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米Teradata、ストレージ容量50PBの特定用途向けDWHアプライアンスなど


米Teradata、Chief Development OfficerのScott Gnau氏
 米Teradataは10月13日(米国時間)、ラスベガスで開催中のPARTNERS 2008にて、データウェアハウス(DWH)アプライアンスの新製品「Extreme Data Appliance 1550」およびDWH基盤ソフトの新版「Teradata 13.0」を発表した。

 Extreme Data Appliance 1550は、最大50PB(ペタバイト)のユーザーデータを扱える大容量DWHアプライアンス。DWHアプライアンスとしてはこのほか、ストレージ容量140TBの「Data Warehouse Appliance 2550」、10PBの「Active Enterprise Data Warehouse 5550」などがあるが、Extreme Data Appliance 1550はこれら既存製品とは「若干毛色の異なる製品」(米Teradata、Chief Development OfficerのScott Gnau氏)となる。

 Gnau氏によれば、「大量のデータへ特定の人がアクセスするのに最適なDWHで、例えば、食品情報を長期保存し、食品衛生上の問題が起きた際にトレーサビリティとして活用するといったことを想定している」という。

 従来製品は、Teradataが戦略の主軸とするEDW(Enterprise Data Warehouse)やADW(Active Data Warehouse)を実現するための製品だった。EDWとは、BIの活用シーンをバックオフィスからフロントオフィス、さらには顧客・サプライヤ・代理店など組織を超えて拡大していく考え方。共通のデータにすべての人がアクセス可能とすることで、企業としての戦略的な意思決定だけでなく、実務レベルの戦術策定も実現していくことがその狙いだ。その分、大量の同時アクセスに応えるためのパフォーマンスが重要な要素となる。

 一方のExtreme Data Appliance 1550では、多数の同時アクセスは想定していない。食品トレーサビリティや監査証跡のように、いざというときだけ特定の人がアクセスするといった用途が主で、そのため、パフォーマンスではなく大量のデータを長期保存できるよう、ストレージ容量を重視しているのが特徴である。製品ラインアップの中では圧倒的な50PB(利用可能領域)の大容量を実現している。

 また「大容量な分、ストレージの容量単価も安くなっており、Active Enterprise Data Warehouse 5550が20万ドル/TBであるのに対し、Extreme Data Appliance 1550は1万6500ドル/TBなのも特徴の1つ」(同氏)としている。


製品ラインアップ。Data Warehouse Appliance 2550は、ストレージ容量が大きく、容量単価が安い Data Warehouse Appliance 2550の特徴

Teradata 13.0における5つの大きな価値
 もう1つの新製品、Teradata 13.0では、新たにストレージを仮想化する「Teradata Virtual Storage」という機能を搭載。従来、各HDDに対しては、それぞれ別個の管理ソフトで管理しなければならず、システム全体での最適化が行えなかった。Teradata Virtual Storageでは、全体を1つのストレージとして、統合管理できるのがメリット。

 具体的には、アクセス頻度の高いデータ「Hot data」とアクセス頻度の低いデータ「Cold data」を判別し、Hot dataをストレージのパフォーマンスが早いポイント(例えば、ディスクの円盤の外側など)に再配置することが可能になった。

 現状ではTeradata Virtual Storageフェーズ1ということで、運用の中でリアルタイムに最適化を図ることはできないが、次期バージョンではアクセス状況を常に解析して、データのアクセス頻度が高ければ高いほど、処理速度の速いポイントへリアルタイムに物理リソースをまたがって再配置することが可能になるという。

 また、解析可能なデータタイプに「地理情報」が追加された。「DWHとして情報の解析を行う際に、地理情報を加味した解析が可能で、例えば地震が起きた際に、その周囲何kmといったデータタイプを加味して解析を行うことができる」(マーケティング統括部 プロダクト・マーケティング&マネジメント部長の丹隆之氏)という。

 そのほかにもおよそ75の新機能が追加されており、基礎能力の向上も図られている。スケーラビリティ、パフォーマンスが向上し、「ETL(Extract/Transform/Load)についても30%スピードアップしている。さらにJavaオブジェクトのインテグレーションも可能になったほか、統計情報を基に与えられたSQL文において、最適な処理手順を自動実行するOptimizerを強化。これによって、クエリパフォーマンスも向上している」とGnau氏は語った。



URL
  米Teradata
  http://www.teradata.com/
  ニュースリリース(英文)
  http://www.teradata.com/t/page/184462/
  http://www.teradata.com/t/page/184445/
  http://www.teradata.com/t/page/184479/

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( 川島 弘之 )
2008/10/14 16:40

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