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ボリュームライセンスを知るとマイクロソフト製品が安くなる?・第二回

中小規模向け「Open Business」と「Open Value」の違い

 前回は、ボリュームライセンスの種類と、ライセンス(L)とソフトウェアアシュアランス(SA)に関して説明した。今回は、多くの企業で使われるOpen LicenseとOpen Valueに関して説明していこう。特に、Open LicenseのうちのOpen Businessは、最低5ライセンスから購入できるため、個人ユーザーにとっても魅力のあるライセンスだ。


Open Businessとは?

 Open Businessは、Open Licenseのうち中小規模のユーザーを対象としたプログラムで、初回購入時、5ライセンス以上を購入することが必須条件。追加購入に関しては、1ライセンスから購入できるようになっている。ライセンスの種類は、ライセンス(L)とSA、L&SAの3種類があり、SAの有効期間は2年間。

 5ライセンスというのは、例えば、1台のPCにWindows Vista+Office 2007+Visio、2台目PCにWindows Vista+Office 2007でクリアできる。またこの初回購入時5ライセンスというルールでは、LだけでなくSAも1ライセンスとして認められるため、2ライセンス扱いとなるL&SAをうまく利用すれば、1台分のライセンスだけでも初回購入制限のハードルを越えられる。例えば、Windows Vista(L&SA)+Office 2007(同)+Visio(L)といった構成なら、5ライセンスをクリアしていることになる。上位のライセンスには購入可能な最低台数が決まっているものがあるものの、Open BusinessではPC台数には左右されないのだ。


5ライセンスの構成例。合計5ライセンス以上であれば、どういう組み合わせでもいい(資料提供:マイクロソフト株式会社)

 なお、Open Businessを使ってLやSAを購入する場合、初回購入に関して最低5ライセンスが必要というルールがあるというのは前に述べた通りだが、ここには抜け道も存在する。例えば、Windows上でのソフトウェア開発の時に使用する開発者向けのMSDN(Microsoft Developer Network)は、1つ購入するだけで5ライセンスという条件をクリアでき、以後はOfficeであろうとOSであろうと、1ライセンス単位で購入できる。サーバー製品のプロセッサライセンス、Small Business Server(SBS)、TechNet Plusなども、MSDNと同じく、1つ購入するだけで5ライセンスの条件をクリアする例外的製品で、初回から1ライセンス単位での購入が可能だ。


Open Valueとは?

 Open Businessと同じように、250台以下の中小企業、個人事務所に向けたボリュームライセンスが「Open Value」だ。ライセンスは基本的にL&SAとSAのみが用意されており、SAのないLは購入することができない。SAの契約期間はOpen Licenseよりも長い3年で、SAやL&SAの初期費用としては、2年であるOpen Licenseよりも高くなっている。しかし、インプレスR&Dストア(1月22日現在)の価格から1年分L&SAの価格を算出してみると、たとえばOffice 2007 Standardでは、Open Businessが3万941円、Open Valueが2万5828円となり、お得になるケースも多いという。

 初回購入時はOpen Businessと同じように最低5ライセンスから、追加購入は1ライセンスから、となっている。ただしOpen Valueでは、L&SAでもSAのみでも1ライセンスとして計算するので、注意が必要だ。またOpen Businessと同様、このルールの例外として、MSDNやサーバー製品のプロセッサライセンスなどは、Open Valueでも1ライセンスから初回購入できる。

 Open BusinessとOpen Valueの大きな違いは、Open Valueの持つさまざまな契約形態だろう。Open Licenseよりも新しく作られているため、大規模向けのEnterprise Agreementでしか存在しなかったサブスクリプション契約(後述)などが追加され、企業にとってはより使いやすくなった。

 まずOpen Valueでは、「全社契約オプション」、「個別契約オプション」という2つのオプションが用意されており、ユーザーは必要に応じて、どちらかを選択したり、両者を組み合わせたりして利用することができる。

 「個別契約オプション」は、ユーザー企業が必要とするソフトウェアを必要分だけ購入する、言ってしまえば「アラカルトメニュー」といったものだ。一方、「全社契約オプション」は、会社にあるすべてのPCで特定のマイクロソフト製品を利用するといった契約で、「コースメニュー」といえるだろう。全社契約オプションでは、会社にあるすべてのPCを対象とするため、Officeの全社契約オブションを契約した場合、あるPCではOfficeはいらない、ということができない。その分、個別契約オプションと比べると割引率が高くなっているし、OSだけ、Officeだけといった契約はできるので、会社の事情に合わせて導入すればいい。

個別契約オプションと全社契約オプションの違い

種別

価格 購入可能な製品 対象
個別契約オプション 通常価格 豊富 必要なライセンスを必要な時に購入したいユーザー向け
全社契約オプション 個別契約より安価 4種類のみ ソフトウェアの社内標準化やTCOの削減を図りたいユーザー向け


 具体的には、Office Professional Plus、Windows Vista Business(アップグレード)、Core CAL(サーバーにアクセスするためのクライアントPCのライセンスセット)、Desktop Professional(Office、Vista、Core CALを組み合わせたもの)など4つのメニューから選択して契約できる。すべてを購入するのなら、もちろん、Desktop Professionalはほかの契約形態と比べるとお得な料金で提供されている。ユーザーは、すべてが入ったDesktop Professionalを契約してもいいし、Windows Vista Businessだけを契約して、Officeは個別契約オプションで必要な数だけを調達してもいい。


全社契約オプションには、OS、Office、CALが1種類ずつと、 この3種類をあわせたDesktop Professionalが存在する

 Open Valueの支払い形態は2種類が用意されている。Open Licenseと同じように購入時に一括して支払う方式と、SAの対象となっている期間(Open Valueは3年間)で、ライセンス料を分割する方式がある。

 企業にとっては、ソフトウェアの料金を使用期間で分割できるというのは、ある意味リース契約に似ており、初期投資として大きく費用がかかるということはなくなる。価格的には、一括支払いでも、分割支払いでも、ほとんどかわらない。

 またOpen Valueの全社契約オプションには、「サブスクリプション」という新しい契約方式が用意されている。Open Businessや今まで説明してきたOpen Valueでは、ライセンス(L)を購入するため、SAの期間終了後に企業の内部においてPCの台数が減った場合は、初期に購入したライセンス費用が無駄な資産になってしまう。そこで出てきたのがサブスクリプションだ。

 サブスクリプションでは、L&SAを3年間使用できる権利を購入できる。つまり、通常は初期購入して無期限に利用できるライセンスの権利を、3年間の使用権に限定して提供するものだ。3年後以降も継続して利用するのであれば再度契約を結ぶことになろうが、その時には、ユーザー企業にあるPCの台数だけの契約をすればいい(もちろん、以前の契約よりも少なくていい)。企業にとっては、ソフトウェアを完全に期間限定のレンタルとして扱うことができる点もメリットで、帳簿上も資産ではなく、経費としてみることができる。なお、サブスクリプション契約満了時に全ライセンスを買い取る「買い取りオプション」も用意されている。


 このように、Open BusinessとOpen Valueを比較すると、L&SAを1本として扱うため、これを2本としてカウントするOpen Businessと比べて、初期導入時には若干敷居が高くなる。またOpen Valueは、初期コストがOpen Businessよりも高く設定されているが、SAが3年分となり、前述したように、1年あたりの価格ではお得なケースもある。

 加えてL&SAの購入時には、一括支払いだけでなく、年額均等支払い(3年間)、サブスクリプションといった多様な支払い方式を持っているのも、Open Valueの特徴だろう。企業にとっては、自分たちのスタイルに合った支払いにより、OSやOffice、サーバー製品などが導入できるのは経理面からいっても、大きなメリットになるだろう。

 次回は、実際にどれぐらいの金額でライセンスなどが購入できるのかを、具体的な金額を出して紹介していく。



URL
  Microsoft Volume Licensing
  http://www.microsoft.com/japan/licensing/default.mspx
  インプレスR&Dストア
  http://direct.ips.co.jp/pc/ihtml/license/default.cfm

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  ・ ボリュームライセンスを知るとマイクロソフト製品が安くなる?・第一回(2007/01/22)
  ・ ボリュームライセンスを知るとマイクロソフト製品が安くなる?・最終回(2007/01/24)


( 山本 雅史 )
2007/01/23 00:00

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