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富士通、地下鉄駅構内の混雑状況をIoTで可視化する名古屋市との共同実証を開始

 富士通株式会社は7日、愛知県名古屋市と地下鉄利用における混雑緩和や利便性向上に向けて、名古屋市営地下鉄栄駅構内に富士通のWi-Fiパケットセンサーを設置し、人の流れを可視化する実証実験を開始した。実証実験の期間は2019年10月7日から2020年1月31日まで。

 東山線と名城線が乗り入れる市営地下鉄栄駅は、一日あたりの利用者数が約23万人で、オフィスや商業施設などが集まる市の中心地であるとともに、沿線でのプロスポーツ試合などのイベント開催時には全国各地から多くの観光客が訪れ、臨時列車の運行対応がなされるほど利用者数が大幅に増加する。そのため、駅構内の実態把握や分析が難しく、路線が入り組む複雑な構造も相まって、混雑緩和への適切な対策が講じられていないことが課題となっていたという。

 こうした課題を踏まえ、富士通ではスマートフォンなどの通信機器から発する信号を検知するWi-Fiパケットセンサーを駅構内に設置し、個人を特定できないように匿名化処理をした上で、地下鉄利用者の人流データを計測・分析する実証実験を名古屋市と共同で実施する。

Wi-Fiパケットセンサーとプライバシーマーク(予定)を設置[左図]、栄駅ホームの設置場所(予定)[右図]

 実証実験では、栄駅構内の改札およびホームなどにWi-Fiパケットセンサーを6台程度設置。乗降および乗り換えを行う地下鉄利用者が所有するスマートフォンなどの通信機器から発する固有IDのみをリアルタイムにセンサーで収集し、データを匿名化した上で計測する。

 センサーごとに収集、計測した固有IDをグラフ化し、人の流動状況を15分ごとに可視化。複数のセンサーで計測した固有IDをクロス集計することにより、時間帯ごとの人の流れを流動量とともに可視化し、これらのデータを分析することで、栄駅構内における時間帯ごとの最適な移動ルートを検証する。