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先進起業家は空を目指す 新しい航空機と輸送システム次々登場

 “空”がハイテク業界を賑わしている。Uber、Google、Skypeなどの創業者たちが、それぞれ新しいタイプの航空機を活用した事業を自身で進めたり、ベンチャーをバックアップするなど、活発に動いている。いずれもハイテク業界で名をなした先見の明のある人物たち。なぜこの時期、起業家たちは空を目指すのか――。

垂直離着陸機で都市間を高速移動

 配車サービスのUberが「Uber Elevate Summit」というイベントを、4月25日から3日間、テキサス州ダラスで開催した。タクシーという地上ベースの旅客輸送から、空を利用した輸送システムに拡大すべく、同社が初めて開催したイベントだ。

 空といっても、従来型の旅客機のように長距離を移動するのではなく、短距離の移動で、eVTOL(電動垂直離着陸機)を利用する。Uberはこのサービスで、オンデマンドのネットワークを構築するとしている。Uber Elevateとは、そのネットワークの名称だ。

 Uberの最高製品責任者、Jeff Holden氏は「Uberが空に注意を向けるのは自然なことだ。ボタンを押せば、フライトが用意される。都市部の航空(輸送システム)は長時間の通勤を置き換える。(VTOLは)われわれのミッションに合ったものだ」と述べた。イベントをレポートしたSan Francisco Chronicleなどが伝えている。

 くしくも同じ日、Skypeの共同創業者で、現在はベンチャーキャピタルAtomicoのCEOを務めるNiklas Zennstrom氏が、投資先のLiliumがプロトタイプ機体の飛行に初めて成功したと報告した。Liliumはミュンヘン工科大学の起業家が始めたベンチャーで、世界初のeVTOLをうたっている。

 LiliumのWebサイトによると、時速は300km(1時間程度でロンドン-パリ間を移動できる)で、化石燃料を使わない電動でクリーンな交通手段になるという。ユーザーはアプリを利用して「空のタクシーを依頼し、最寄りの離着陸場で乗車できる」と説明している。

 Zennstrom氏のブログ記事のタイトルは「決定的瞬間」。「Skypeは変革だった」と述べ、自身がSkypeを開発した時になぞらえながら、Liliumの快挙を紹介した。Atomicoは2016年末、Liliumの1000万ドルの資金調達ラウンドに参加している。

 飛行に成功したのは2席のプロトタイプだが、同社は現在、5席のLilium Jetを開発中だ。少なくとも乗用車の5倍の速度で都市間を移動できるようになるとしている。