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「100TB超のユーザーも登場、DWHにチャンスは多い」-Teradata2008年度の戦略


米Teradata、社長兼CEOのマイク・コーラー氏
 米Teradataと日本テラデータ株式会社は3月7日、都内にて記者説明会を開催。米Teradata 社長兼CEOのマイク・コーラー氏と日本テラデータ 代表取締役社長の吉川幸彦氏が登壇し、NCRからの分社化を完了した2007年度のビジネス概況を振り返るとともに、2008年度の戦略について説明した。

 コーラー氏はまず、「2003年以降、売上は右肩上がり。特にNCRから分社化した2007年度は通年で、前年度比10%増の17億200万ドルを記録した」と好調さをアピール。さらに「事業セグメント別にみた売上構成比は、南北米が57%、EMEA地域が25%、APJ地域が18%。伸び率で見るとAPJがもっとも高く、とりわけ日本で強い伸びをみせた。今後もDWHに特化した企業としてビジネスチャンスは多い」とした。

 今後企業においては「全体のリソースからさらなる価値を引き出すことが急務。そのために競合他社よりも迅速で明せきな意思決定と行動が要求される」(コーラー氏)とし、企業における“分析能力”の重要性を説いた。一方で「単純にBI(分析能力)に投資するだけでは不十分。まずは、個別にデータマートが展開された結果、スパゲッティ化しているデータ基盤を整理する必要がある」とし、そのベストプラクティスとして、同社が推進する“EDW(Enterprise Data Warahouse)”を説明した。


BIへの投資だけでは不十分。まずは基盤となるデータインフラを整備する必要がある そのベストプラクティスがEDW

 EDWは、企業内に散在するデータを完全に1つに統合し、BIの活用シーンをバックオフィスからフロントオフィス、さらには顧客・サプライヤ・代理店など組織を超えて拡大していく考え方だ。同氏によれば、実際にBIの活用シーンは、これまでのような経営戦略立案のようなものから、顧客サービス改善、新規顧客獲得といったような現場業務にも拡大していることが、IDCの調査からも明らかになっているという。

 「EDWにより、全社員が全データをフレキシブルに参照することが可能になる。それによるメリットは、例えばマーケティングで、“収益性”という観点も含め、より多くの情報を取り入れて実践できるようになることだ。リーダーと呼ばれる企業の多くは、全社規模でインテリジェンスを活用している。逆に、全社規模で活用できているからこそ、リーダーになり得たといえる」(同氏)。

 2008年度はさらに投資対象の幅を広げ、新製品の投入やコンサルタントの増員を図る方針。同時にパートナー戦略も強力に推進していくとし、「2007年にはMicrosoft、SAS、Agilentなど多くの新規パートナーを得ることができた。特にSASとのパートナーシップは重要。Teradata製品上でSASが動く、そのことにワクワクしている顧客は多い。今後もパートナービジネスに力を入れたい」と述べた。


バックオフィスだけでなく現場でもBI活用が広がる さらに組織を超えて拡大

日本テラデータ、代表取締役社長の吉川幸彦氏
 続いて吉川社長が、日本テラデータの概況を説明。Teradataの分社化に伴い、国内でも日本NCRから分社化した同社だが、「2007年9月に順調に完了。業績も2007年通期で受注・売上ともに2けたの伸びを達成できた。特に新規受注が好調で、みずほ銀行、岩手銀行、JALカード、楽天などが新たにユーザーに加わった。大きなトピックとしては初めて100TB超のユーザーも登場するなど、2007年度は非常に好調な1年だった」とした。

 今後のビジョンとしては「現場での“小さな意思決定の積み重ね”が競争力強化において重要。そこで2008年は“企業の知力向上”をキーワードに、一貫性のある情報をいかにトップから現場までが共有し、活用するか、さらにその情報の鮮度をいかに高めるかということに引き続き挑戦したい」(吉川社長)と述べた。

 具体的な成長戦略としては「金融・流通・製造・通信など、データの分析ニーズが強い業種を中心に、既存顧客からの継続的ビジネス獲得と新規顧客の獲得に励んでいく」と説明。そのために販売体制の強化、およびソリューションポートフォリオの拡充を図る方針を見せた。


バックオフィスと現場による情報の共有 時間が経つほどに落ちていく情報の価値。いかに鮮度を保っていくか


URL
  米Teradata
  http://www.teradata.com/
  日本テラデータ株式会社
  http://www.teradata-j.com/

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( 川島 弘之 )
2008/03/07 16:10

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