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1年4カ月で全国120カ所・6万kmを走破-IT経営キャラバン隊がグランドフィナーレ講演会


キャラバンバス「チャレンジ号」とIT経営キャラバン隊の幹事
 日本全国を巡回し、IT利活用推進の基盤作りに取り組んできたIT経営キャラバン隊は2月29日、東京・京橋のホテル銀座ラフィナートにおいて、IT経営キャラバン隊グランドフィナーレ講演会を開いた。

 IT経営キャラバン隊は、全国各地でITの利活用の促進活動や、人材育成活動の継続的活動を目指し、2006年11月にマイクロソフトをはじめ、12の公的団体および企業が発起人となって設立したもの。地域の中小規模事業所の経営者や従業員、および地域の市民を対象にIT利活用推進の基盤づくりを支援してきた。

 マイクロソフトが提供したキャラバンバス「チャレンジ号」と、イベント中にセミナー会場として利用できるキャラバンテントを用いて、2006年12月から日本全国の市町村を訪問し、最新PCによるITの利活用方法の提案や体験機会を提供してきた。

 2006年12月13日の福岡県行橋市でのイベントを皮切りに、最終訪問地となる2008年3月22日の沖縄まで、全国120カ所を訪問。開催日数は150日、参加者数は2万2032人、キャラバンバスの全走行距離は地球の約1周半にあたる約6万kmに達した。


IT経営キャラバン隊のコンセプト IT経営キャラバン隊の実績 チャレンジ号の走行距離メーター。沖縄を回ると6万kmに達することになる

IT経営キャラバン隊会長の関隆明氏

IT経営キャラバン隊幹事代表の眞柄泰利氏
 IT経営キャラバン隊会長であり、特定非営利活動法人ITコーディネータ協会会長の関隆明氏は、「日本は世界で一番廉価なネットワーク環境が整備されており、これをどのように活用していくかが重要である。IT経営キャラバン隊は、ITを経営にどう生かしていくか、また、ICTを利用して地域振興を図るかといった点に取り組んできた。それが全国120カ所、2万人を超える参加につながった。これをさらなる成果に結びつけることが大切。むしろ、これからがスタートだ」とした。

 IT経営キャラバン隊幹事代表であり、マイクロソフト執行役専務の眞柄泰利氏が、IT経営キャラバン隊の成果を報告。「マイクロソフトは、10年前、5年前にも全国をキャラバンしてきた経緯があるが、その後、地域での活動が継続されないという反省があった。今回は、訪問後も活動が継続することを重視し、ITコーディネータと地域の商工会議所、地域ITベンダーとの連動によって、中小企業やシニア、NPOなどに対して、IT経営モデル、地域情報化モデル、再チャレンジモデル、電子入札モデルの4つの観点から啓発活動を行った。経営者とITコーディネータによる事例中心の講演やITコーディネータによるIT経営相談にも高い評価が集まっている。来場者の63%が経営者であり、私たちが伝えたい人が参加してくれた。また、訪問後の成功事例というものが各地から出ており、32商工会議所が、今後も継続的に事業を支援体制をとってくれたほか、フリースポットを開設してくれた商工会議所などが25カ所に達し、地域での継続性という点でも成果が出ている。今後、身近な相談窓口や継続的なICT支援体制の確立に取り組んでいく」とした。


 また、理事を務めたマイクロソフトのダレン・ヒューストン社長は、「ITの利活用に関しては、先進国のなかでも日本は遅れている。マイクロソフトは、これまでも、これからも中堅・中小企業が活性化するための支援をしていく。1年以上にわたって、IT経営キャラバン隊が全国にまいてきた種を、今後、より大きな花として咲くことを期待したい」とした。

 同じく理事を務めたインテルの事業開発本部・杉原佳尭本部長は、「日本の企業の90%以上が中小企業。今回の活動は、これまでとっつきにくかったIT経営に、中小企業が取り組むきっかけになったのではないか。活動は、地域に根ざして、継続することを目指しており、地域の再生、活性化についても期待できる。インテルとしても、協力できることがあれば、今後も協力していきたい」とあいさつした。

 さらに、IT経営キャラバン隊副会長である日本商工会議所の篠原徹常務理事は、「ヒューストン社長の話にあったように、この活動を通じてまいた種を、花開かせることがわれわれの仕事。全国各地の517の商工会議所と協力しながら、立派に花を咲かせたい」とした。


マイクロソフトのダレン・ヒューストン社長 インテルの事業開発本部・杉原佳尭本部長 IT経営キャラバン隊副会長の篠原徹常務理事

 さらに、来賓としてあいさつした経済産業省商務情報政策局情報化人材室長の夏目健夫氏は、「経済産業省は、平成20年度予算においては、地域中小企業の底上げを掲げており、IT化を通じた経営力の向上によるIT経営の促進は、最重要課題となっている。IT経営応援隊の活動や、SaaS活用基盤整備により中小企業のIT化を促進していく。IT経営キャラバン隊は、民間活力による地域に根ざした活動であり、その成果を評価している」としたほか、総務省情報通信政策局地域通信振興課地方情報化推進室課長補佐の小林正明氏は、「地域活性化に向けた活動のひとつとして、IT経営キャラバン隊を後援してきた。総務省は地域のICT利用の活性化に取り組んでおり、ここにも共通の目的がある」とした。

 一方、IT経営キャラバン隊グランドフィナーレ講演会では、基調講演として、武蔵大学経済学部の松島桂樹教授が、「中小企業のIT経営戦略」と題して講演。さらに特別講演として、内閣官房内閣審議官の御園慎一郎氏が、「地域再生への政府の取り組み」について、経済産業省商務情報政策局情報経済企画調査官の村上敬亮氏が「中小企業向けSaaS活用基盤整備に関する取り組みについて」として、それぞれ講演を行った。



URL
  IT経営キャラバン隊
  http://www.itcaravan.jp/

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( 大河原 克行 )
2008/02/29 17:39

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