7月7日から9日まで、東京ビッグサイトで開催されている「データウェアハウス&CRM EXPO」において、米Wal-Mart International Holdings インフォメーション・システムジャパンディレクター ルーク・マクコルム氏が「顧客満足と売上拡大を達成するウォルマートのIT活用戦略」のテーマで基調講演を行った。
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米Walmart International Holdings インフォメーション・システムジャパンディレクター ルーク・マクコルム氏
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米Wal-Martは、1962年にアメリカ・アーカンソー州ロジャースに1号店を開いて以来、現在ではアメリカ国内だけでなく世界11カ国に5000店舗を持ち、総売上は2563億ドル(約27兆円)に達する巨大企業。マクコルム氏によれば、1日に21,594,007人がレジを通過し、レシート総延長は4900kmにもなる。また在庫アイテム数は717,856,246にものぼり、これが毎日見直されているという。
グローバル企業である同社では、売上げの18%を占める国外への展開も重視している。2002年3月14日には西友と提携を結び、世界11カ国目となる日本での事業展開を図っている。
これだけの規模を支えるのが、同社が抱える2200人の情報システム担当者が作り出すITインフラとなる。米Wal-Martの情報システム開発部門総責任者であるマクコルム氏は、「技術が最も効果的かつ独創的に使われるためには、柔軟でなければならない」と述べた。情報システム担当者に向けては「“自分たちもバイヤーであるかのように考えなさい”とのメッセージで、高い期待を課している」と語り、システム部門の人間といえど、ビジネスに積極的に関わっていくことが重要な成功要因になるとした。
そして「アイディアを出すことがイノベーションをかき立て、独創性が革新を起こす」とした同氏は、これを「全員の意見に耳を傾ける。しかし同じ意見を持つ2人はいらない」と表現した。それが必要不可欠かどうかを把握するのは、あくまで同氏のようなスーパーバイザーの役目ということになる。そして同社には「社員の士気が上がってこそ、アイディアが生まれる」と、努力した人間に賞賛を与える企業文化があるという。また、人を尊重する、顧客に尽くす、常に最高を目指す、この3点が同社が社員に掲げる目標なのだという。
同氏は米Wal-MartのITへの関わりについて、同社の元CEOであるデビッド・グラス氏の「未来を予測する確実な方法は未来を作りつづけること」との言葉を引用した。米Wal-Martでは1983年のPOSシステム導入を皮切りに、1989年にはTeradataの0.5TB規模のDWHを、また91年にはUNIXサーバーを導入している。「データを情報に転換させるのは全体戦略に不可欠」とした同氏によれば、DWHについては98年には43TBに、99年には96.8TBに拡張し、現在では455TB相当になっているという。
しかし単にIT化を推し進めたわけではない。同氏は「ITは企業戦略に照準をあわせ、システム戦略に適っているか、また売上と顧客サービスへの貢献から効果を測定し、結果を追求しなければならない」とした。
そして1992年に導入したPDAは、データの収集のみならず、顧客サービスの面でも大きな影響があったようだ。これを「店舗で顧客を待たせず、社員が面と向かって対応するのが重要」とした同氏。その後の開発により、在庫管理、価格変更、荷受発注から売上履歴まで、すべての処理をPDAから行えるという。そして現在では410,000台が導入され、108.7億件の情報を処理しており、「来年は100万台の無線端末導入を希望している」と述べた。
バックエンドのシステムについては、「スピードと統合、2つの異なる要素のバランスをいかに組み合わせるか」が効果的な事業展開のカギになるとした。そして同社では「POSバックボーンを10カ国で共通化するなど、基本的には集中化によりIT化を推進している」という。在庫は、財務管理プロセスと連動させるなど、これにより競合他者と比べた場合には、「投資額の上でシステム部門1人あたり3倍の効果」となっている。
またサプライヤーとの連携においては、売上、在庫出荷、需要予測などの情報をリアルタイムに表示できる「リテールリンク」のシステムを展開している。同氏は「サプライヤーとのパートナーシップは、良いアイディアを出してもらうために重視している」と述べ、「取引先の独自システムに対応するため、業界標準仕様にすることも重要だった」とした。リテールリンクはインターネット環境さえあれば閲覧が可能だという。
リテールリンクによる一元的な需要予測ですべてをまかなうことで、「部分ごとの協議の必要がない」ため、輸送面などでもメリットがあるという。また同氏はアメリカでのハリケーン来襲時の例を挙げた。このとき、ハリケーンの進路となる店舗に向け、通常発注でない飲料水や非常食などをプロアクティブに予測して補充を行ったという。これは「過去の履歴を閲覧し、システムが自動的に商品を発注できる」とのこと。
またRFIDの実用化にもいち早く取り組んでいる。同社では4月に7つの店舗、8社の取引先、ひとつの物流センターの規模でパイロット運用を開始している。「パレットケースレベルで荷受からバックルームに入るまでを管理しており、まだアイテムレベルではないが、RFIDの導入には、障壁がなくなりつつある」とした。また「在庫管理の精度だけでなく、売上増にもつながるなど期待を超えたメリットが確認できており、注意深く見直して、1月以降にパイロットを拡大したい」とした。
■ URL
データウェアハウス&CRM EXPO
http://www.dwh-crm.jp/
米Walmart
http://www.walmart.com/
( 岩崎 宰守 )
2004/07/07 17:13
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