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岐阜県、ソフトピアジャパン、マイクロソフトがベンチャー企業育成事業で連携

「マイクロソフト・インキュベーション・プログラム」を提供

 岐阜県、財団法人ソフトピアジャパン、マイクロソフト株式会社は、ベンチャー企業育成事業で連携することを発表し、10月16日に岐阜県知事の梶原拓氏、財団法人ソフトピアジャパン理事長の熊坂賢次氏、マイクロソフト株式会社代表取締役社長マイケル・ローディング氏の3氏による調印式が行われた。ソフトピアジャパンのパワーベンチャー育成事業は、国・県によるベンチャー育成支援に、外部機関からの支援を加えた産・官連携による総合的なプログラムで、今回の連携で、マイクロソフトが加わることになった。マイクロソフトでは今後1年間で、ITベンチャー5社を対象に「マイクロソフト・インキュベーション・プログラム」を提供するほか、20社程度へ支援を行いたいとしている。


岐阜県知事 梶原拓氏
 岐阜県知事の梶原拓氏は今回の連携について「大きな恐竜と田舎のかえるが手を組ませていただいた」とし、「ベンチャーの育成という大きな課題において、有力な手段になる。非常に感謝しているとともに、責任感、使命感を感じている」と語った。また「今回の取り組みが「岐阜モデル」といわれるような成果を期待している。ほかの地方に大きな活力を与えていきたい」とした。今年5月にシアトルで開催されたガバメント・リーダーズ・サミット2003に、同氏は日本から唯一出席した際に、ビル・ゲイツ氏と会談する機会があり、このとき出来た人間関係を今回の連携に至った一因にも挙げた。


マイクロソフト株式会社 代表取締役社長 マイケル・ローディング氏
 米Microsoftも27年前は小さなベンチャー企業として出発している。マイクロソフト株式会社 代表取締役社長のマイケル・ローディング氏は、「今までもベンチャー支援の方策を模索していた。今回の合意を刺激として、日本のIT支援につなげていきたい」とした。また今回の取り組みを「責任ある企業としての役割を担う、社会貢献、経済貢献を意識したもの」としており、「ベンチャーに対する直接的な見返りは期待しておらず、出資などはそれが得意なほかの企業に任せる」とし、「ベンチャー企業の成功に重要と我々が考えている、正しいアイディア、ひとという資源を発展できること、きちんとした製品とビジネスモデルの確立に寄与していきたい」と語った。


財団法人ソフトピアジャパン 理事長 熊坂賢次氏
 財団法人ソフトピアジャパン理事長の熊坂賢次氏も同様に感謝を示しながら、「地方にはハンディキャップがあるが、その可能性を増やすために今回大きなチャンスを与えてもらった。われわれの役割をうまく融合させて、有能なパワーベンチャーの育成を行い、岐阜から世界をねらえるベンチャーを育成したい」と語った。

 ソフトピアジャパンは、岐阜県により、ITを核とした情報振興のために1996年8月よりスタートした。岐阜県大垣市に13ヘクタールの土地を用意し、地域振興を図るためITベンチャーの誘致を行っている。現在では進出企業150、従業員数1,800に達するなど一定の評価を得ている。マイクロソフトは2003年9月より、東京以外で唯一となるテクノロジーセンター「Microsoft Technology Center中部北陸」を同地に設置している。今回マイクロソフトでは、対象ベンチャー企業にソフトウェア、サポート、トレーニングの無償提供を行う「マイクロソフト・インキュベーション・プログラム」の提供を中心に、ベンチャー企業育成事業に参画していく。

 マイクロソフト・インキュベーション・プログラムは、1企業あたり推定小売価格ベースで年間最大5,000,000円のソフトウェアの無償提供、構築の際に最適なシステムづくりを手助けするもので、通常契約料金では27,000円/hとなるアドバイザリーサービスの年間最大100時間までの提供、マイクロソフトの主催する.NET Developer、Tech EDなどのコンファレンス/トレーニングへの無料招待、アメリカ本社での最先端技術の習得機会の提供などが行われる。今後は年1回、対象ベンチャーに対する実績評価が行われ、支援期間は最長でも3年間となっている。このほか同社では、ソフトピア全企業を対象にしたインキュベーションセミナーを年2回、岐阜で開催する。さらにベンチャーとマイクロソフトの技術者が問題解決を相互支援するオンラインコミュニティフォーラムを設立も企画されている。またプログラム対象ベンチャーが開発した技術や製品、ビジネスモデルを定期的に評価し、事業化に関するアドバイスを行うほか、デモや商談スペースの提供、同社Webサイトでの紹介やセミナーPRなどでの共同マーケティングも行う。

 今後の事業計画としては、10月30日に岐阜県大垣市で募集説明会を行い、11月30日に第1次応募締切、12月9日の審査会をへて、12月15日より支援が開始される。また2004年3月には中間成果が発表されるほか、同5月には第2次募集が行われる予定。募集できる企業の条件は、すでに岐阜へ進出している企業のほか、東京のベンチャーでも岐阜への移転を前提にすれば対象となる。受付は岐阜県とソフトピアジャパンが行い、選定にはこれにマイクロソフトのほか、学術メンバーが加わる。



URL
  岐阜県(ぎふポータル)
  http://www.pref.gifu.lg.jp/
  財団法人ソフトピアジャパン
  http://www.softopia.or.jp/
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  プレスリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=1732


( 岩崎 宰守 )
2003/10/16 19:09

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