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インテル、vProの販売開始を発表-対応ソリューションなど公開


インテル吉田和正共同社長
 インテル株式会社は10月11日、インテルvProテクノロジーの普及を狙った「インテルvProテクノロジー・コンファレンス」を開催した。

 vProは、Core 2 Duoプロセッサを搭載し、第二世代のインテルアクティブ・マネジメント・テクノロジー、インテルバーチャライゼーション・テクノロジー、インテルQ965 Expressチップセット、インテル82566DMギガビット・ネットワーク・コネクションなどにより構成された企業向けPCテクノロジー。低消費電力で、クライアント管理機能、セキュリティ機能が大幅に強化されている。

 冒頭、吉田和正共同社長が挨拶に立ち、vProについて次のように説明した。

 「今日のイベントは、今日から販売を始めるvProを盛り上げていくためのものだが、多くのPCメーカー、ソフトウェアメーカー、システムインテグレータの皆様に参加していただいている。なぜこれだけ多くのパートナーの皆様から注目されているのかだが、その第一点となるのがセキュリティ問題。私どもインテルにも毎日多数のウイルスや迷惑メールが届き、大きな脅威にさらされている。こうした問題に対応するためのテクノロジーが注目されている。また、自宅勤務といった新しい勤務形態も増加している。新しい勤務形態に対応し、資源を有効に管理していくことが可能なIT管理コストの削減にも注目が集まっている。vProは、低消費電力、高性能を実現したことでこれらの問題に対応する。例えば、仮想化技術はCPU性能が向上したことで実現し、その結果、セキュリティの向上といったことが実現する。本日は、10時から筑波大学さまと協力し、セキュアVM開発を支援していくという内容の記者会見を行った。これも仮想化技術を活用して、セキュリティの確立を狙ったもので、より高いセキュリティの確立を実現していきたい」


米Intelデジタル・エンタープライズ事業本部 デジタルオフィス事業部長のグレゴリー・ブライアント氏
 続けて、米Intelデジタル・エンタープライズ事業本部デジタルオフィス事業部長のグレゴリー・ブライアント氏がvProの登場によって、企業ソリューションがどのように変革していくのかを説明した。

 まず、ブライアント氏は、「vProはこの10年間にわれわれが発表したものの中で、最も進歩的なテクノロジー」であると強調。

 ブライアント氏は、自身がIntelの情報システム部門に在籍していた経験から、企業ユーザーを取り巻く環境が大きく変化していることを指摘。

 「私自身がIntelの情報システム部門で働いていた1999年当時は、IT投資に使う予算はどんどん増えていった。Y2K問題に対応するため、予算はさらに投資されることも予定されていた。セキュリティ事故もあることはあったが、ちょっとした事故に過ぎず、セキュリティホールが見つかって攻撃されるまでには、ほぼ200日程度の余裕があり、6週間から8週間以内にパッチをあてればよかった。ところが、2006年のITを巡る状況は大きく異なっている。IT予算は削減され、セキュリティ事故は驚異的に増えた。一層悪いことには、セキュリティを破る行為は愉快犯による仕業ではなく、プロが金銭目当てに行うものになってしまっている。そのため、セキュリティホールは発見と同時に攻撃が始まり、抜本的に従来とは異なる対応策が必要になっている」


 その対策として登場したvProは、「ビジネス・クライアントPCをゲームチェンジするテクノロジーとなる」と、これまでのクライアントマシン環境をまったく変えるものであると強調した。

 その違いについては、1)ハードウェア資産の検出・管理、2)ブートしないクライアントPCの修復、3)企業ネットワーク&クライアントPCのウイルス対策、という3つのストーリーで、vPro登場以前を「Before」、登場後を「After」として紹介した。

 Beforeの世界では、コストを優先し、Centrinoが搭載された25台のPCを利用している企業があると想定してデモンストレーションが行われた。その企業では、管理用コンソールを使って管理しているものの、電源が入っていないものなどは管理画面に表示されない。そのため、正確に管理を行うためには、担当者がPCが置かれている現場に出向き確認しなければならない。そのための時間、コストがかかり、無駄が多く効率も悪い。システム障害が起こった場合には、リモート操作では対応できず、やはり担当者が現地に行って確認するしか方法がない。セキュリティ対策については、社内で禁止されているファイル共有ソフト「Wimmy」が密かに利用されているが、管理者がその事実に気がつくのはウイルス感染によって社内情報の漏えいが起こった時になる。

 それに対し、Afterの世界では、同じ25台のPCを利用しているが、すべてvPro対応となっているため、管理コンソールの管理者用画面から電源が入っていないものも含めて、すべてのPCを確認することが可能となり、管理担当者はわざわざ現場に出向く必要はない。トラブルが起こった場合にも、例えば誤ってOSの重要なファイルを消してしまったため、OSが起動しないPCがある場合でも、バックアップしておいたユーザーデータをリストアして、短時間で問題を解決。BIOSに問題があった場合でも、BIOSの設定変更までリモートで行えるので、障害を素早く防ぐことができる。シリアルオーバーランなどの機能を使って、問題のある箇所を確認してリモートで復旧し、ダウンタイムを短くして、管理者コストを大幅に削減する。セキュリティにおいても、利用が禁止されている「Wimmy」を使ってダウンロードしようとしても、禁止されているソフトに対してはネットワークを遮断することができるため、ネットワーク自体に接続されない。


「Before」のデモでは禁止されているファイル共有ソフト「Wimmy」を利用したことで、クライアントは次々に情報漏えいしてしまう 「After」のデモでは、例え「Wimmy」を利用しようとしてもネットワーク接続自体が遮断され、情報漏えいすることはない

いち早くvProに対応した「JP1」を発売する日立製作所ソフトウェア事業部の中村孝男事業部長

ユーザーの立場からvPro導入のメリットを話した三菱東京UFJ銀行システム部執行役員の根本武彦システム部長
 デモの後で、対応PCの発売を予定しているNEC、デル、日立製作所、日本ヒューレット・パッカード、富士通、レノボ・ジャパンがビデオで賛同メッセージを発表。

 さらに、対応ソフトウェアの販売を表明しているベンダーから、日立製作所のソフトウェア事業部・中村孝男事業部長が、10月12日にから販売開始する統合管理ソフト「JP1」のvPro対応版を発売した狙いを説明。「調査会社の調査では、有り難いことにJP1は統合管理ソフトではナンバー1シェアという評価を得ている。今回、管理機能が強化されたvProにいち早く対応することで、ナンバー1同士、ユーザーに大きなメリットを提供できる」とコメントした。

 ユーザーの立場からは、三菱東京UFJ銀行のシステム部システム部長・根本武彦執行役員が登場し、「当社が登場することになった意味はどこにあるのかと考えていたが、今日のデモンストレーションを見て、Beforeの代表として呼ばれたのだと感じた。デモの中で問題点としてあがったシナリオは、いずれもわれわれ自身が問題と感じているもので、当社もいろいろな対応策をとっている。今回、vProのような強固なセキュリティ機能と管理コストの削減を実現できるソリューションが登場したことは、われわれのようなユーザーにとっても大変有り難いことだと考えている。相当額の管理コストが削減できるだろう」と話した。

 コンファレンスには、対応ソリューションの提供を表明した、NEC、日本ヒューレット・パッカード、日立製作所、レノボがパソコンを、アルティリス・ジャパン、シマンテック、クオリティ、LANDesk、日立製作所が対応ソフトを展示し、パートナー企業などにアピールした。



URL
  インテル株式会社
  http://www.intel.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.intel.co.jp/jp/intel/pr/press2006/061011b.htm


( 三浦 優子 )
2006/10/11 18:26

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