7月7日から9日まで、東京ビッグサイトで開催されている「データウェアハウス&CRM EXPO」において、株式会社西友 システム担当バイスプレジデント 杉本定士氏が「西友の経営戦略とIT活用」のテーマで基調講演を行った。
西友は2003年度実績で国内量販店5位、小売8位、衣料品19位の小売企業。全国に404店舗を展開し、うち食品スーパーマーケットが約7割を、ゼネラルマーチャンダイジングストアが100店舗を占めている。また特に首都圏で強く、東京都のシェアはスーパーマーケット業界トップとのことだ。
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株式会社西友 システム担当バイスプレジデント 杉本定士氏
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西友では、2002年3月14日より米Wal-Martとの業務提携を行い、現在では米Wal-Martが36%の資本参加を行っている。杉本氏によれば「2007年度末には66.7%になる」という。同氏は当時を振り返り「当初はWal-Martについて、“韓国で失敗している大手小売業”くらいのイメージしかなかった。まさかそのままアメリカのシステムを持ち込んでくるのではないかと不安にかられた」という。
しかし現在の米Wal-Martとの関係については「一般的に、どちらか一方が強いと問題が起きやすい面がある。両方で歩み寄ってきたことが今の成功を支えている」との考えを示し、「タイミングもよかったのか例がないほど円滑で、将来の潜在的可能性からの期待値も大きい」と語った。
現在の同社では、より良い価格とサービスを顧客に提供する経済活動、地域と顧客から信頼される企業になる社会活動、環境に配慮した活動の3つを柱にした事業展開を図っているという。
このうち経済活動については、米Wal-Martの掲げるEveryDay Low Price(EDLP)、つまり「いつでもどこでも誰よりも安い価格で商品提供をすることを目標に」しているという。これを実現するために、同様にEveryDay Low Costとの考え方の下で「取引先と一体になり、構造的にコストを削減、そのまま販売価格を下げることで顧客に還元している」という。
商品原価が最大のコストとなっており、「売上高はセールや特売で高まり、その前後は買い控えで落ち込む」という。売上は下がっても固定費は下がらないため、これをカバーすることが難しくなる。これについて同氏は「EDLPはまだまだ市場に定着していない。これからは毎日一定のコストで、どこよりも安い価格を実現していきたい」とした。
EDLPの実践では、2003年からの5カ年計画により店舗業務の簡素化と標準化、情報収集による効率化を図る。2003年には規模の異なる9店舗で実証実験を行い、これを元にして80店舗ですでにオペレーションの標準化を手がけ始めている。
西友の店舗は、100坪から3万坪までバラエティに富んでいるために、かえって標準化の難しい面があったという。しかし「店舗の大小にかかわらず、売り場ユニットの単位で行うことで、人、時間あたりの生産性を改善し、サービスを向上している」という。同氏は「本当のサービスとは、欲しいときにいつでも、欲しい値段でものが販売されていること」との考えの下、この2年間で基盤を作りたいとした。
情報収集による効率化については米Wal-Martの提供する「リテールリンク」の仕組みが活用されている。これを今後は段階的に拡大し、「取引先とのコミュニケーションにより商品ロスを削減していく」とした。
西友では米Wal-Martとの提携前から「既存システムのリプレースが2003年末ごろと見て、検討を行っていた」という。このときすでに「社員が情報システムを利用、活用を理解できなければ意味がなく、企業活動を行うツールとしての情報システムとして、エンドユーザーにはシンプルで簡単な仕組みを提供することを考えていた」とした。
また同氏が衣料部門で「“ミニリテールリンク”を展開し、不良在庫の劇的な削減を果たしていた経験もあり、「過去データと将来予測がつながって、バッチでなくリアルタイムで常に最新情報を把握できるシステム」を念頭にしていたという。また「職責を明快にして必要なデータをいつでも的確にとり出せる」点も重視していた。
これらの要件から、新情報システムの基本方針として1)リアルタイム処理により負荷が分散されている。2)アプリケーションの追加変更が容易にできる。3)24時間営業店舗も多く、障害時でも営業活動に支障を与えない。4)導入コストが安くとも、運用コストが高ければ意味がない。5)グローバル対応ができること。の5点をすでに策定していたという。
提携後にこの方針を実現するにあたって、30年前から小売ベースの情報システムを手がけてきた米Wal-Martのノウハウが寄与したという。実際にアメリカに足を運んだ同氏は、「国防省に次いで大きいといわれるハードウェアにも驚いたが、リアルタイム・最小単位で収集された情報が、仕事のやり方に応じて、何をするために情報を出すかが決められ、必要以上の情報が出てこない本当の業務アプリケーションに目を見張った」という。
ただしアメリカと日本の商慣習には、特に生鮮食品などで違いもある。このため「Wal-Martのシステムを、日本の商慣習にあった西友のベストプラクティスにドッキングさせた」という。これにより、リテールリンクに代表される取引先との情報共有の仕組みと、グローバル調達によるコストメリットを享受しながら「取引先に直接的な影響も出なかった」とのことだ。
このシステムの構築では、互いの商慣習とシステムの検討に時間をかけた後、2003年6月からの7カ月間で行われた。この間の8月13日には新システムを導入した1号店店舗が開店している。同氏は短期間で実現した理由を「2200人の自社プログラマ。規模の大きさが可能にさせた」と述べた。
実際の店舗運営では、Wal-Martと同様にPDAがその柱となる。「基本的にすべてのことができ、商品がないとき隣の店の在庫までがわかる」という。同氏は「常に売り場に居られるため、顧客サービスが高められることがメリット」とした。このシステムを実現するために、店舗には30種類のサーバー群を設置する必要があったが、「情報はすべてリアルタイム化され、陳列場所も即座に変更できるので、売り場での作業を5%削減できたほか、顧客に買いやすい売り場を作れる」と語った。
またPOSレジの稼動状況もリアルタイムに本部にフィードバックされており、「ひとつのデータを共有して同じ判断ができるため、店側と本部のコミュニケーションロスがなくなった点も大きい」と述べた。
上記のシステムを現在は80店舗で展開しているが、2005年度中にも404店舗への展開を完了させたい考え。さらに今後は「売上実績に基づいて需要を算出、発注数量を出す自動発注システムを展開したい」とした。これにより「発注作業そのものを大幅に軽減できる」とした。
また同様の需要予測により、社内規定により製造後商品により3時間/5時間以内に廃棄しなければならない生鮮商品の生産計画システムについても展開を考えているとした。Wal-Martのノウハウを活用し、5月中旬より埼玉県の店舗に導入したセルフチェックアウトレジについても今後拡大していくという。
また投資金額についても2003年に43億円、2004年度に135億を費やしているとのことで、「今後もそれ相当の金額を使っていく」とした。
■ URL
データウェアハウス&CRM EXPO
http://www.dwh-crm.jp/
株式会社西友
http://www.seiyu.co.jp/
( 岩崎 宰守 )
2004/07/07 18:55
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