米Oracleは7月11日(米国時間)、リレーショナルデータベース製品の最新版「Oracle Database 11g」(以下、11g)を発表した。4年ぶりのメジャーバージョンアップとなるこの製品では、テストを効率化する機能やILM関連の機能など、400種類以上の新機能が追加されたという。オラクル・サーバー技術担当シニア・バイスプレジデントのアンディ・メンデルソン氏は、「競合製品は、ローエンド市場では魅力的かもしれないが、そのプレゼンスは小さい。当社では彼らの5年先を進んでいる」と語り、製品力に自信を示した。
11gでは、検証作業を自動化する「Oracle Real Application Testing」機能を搭載し、ユーザーの負担を劇的に軽減することができる。メンデルソン氏によれば、SQLのステートメントを本番環境から持ってきてテスト可能なほか、Oracle Database 10gと11gのパフォーマンスを比較することもできるという。
また11gでは、障害復旧技術の「Oracle Data Guard」が強化された点も強調できる点だ。予備のデータベースを構築してシステム障害や災害に備える機能だが、新版では予備環境を利用してレポートやバックアップ、テストなどの機能を行えるようにした。「これによって、とても費用対効果の高い災害対策ソリューションを実現できる」(メンデルソン氏)。
セキュリティ/コンプライアンス面での機能も強化された。まず、「Oracle Transparent Data Encryption」機能を拡張した暗号化では、従来のカラムベースから、表、索引、およびそのほかのデータストレージ全体をカバーできるようになった。また、過去における任意の時点のデータを検索できる「Oracle Total Recall」機能が新たに搭載されたことにより、変更の追跡や監査などをより有効に行えるとのこと。メンデルソン氏はこれらの新機能と、データベース管理者の行動を制限する「Database Vault」や、ログ監査ツール「Audit Vault」といった既存製品・オプションとの併用により、セキュリティやコンプライアンスのニーズに対応できるとした。
このほか、XMLなどの非構造化データを格納する機能や自動チューニング機能の強化、データ圧縮機能とパーティショニング機能の拡張によるILM(情報ライフサイクル)関連機能の強化などが行われている。ILM関連機能については、「本番システムにおいて15~20%のコストを下げられる」(メンデルソン氏)という。
このように新機能がさまざまある11gだが、現在ではデータベース市場は成熟市場になりつつあり、新版への移行がスムーズに進むかどうかを疑問視する声もある。こうした点に対してメンデルソン氏は、Independent Oracle Users Group(IOUG)の調査結果を引き合いに出し、「IOUGでは、35%の企業が1年以内に、50%が2年以内にアップグレードしたいとの意向を示している。これは、10gと比べて2倍のペースだ」と述べ、移行は順調に進むだろうという見方を示している。
Oracleでは、まず11gのLinux版を8月に米国でリリースし、その後ほかのプラットフォームへ順次拡大していく予定。メンデルソン氏によれば、製品構成や価格は従来と同様とのことで、Enterprise EditionやStandard Edition、Standard Edition Oneなどが用意されるが、最初のリリース時には、無償版のExpress Editionは提供されない。
■ URL
米Oracle
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ニュースリリース(日本語抄訳)
http://www.oracle.co.jp/news_owa/NEWS/news.news_detail?p_news_code=1757
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