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米NetSuite、日本法人を設立-前マイクロソフトの東氏が社長に就任


米NetSuiteのザック・ネルソン社長兼CEO

ネットスイートの東貴彦社長
 米NetSuiteは3月8日、100%出資の日本法人として「ネットスイート株式会社」を3月中に設立し、オンデマンド型統合業務アプリケーション「NetSuite」の日本語版製品の提供を開始すると発表した。日本法人の社長には、前マイクロソフト役員の東貴彦氏が就任する。

 米NetSuiteのザック・ネルソン社長兼CEOは発表会見の席で、「東氏を日本法人の社長に迎えることができて非常にうれしく思っている。東氏は、マイクロソフト時代にノベルキラーとして知られていたが、ネットスイート日本法人ではマイクロソフトキラーとして活躍してほしい」と、東氏への期待を述べた。

 会見に同席した東氏は、「NetSuiteは、複数のアプリケーションを統合して提供できることと、中小規模企業をターゲットにしたソリューションであることの2点が強みで、日本市場に大きなビジネスチャンスをもたらすと感じている。日本法人としては今年末に社員数約15人と、それほど規模を大きくするつもりはないが、パートナー企業との協業を進めながら、日本市場向けのNetSuiteソリューションを提供していきたい」と語った。


NetSuiteが実現する統合ソリューション
 米NetSuiteは、NetSuiteの開発にあたり、1)1つの企業には1つのシステム、2)インターネット経由でのシステム提供、3)特定業界向けの機能強化-という3つの基本コンセプトを掲げたという。

 会計/ERP、CRM、eコマースの各機能を1つのアプリケーションに統合して提供できるのが大きな特徴で、これによって企業は分散した部門同士を統合し、自社のビジネスを横断的にとらえることによって、本格的なビジネス統合を図ることが可能となる。

 ネルソン社長兼CEOは、「NetSuiteは、競合であるSAP製品の中小規模企業向けバージョンといえるもので、SAP製品と同等の機能を低コストで提供することができる。すでに日本の企業にも、統合性のメリットを生かしたアプリケーション分野においてNetSuiteが導入されており、日本市場でもオンデマンド型統合ソフトの需要は必ずある」と意欲を見せた。

 具体的な機能としては、1)役職別のユーザーインターフェイスと高い視認性をもつAJAXダッシュボード、2)豊富でグラフィカルなKPI群とドリルダウン機能、3)自習性の高さと業務の流れに沿った無理のない操作性、4)統合されたアプリケーション群とリアルタイムに共有されるデータベース-などを備えている。

 日本市場向けに提供される製品ラインアップは、中小規模向けの「NetSuite」、小規模企業向けの「NetSuite Small Business(NSSB)」、CRMソリューションを提供する「NetSuite CRM」、CRM機能に加え受注管理、パートナー管理、分析機能などを提供する「NetSuite CRM+」の4製品。

 ライセンス価格(1ユーザーあたり)は、NetSuiteが月額600ドル、NSSBが月額105ドル、CRMが月額95ドル、CRM+が月額130ドル。構築サービスと保守サービスは別途見積もりとなる。


 東氏は、日本市場での販売戦略について「ターゲットとなる市場はCRM/SFA、ERP/会計、eコマース、そしてコンシューマや小規模企業から中堅企業、大企業までをつなぐB2B2SMB&Cの4つを想定している。ターゲットユーザーとしては、大企業に強いSAPと小規模企業に実績のある弥生の中間領域をメインに狙っていく」と説明した。

 また、パートナーとの協業に関しては、ローカライズやSI提供、付加機能開発を行う「テクノロジー・パートナー」、オフサイト営業・構築・保守、オフサイト・サービス連携を行う「サービス・パートナー」、オンサイト営業・構築・保守、アウトバウンドビジネス連携を行う「顧客アクセス・パートナー」という3つの領域でパートナー体制を整備していくという。

 日本語版製品の提供については、「すでに現在のバージョンで日本語表示オプションには対応しているが、これでは完全な日本語版とはいえない。6月をめどにCRM、CRM+について、日本専用機能の強化、日本語処理の高度化を図った日本語版製品を投入したい」(東氏)考え。2006年第3四半期には日本専用フォーマット、ヘルプなどドキュメントの日本語化を図り、2006年第4四半期以降に決済連携、配送連携、携帯連携、業種別テンプレート、日本専用Webテンプレートを提供していく計画。ERP機能は、2007年第2四半期での日本語化を予定している。


日本市場でのターゲット領域 日本語製品のロードマップ パートナーとの協業体制


URL
  米NetSuite
  http://www.netsuite.com/
  ネットスイート株式会社
  http://www.netsuite.jp/
  ニュースリリース
  http://www.netsuite.jp/news.htm


( 唐沢 正和 )
2006/03/08 18:06

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