「豊富な事例研究とノウハウで企業のソーシャルメディア活用を促進」ループス・コミュニケーションズ斉藤社長


 本日のゲストは、ソーシャルメディアマーケティングの上流コンサルティングを手がけるベンチャー、ループス・コミュニケーションズの斉藤徹社長です。穏やかな語り口が印象的な斉藤さんは、世界中のソーシャルメディアマーケティングの好事例を収集し、研究しながら、顧客に最適なソリューションの提供に努めているとおっしゃっています。


斉藤 徹
株式会社ループス・コミュニケーションズ 代表取締役

1985年 慶応義塾大学理工学部卒業
1985年 日本IBM(株)入社。ソフト技術者およびSEとして汎用機からオフコン、PCまで広く開発に従事
1991年 (株)フレックスファーム創業。携帯コンテンツ変換ソフト「x-Servlet」で日経新聞優秀製品賞・広告賞を受賞
2004年 (株)フレックスファームの全株式を KSKに売却
2005年 (株)ループス・コミュニケーションズ創業


2005年のSNS創成期に設立

小川氏
 ループスの創業はいつですか?


斉藤氏
 2005年7月です。その前はフレックスファームというケータイベンチャーの創業者として働いていました。1991年から2004年です。その後全株式を売却して、今に至っています。ですから起業してもう20年近く経っていることになりますね。


小川氏
 一度も就職したことがない?


斉藤氏
 いやいや、日本IBMで6年少々、技術者として働いていました。


小川氏
 ループスという会社をひと言でいうとなんですか?


斉藤氏
 ソーシャルメディアダイナミクスというビジョンを持った会社です。ソーシャルメディアを世の中にもっと普及させたいと考えています。初期のSNSの代表であるフレンドスターの台頭が2005年あたりです。2006年が、SNSがバズワードとしてピークだったと思います。mixiが上場したりしてね。

 僕が副社長の福田とともにループスの創業準備していたころには、SNSをいちから作るのは遅いと思ったんです。これからは企業もSNSを活用する時代がくるだろうと。そこで、ソーシャルメディア、当時はソーシャルネットワーキングという言い方をしていましたが、とにかくソーシャルメディアを企業に提供することを考えて作った会社ですね。


企業のSNS活用はプライベートコミュニティ運用型と社内SNS型

小川氏
 企業がSNSを利用するときに考えられるスタイルはいくつかあると思いますが。


斉藤氏
 ええ。企業がSNSを活用するときには、ロイヤルカスタマーにプライベートコミュニティを提供する形と、自社で社内SNSを導入するという、二つの流れがありますね。われわれは主としてプライベートコミュニティもしくはブランドコミュニティの提供を考えてきた会社です。


小川氏
 なるほど。僕は日立やモディファイで、イントラブログやイントラTwitterの提供をメインにやってきましたが、最近はもっとオープンな情報共有を、消費者を含めて行えるような形に意識がシフトしています。

 ループスの手法だと、エイベック研究所に近いんですかね。


斉藤氏
 エイベックさんとは接点はないですが、彼らの仕組みはコミュニティ運営にひもづき、われわれはSNSにひもづいて生まれたという小さな違いがありますね。共通点はもちろん多いと思いますが。


小川氏
 御社の実績は?


斉藤氏
 プライベートコミュニティ作りでは約70社の実績があります。SNSパッケージとしては日本国内のトップシェアといっていいでしょう。

 SNSがはやりだしたころは、とにかく実験的に入れていこうという意識が強くて、単純にmixiクローンを作って、コミュニケーションの場を提供して、あとはご自由にご歓談ください、というソリューションが多かったですが、ユーザーがそんなに簡単に盛り上がってくれるわけではないですから、必ずしも成功事例が多くなく、頭痛のタネが多かったですね。

 それが変わったのはFacebookがきっかけです。メガSNSといっていいんでしょうね、けた違いに大きなSNSが生まれてきて、さらにTwitterのような外部のソーシャルメディアもでてきたじゃないですか。だからプライベートコミュニティのような独立した形を作るよりも、バイラルマーケティングの形を狙うべきと思い、メガSNSをどう使えばマーケティングにつながるかのソリューションをご提示して、必要によってはプライベートコミュニティを提供するというモデルに切り替えたんです。


小川氏
 いつからですか?


斉藤氏
 昨年の後半からスタートしました。


ループスとモディファイは好相性

小川氏
 基本うちといっしょですね。われわれもRSSフィードや各種の APIを使ったマーケティングサイト構築を最初に手がけつつ、(企業内マイクロブログの)Yammerに近い社内Twitterクローンとして SMART4Bを提供し始めたのが一昨年の12月です。

 その後、SM3というメガSNSやTwitterへの情報公開を効率的に行うためのツールを作り、利用方法のコンサルティングを含めたソーシャルメディアマーケティング事業を2009年7月からスタートしています。


斉藤氏
 モディファイさんは基本的に技術会社ですよね。うちはコンサルとプロジェクトマネージャーしかいない上流工程の会社です。だから競業ではなく協業ができる、相性がとってもいい、と思っています。


小川氏
 最近僕たちは、とみにファストマーケティング企業を目指そうと思ってきています。
どういうことかというと、もちろんファストマーケティングというのはファストファッションやファストフードから拝借した造語なんですけどね(笑)。

 要は、ファストファッションは直営店でしか自社ブランドの商品を売らず、しかもファッション業界のトレンドをうまくつかんで、常にキャッチーな商品を安く提供します。安くて良さげな商品を扱う業者はたくさんあるけど、流通を人任せにしてしまうのでブランドとして成立させることができない。でも、H&Mにしてもユニクロにしても、そこにはコストとリスクをかけて自社店舗にしか商品を置かないから、多少でも稀少感を出すことができて、金額は安くてもブランド化できるんです。

 マーケティング支援サービスとテクノロジーの提供者として、僕たちも世の中のトレンドをパッと抑えて柔軟に対応して、最高のテクノロジーを安く早く提供するための体制作りを必死にやってます。そのテクノロジーを自分たちでちゃんと持って、自社で作り上げて行くからブランドを保てるかな、と。

 その意味で上流コンサルにフォーカスするループスさんとは相性がいいはずです。


斉藤氏
 ファストマーケティングですね。ソーシャルメディアは即対応が命ですから、ファストという考えは攻めにしても守りにしても大事ですね。

 うちも、最盛期には50人いた社員を7名に減らして、開発は外部に委託して社内はコンサルティング業務に集中するように切り替えて再出発しています。パッとみではコンペティターと思われることが多いかもしれませんが、モディファイさんとの協業を含め、さまざまな企業さんとの協力関係を築きながら、本当に役立つソーシャルメディアマーケティングのご提供をしていきたいと考えています。





小川 浩(おがわ ひろし)
株式会社モディファイ CEO。東南アジアで商社マンとして活躍したのち、自らネットベンチャーを立ち上げる。2001年5月から日立製作所勤務。ビジネスコンシューマー向けコ ラボレーションウェア事業「BOXER」をプロデュース。2005年4月よりサイボウズ株式会社にてFeedアグリゲーションサービス 「feedpath」をプロデュースし、フィードパス株式会社のCOOに就任。2006年12月に退任し、サンブリッジのEIR(客員起業家制度)を利用 して、モディファイを設立。現在に至る。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス) などがある。

2010/4/6/ 09:00