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ジュニパー、JUNOS搭載のハイエンドセキュリティ製品-FW性能は最大120Gbps


SRX5800

ジュニパーの第2技術本部長、小澤嘉尚氏

ダイナミックサービスアーキテクチャを採用し、柔軟な拡張性を提供する
 ジュニパーネットワークス株式会社(以下、ジュニパー)は9月16日、ダイナミックサービスゲートウェイ「SRXシリーズ」を発表した。ファイアウォール、IPS、VPN、NAT、ルーティングといった機能とインターフェイスを、ユーザーのニーズに応じて動的に機能・性能を選択できるのが特徴。最大まで拡張した場合、120Gbpsのファイアウォールスループットや35万CPS(コネクション/秒)の処理性能など、従来のハイエンドセキュリティ製品の数倍~10数倍の処理性能を発揮できるという。

 SRX5600/5800は、ハイエンドのネットワーク/セキュリティ機能を備えたゲートウェイ製品で、「SRX5600」「SRX5800」の2モデルが用意される。SRX5800は12スロット(管理用モジュール用をのぞく)、SRX5600が6スロット(同)を備えたシャーシ型。各種インターフェイスを備えた「I/Oカード」と、ファイアウォール、IPS、NATなどの機能を個別に提供する「サービス・プロセシング・カード」を必要に応じて選択する「ダイナミックサービスアーキテクチャ」を採用したことで、「ユーザーが必要な機能を、必要に応じて拡張できる」(ジュニパーの第2技術本部長、小澤嘉尚氏)特徴を持つ。

 従来、多くのセキュリティ製品はボックス型のアプライアンスで提供されてきたが、動作する機能やI/O性能があらかじめ決まっており、拡張性に乏しいという問題があった。これを解決するためジュニパーなどいくつかの機器ベンダーは、I/O性能を拡張できるシャーシ型の製品を提供し、スケーラビリティを確保していた。しかし、拡張の一途をたどる現在のネットワーク環境を考慮すると、より高性能で、柔軟な拡張を行える機器が必要とされていたという。また、従来の製品は機能が固定されており、顧客が欲しい機能を選べない点も問題だったという。そこでジュニパーでは、複数の機能やI/Oから顧客が柔軟に選択できるSRXシリーズを用意した。

 性能は、競合製品や従来の自社製品と比べて、大幅に強化されている。市場でよく利用されている競合製品と比べた場合、ファイアウォールスループットやIPSスループットでは約6倍、CPS性能では約3倍という高性能を発揮するほか、75%の省スペース化も実現できるとのこと。さらに、従来の自社ハイエンド製品「NetScreen 5000シリーズ」と比べても、ファイアウォールスループットで4倍、CPS性能は十数倍の性能を実現した。

 この中ではスループットもさることながら、小澤氏がもっとも重要なものだと強調したのが、CPS性能だ。「昨今のネットワーク環境の中では、セッションが非常に大きな役割を持っていて、一人が使うセッション数が多くなっており、全体的なスループットのパフォーマンスよりも大きく問題視されてくる時代になっている」とした小澤氏は、例として、1つの地図を表すのに20以上のセッションを利用するGoogle MAPを挙げ、従来製品と比べても圧倒的な処理能力を持つSRXシリーズであれば、「セキュリティを強化したためにお客さまへのサービス提供のボトルネックになる、といったことがない」と主張した。


従来製品よりも非常に高速なセキュリティ機器でありながら、今後の拡張により、さまざまな可能性を持つという
 さらに、米Juniper Networks アジア太平洋 テクニカルオペレーション担当副社長のマット・コロン氏は、「単なる超高速なファイアウォールを作ったということにとどまらない」という点も強調する。それはSRXシリーズがハイエンドセキュリティ製品としては初めて、自社のルータやスイッチなどで広く採用されているOS「JUNOS」を搭載している点に現れている。加えてハイエンドルータなどと同様、マネジメントエンジンの二重化もなされており、信頼性・可用性についてもキャリアグレードを実現した。

 こうした点について、小澤氏は「当社が創設当初から培ってきた、キャリアと一緒にはぐくんできた実績のあるJUNOSを搭載し、信頼性に関してもキャリアグレードの品質であることを強調したい。NetScreenと当社の技術の結晶であり、(セキュリティ機能でも、NetScreenやSSGアプライアンスが搭載している)Screen OSと比べて、落ちた部分はないと考えている」とアピール。またサービス・プロセシング・カードについても市場のニーズをくみ、随時追加していく予定で、コロン氏は「今はファイアウォールなどのセキュリティ機能が中心だが、それにとどまらない、ダイナミックなサービスゲートウェイであり、新しい情報基盤である」と述べている。



URL
  ジュニパーネットワークス株式会社
  http://juniper.co.jp/
  プレスリリース
  http://juniper.co.jp/company/presscenter/pr/2008/pr-080916.html


( 石井 一志 )
2008/09/16 09:28

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