を作り上げること」が必要となる。これは、従来のx86アーキテクチャにはなかった長期間のメーカーコミットであるが、エンタープライズビジネスを標榜する上では欠かせない要素である。
■ 当分は32ビットとの併存となるWindows
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事業部製品技術部 技術マネージャーの高木均氏
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一方、Windowsをプラットフォームとしたビジネスの進捗状況はどうなっているのか。
64ビットに限らず、32ビットについても、「Windowsサーバーを導入する企業は増加傾向にありエンタープライズユースにおいてはビジネスは増加傾向にある。そこに、64ビットCPU、OSが登場したことで、本格的なエンタープライズユースにおいてもWindowsが利用できるという判断をする企業が増えてきた」(NEC・コンピュータ事業部製品技術部・高木均・技術マネージャー)
その中で、64ビット搭載機については、ターゲットを絞り込んでセールスを行っているという。「現状の32ビットのサーバーでは、メモリ空間が足りないというユーザーをターゲットに販売している」
ターゲットユーザーを絞り込んで販売していることからもわかる通り、当分は、32ビットのサーバーを利用するユーザー、64ビットのサーバーを利用するユーザーとが併存することになるとの見方だが、「64ビットでなければという用途が、早晩増えてくるはず」だという。
特にデータベースユースにおいては、64ビットの巨大なメモリ空間を利用する用途が見え始めた。
「現在では、そんな巨大なメモリ空間を何に使うのかという議論になるかもしれないが、実は現在のデータベースの使い方は、データをとる場面を制限しているという側面もある。例えば、RFIDのように色々な場面でデータをとっていくといった使い方になってくれば、メモリ利用は大幅に増えていくことになるだろう。その意味で、流通業、またデータウェアハウスといった用途では64ビット搭載サーバーが必要となる」
RFIDのような新しいデータベースの使い方が増えれば、64ビットサーバーも自然に増えてくるという。
■ 64ビットのパートナーは現状ではインテルのみ
ところで、NECでは、Itanium 2を搭載したサーバーを発表した時点で、「AMDの64ビットCPUを搭載したマシンを発売する予定があるのか?」という質問に対し、「その予定はない」と明確に回答していた。その計画に変更はないのだろうか。
「発売時点での回答も、決してやるつもりがないという意味ではないと考える。ただし、エンタープライズビジネスについてはインテルと連携して研究活動などを勧めてきた経緯もあり、インテル製CPUを採用したという意味だ」と西岡グループマネージャーは説明する。
「あくまで、64ビットCPUにおいては、AMDとの接点が今のところないということ」だという。
■ URL
日本電気株式会社
http://www.nec.co.jp/
( 三浦 優子 )
2003/12/24 00:04
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