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「iPhone 3GSがビジネススマートフォンの市場を開く」ジェナ手塚社長


 今回のゲストは、iPhoneに特化したさまざまな法人サービス事業を展開する話題のベンチャー企業、ジェナの社長である手塚さんです。手塚さんは慶応大学SFC出身で、在学中からモバイルベンチャーに参加するなど、ある意味ネットベンチャーのIPOブームのころであればステレオタイプ的な起業家といえますが、iPhoneという一つのモバイルプラットフォームへの傾倒ぶりがさわやかな印象を与えています。


手塚 康夫
株式会社ジェナ 代表取締役社長

慶応義塾大学環境情報学部在学中より複数のモバイル関連ベンチャーに参画し、2006年に株式会社ジェナを設立。創業時より法人向けモバイルソリューションに特化したコンサルティング事業を展開。2009年に法人向けiPhone総合サービスを開始し、iPhoneビジネス活用ポータル「iPhone Business Paradise」の中の人として法人向けiPhone市場の開拓に日々励む。Twitterアカウントは「@iphone_business」、OneTopiのトピック「iPhoneビジネス」のキュレータも務める。


iPhoneソリューションの法人事業

小川氏
 ジェナとはどんな企業なのか、一言で説明していただけますか?


手塚氏
 ジェナは法人向けにiPhoneのアプリ開発、Webサイトの制作など、さまざまなソリューションの提案をしている会社です。iPhoneと組み合わせたセールスフォースのサービス紹介や導入支援などもしています。iPhone Business Paradise(http://www.iphonebusiness.jp/)というサイトを広報的な意味で運営もしています。


小川氏
 iPhone以外の仕事もやっている?


手塚氏
 もともとモバイルをテーマにした会社です。iPhone以外のモバイル系のマーケティングやセールスのコンサルもやっています。でも、iPhone 3GSのリリースにきっかけに、iPhone中心の事業になりましたね。


小川氏
 創業はいつでしたっけ?


手塚氏
 2006年3月に創業です。いまは社員10名になりました。


小川氏
 開発は自社で?


手塚氏
 開発そのものはパートナー企業に委託します。うちは企画とデザインと、開発とマーケティングのおのおののフェーズがありまして、自社では設計のみで、実装はパートナーに出しています。ARならARの実績のある企業へ出すようにしています。

 10名の内訳は、5名が制作、5名が営業、ですね。


iPhoneへの個人的執着も事業化を後押し

小川氏
 iPhoneに特化しようとしたきっかけは?


手塚氏
 iPhone OS 3.0と、iPhone 3GSが出たことです。それ以前のiPhoneはコンシューマユースにすぎなかったわけで、法人向けのスマートフォンであるBlackBerryとの比較だとセキュリティ面でも弱かったですよね。それが3GSならビジネスに耐えるし、実際使いやすくなっている。ということで、スマートフォンの市場が広がっていくし、その中心にiPhoneがなるだろうと考えました。


小川氏
 Androidは手がけていない?


手塚氏
 今年の4月から参入予定です。でも、まだR&Dが中心ですね。Androidは開発者にとって垣根が低いOSなんですね。逆にiPhoneの場合では開発者がObjective-Cを使える人があまりいないので、垣根が高い。ただし、AndroidはハードとOSの統一感がなくて、メーカーによって仕様がバラバラになる可能性が高いんです。その点、iPhoneはハードとOSの統一がされていて、開発に当たって集中してやりやすいというメリットがあります。

 Nexus OneにしてもXperiaにしても、メーカー主導なので機種依存が強い傾向にありますね。各企業がプラットフォームの統一に動かず、端末ごとに囲い込もうとしているので、そのうえでアプリ開発をするのは少々大変です。


小川氏
 確かに。


手塚氏
 あとは、僕たちがiPhoneへの執着というか、とにかく好きなんですね(笑)。

 愛くるしいとか、いとおしいというか。ビジネスユースのツールはドライで、人間味がないものが多いですが、その点iPhoneはデザインやインターフェイス、使い心地がいい。結果、社内全部MacとiPhoneで統一しています。


小川氏
 うちもです(笑)。


業務以外の遊興的な機能が企業の採用の邪魔になることも

小川氏
 僕たちは、消費者や顧客企業が新しい商品やソリューションを敬遠したがるときの、一種の先入観みたいなものをデスマグネット(死の磁石)と呼んでいます。例えばiPhoneはタッチパネルだから女性が使えない、という人が多かったことは記憶に新しいと思います。

 ジェナさんの事業を進めるうえで、そういうデスマグネットはありませんか?


手塚氏
 デスマグネットですか。ありますね。

 例えば、iPhoneは音楽を聴けるとかゲームができる、という業務外のことができてしまうことが、かえってビジネス用途にマイナスになることがありますね。

 あとはiPhone自体がMacのようなものですから、非Windowsの世界に対する、知らないものへの恐怖みたいなことがあるかもしれないですね。だからそういう企業にはWindows Mobileのほうが入りやすいかもしれません。


小川氏
 確かにね。ご提案するiPhone用のアプリはどんなものが多いんですか?


手塚氏
 ビジネスアプリはだいたい3パターンです。社内のシステムとの連携、例えばワークフロー等の基幹システムとの連携のソリューションが一つ目。あとは既存のWebサービスをお持ちのお客さまが、それをiPhoneアプリとして売りたいときのお手伝い。もう一つは企業のプロモーション用のサイトやアプリの制作です。イベントや店舗のAR(拡張現実)アプリなどですね。この3つです。


小川氏
 事業の反響はいかがでしょう?


手塚氏
 非常に市場は伸びていると感じてます。昨年10月からの問い合わせが600件以上になりますから。


小川氏
 競合は?


手塚氏
 コンペティターは、もともとケータイのCP(コンテンツプロバイダー)をされていた企業や、モバイル系の開発企業の参入ですかね。PCのWebの開発企業も入ってきていますし、大手のSIerも徐々に来ています。え、こんな企業が参入しているの?と、コンペになって、驚くときがありますよ。


小川氏
 なるほど。


手塚氏
 TwitterとiPhoneの組み合わせの力も最近は実感しています。

 セミナーの集客にしても、iPhoneからのつぶやき一回で20〜30人の申し込みがありますからね。今後、市場はどんどん大きくなると思っています。


小川氏
 同感です。

 今日はありがとうございました。





小川 浩(おがわ ひろし)
株式会社モディファイ CEO。東南アジアで商社マンとして活躍したのち、自らネットベンチャーを立ち上げる。2001年5月から日立製作所勤務。ビジネスコンシューマー向けコ ラボレーションウェア事業「BOXER」をプロデュース。2005年4月よりサイボウズ株式会社にてFeedアグリゲーションサービス 「feedpath」をプロデュースし、フィードパス株式会社のCOOに就任。2006年12月に退任し、サンブリッジのEIR(客員起業家制度)を利用 して、モディファイを設立。現在に至る。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス) などがある。

2010/3/9/ 09:00