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Oracle OpenWorld、過去最大規模で開幕


 10月22~26日の5日間にわたり、米サンフランシスコでOracle OpenWorldが開催されている。初日と22日の夜には、米Oracleの社長、チャールズ・フィリップス氏の基調講演が行われた。

 今回のOpenWorldは、これまで見たこともないほどの規模での開催となっている。事前登録来場者数4万1000名、セッション数1625、敷設されたネットワーク・ケーブルの総延長は125マイル(200km)、650の製品デモが行われ、オラクルの専門家が3200名参加し、確保されたホテルは延べ6万8000泊分、といった数字からもその規模が分かるが、こうした数字を見るまでもなく、ちょっと街を歩いただけで、いつもとのあまりの違いに気づかされることになった。

 まず驚かされたのが、会場となったMoscone Centerの南北2つのホールの間を通るHoward Streetの全面封鎖である。この通りは、Market Streetの南側を東から西に向かって一方通行で流れる主要幹線道路の1つであり、6車線以上ある堂々たる道路である。ちょっとした路地ではなく、市の全面協力がなければ到底実現不可能だ。この広い道路のほぼすべてを利用して巨大なテントが立ち並び、来場者に各種サービスを提供する。通常利用可能なMoscone Centerの南館、北館、新しい西館のすべてを使ってもまだ来場者を収容しきれないということでもある。市内のあちこちにはOpenWorldのロゴが掲示されており、周辺の商店には歓迎のメッセージが掲げられ、市内は丸ごとOpenWorld一色に染まっている。「IT企業だけでは足りず、Oracleはサンフランシスコ市も買収してしまった」と言ったら、信じてしまう人が出るのではないかと思われるほどの状況になっている。個人的には、過去10年以上にわたってMoscone Centerで開催されたさまざまなイベントの取材をしてきたが、これほどの規模のイベントはもちろん初めての経験である。


市内の商店には、OpenWorld歓迎のメッセージを掲げている店も目立つ。この店はMoscone Center近くの大規模な金物屋さんで、ITとは直接の関係はなさそうなのだが
市内のあちこちにOpenWorldのロゴが掲げられている
Moscone Centerの前にテントが立ち並ぶ。本来はここは太い幹線道路で、朝夕はかなり混雑する交通量も多い主要道路。よくこんなことが実現したものだと感心する

基調講演に登壇した、チャールズ・フィリップス社長、ゴールデンステート・ウォリアーズのジェイソン・リチャードソン選手、サフラ・カッツ社長兼CFO

チャールズ・フィリップス社長

Application Unlimitedに関するスライド
 さて、前夜祭的なニュアンスだと予想されたチャールズ・フィリップス社長の“Welcome Keynote”は、まず地元(といっても対岸のオークランド)のNBAプロバスケットボール・チーム“Golden State Warriors”の本拠となるアリーナの命名権をオラクルが取得し、“Oracle Arena”としたことの発表から始まった。この契約締結のニュースは、10月20日に公表されているものだ。壇上にはGolden State Warriorsのスター選手であるジェイソン・リチャードソン氏も登壇し、チャールズ・フィリップス氏にユニフォームを手渡した。

 続いて、チャールズ・フィリップス氏はOracleの戦略について大きな視点からの説明を行った。現在の同社の事業は、「グリッド・コンピューティング(データベース・インフラ)」「Fusion Middleware」「アプリケーション」の3本柱で構成されている。こうした事業展開の根本にあるのは、よりよい情報を得て、よりよい結果を得られる企業の実現を支援する(Better Information, Better Result)、という思想だという。

 また、同社の戦略に関しては、企業買収(M&A)に積極的なこともよく知られているが、これを同氏は「M&Aは企業戦略の一部だ」と表現した。自社だけでは実現が難しい拡張や改良を迅速に実現するために全世界から優れた技術や製品を探し、顧客に対して付加価値を提供するための手段としてM&Aを位置づけているということだ。

 技術に関する戦略は、社内では“Umbrella Strategy”(“傘”戦略)と呼ばれているという。核となる技術基盤として、データベースとミドルウェアがあり、そこから周囲のさまざまな方向にアプリケーションを拡げていく、というアプローチだ。買収した企業がもつ固有の技術を確固としたインフラとなる「テクノロジー・スタック」に組み入れていくことで、確実に価値向上を実現する。同様のことが他社では実現不可能な理由は、統合されたデータベースとミドルウェアのスタックを所有しているのが同社だけだからだという。これには、既に多数のユーザーを抱えており、十分な開発投資を行ってもそれを償却できる環境ができていることも指摘した。こうしたインフラに加えて、エンタープライズ・アプリケーション群も揃えている。この両者は相互に影響し合い、より品質を高めていくことができているという。

 買収と関連して、被買収企業の製品ユーザーにむけたメッセージとしては、“Application Unlimited”が繰り返された。従来製品を包括する新しい次世代アプリケーションとして“Fusion Application”が今後提供されるが、それと並行して従来のアプリケーションの機能拡張も無期限に継続していくというものだ。ユーザーは、従来のアプリケーションを利用し続けることも、新しいFusionに移行することも、どちらも自社の判断で選択できるよう、必要な環境やツールの提供を続けるというものだ。


 Oracle OpenWorldがこの数年で特に大規模化している理由は、各種アプリケーション企業を買収した結果、その企業の社員と顧客を丸ごと飲み込んでいるからでもある。そこを考えれば、冒頭の基調講演でまず既存製品ユーザーに向けたメッセージが強調されることの意味もよく分かるといえる。

 明日からは、23日(月)がGrid(Database)、24日(火)がMiddleware、25日(水)がアプリケーションと、日ごとにメインテーマを設定し、関連する基調講演やセッションが展開されていく予定だ。



URL
  Oracle OpenWorld
  http://www.oracle.com/openworld/

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( 渡邉 利和 )
2006/10/24 00:25

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