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日本IBM大歳社長が会見、「グローバル化で日本の得意分野を世界に発信する」


代表取締役社長の大歳卓麻氏
 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は2月12日、報道関係者向けのプレスセミナーを開催。同社代表取締役社長の大歳卓麻氏が登壇し、2007年の実績と2008年の活動方針を説明した。

 大歳氏は2007年を振り返り、マーケットに適応した体制変革を実施した年であると紹介。「企業のグローバリゼーションの流れを振り返ると、自国で生産したものを海外市場に展開する“International Corporation”の段階から、本社のコピーといえる現地法人を設立し活動する“Multinational Corporation”の段階を経て、国際的な最適化を行うことでグローバル統合を実現する“Globally Integrated Enterprise(GIE)”へ発展する段階に入っている。IBMも同様に、GIEへの変革を加速している」と述べ、米本社と直結した経営体制に変革しつつあるとした。

 この背景として、先進国と新興国での成長度合いの違いがあると説明。同社の場合、先進国で展開する各法人の成長率は1ケタ台ながらも新興国では10%以上の成長を遂げており、マーケットの違いが大きくなっていることを挙げ、顧客により近いところで意志決定できる体制に変革したと紹介した。「バックオフィス部門をグローバルで最適化しつつも、営業部門などはお客さまの近くで判断できるようになった。個人的には、米本社に直結したことで社内での仕事が大幅に減り、お客さまを訪問する機会が増えたのがありがたい」と、全体最適化のメリットを享受しているとした。また、グローバル化により、全世界のIBMのリソースが使えるようになった点や、プロジェクト管理手法など日本発でグローバルに貢献するなどの成果が出ていると述べた。

 顧客対応については、顧客別営業と製品別営業の役割を明確化することで、競合や取りこぼしをなくす営業体制に変更。また、手間のかかる社内調整を行うチームを設置することで、営業担当が現場に専念できる体制も構築したと述べた。そのほか、障害発生時に保守部門が責任を持って対応することで、営業担当の対応する時間を削減するなどの活動も行っていることを紹介した。


2008年の方針
 2008年については、「お客さまのイノベーション実現」「オープン・テクノロジーと高付加価値ソリューションの提供」「グローバルに統合された企業への進化」の3つを中心に活動すると説明。「昨年行った営業体制の変更を、パートナーを含めて実現する。これにより、お客さまの立場に立った提案を強化する。また、短期的な利益の追求だけでなく、中長期的な活動を行うために、未来価値創造事業を新設した。ここでは、業界や業種といった枠を超え、新しい大きな取り組みを行う。社会に大きな変化を与えるような、マルチインダストリを作り上げたい」とした。

 米本社直結の体制となった日本IBMの役割について、大歳氏は、「お客さまに対して、世界中のIBMの力を届けることがわれわれの役割。また、自動車や電機など日本が強い業界に対応した研究開発のほか、ユーザビリティなど日本人の得意とする分野での研究開発は日本で行うことになる。こうした成果は日本だけでなく、世界で利用される」と、日本法人が貢献できる業務は少なくないと説明する。

 昨年12月で社長就任9年目となった大歳氏は、「この8年間はあっという間だった。変化のスピードはどんどん加速しており、IBMの事業構造も毎年変化してきた」と、変化への対応が求められたと述べた。後任人事などの考えについて聞かれると、「IBMはよくできた会社で、何かあったときのために常に3名は候補を用意している」と、後任候補は存在するものの、いつ交代するかは明言を避けた。「この役職に求められるのは、マネージャではなくリーダー。管理するのではなく、みんなを引っ張っていく力が大事」と、実行力が重要であると強調した。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/


( 福浦 一広 )
2008/02/12 15:21

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