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「ソーシャルメディア全盛時代の最適なソリューションを提供」グランドデザイン&カンパニー小川社長


 今回のゲストは、2008年4月25日以来2回目の登場となる、モバイルマーケティングビジネスを展開するグランドデザイン&カンパニー株式会社の小川和也社長です。今回はモバイルに偏ることなく、ネットを軸とした新しいマーケティングソリューションについて語り合いました。


小川 和也
グランドデザイン&カンパニー株式会社 代表取締役社長

慶應義塾大学法学部卒業後、1995年に安田火災海上保険株式会社(現:株式会社損害保険ジャパン)入社。主に営業企画、マーケット開発等に従事。同社本社にて中央官庁担当を経て、2004年7月、グランドデザイン&カンパニー株式会社を創業、代表取締役社長に就任。


女性アパレルブランドとのコラボレーションで化粧品のマーチャンダイジングに挑戦


小川(ヒロ)氏
 前回の話のときには、モバイルを軸としてマーケティングをしかける、いわば新たなマーケティング潮流における電通的な存在を目指すと話されてましたが、それには変わりない?


小川(カズ)氏
 そうですね。基本的にはITを起点のマーケティング企業であることには変わりない。日本ではあまりロールモデルはないので、電通の名前をあげてみたんですが、ベンチマークとして適当でなかったかもしれないですね。

 最近のわれわれの事業として象徴的なのは、僕らが実はモノ作りを始めたことなんです。


小川(ヒロ)氏
 モノ作りというと?


小川(カズ)氏
 化粧品です。まずは昨年9月に、エゴイストというマルキュー(109)系の人気アパレルブランドとタイアップして、ヘアフレグランスをプロデュースしました。企画から開発、販売までをすべて手がけて。販路はECだけでなくリアルの店舗にも設置しました。次に直近で、同じマルキュー系のラグナムーンというランジェリーブランドとボディバターやフレグランス、リップグロストリートメントなどをプロデュースしました。


小川(ヒロ)氏
 エゴイストとラグナムーンはかなり若年層向けの印象が強いですね。


小川(カズ)氏
 エゴイストは109ブームの火付け役といえるブランドで、昨年で10周年を迎えたもはや老舗の一つです。一見ギャルぽい顧客層のイメージかもしれませんが、創業当時からのリピーターは30歳代も少なくなく、女性ブランドとしては広い世代にアピールできるブランドです。ラグナムーンはどちらかといえば新興ブランドですが、やはり幅広い層の女性に人気があります。


小川(ヒロ)氏
 なぜまた女性向けのアパレルブランドの別ラインの企画販売を始めたんでしょう?


小川(カズ)氏
 女性アパレルブランドとのコラボは、もともと女性誌と連動したWeb事業を展開していることもあって関心がありましたし、美容商材を選んだのも、もともとコスメテスターという化粧品関連のサイトや美容サロン向けのサービスも複数運営していたので勝手が分かっていたためです。

 そして、モノ作り自体を始めたのは、実際にわれわれの販促のスキルを証明する絶好の機会と思ったからなんです。宣伝・販促の力でだけどんな商品でも売れるという観点もあるかもしれませんが、本当は商品自体に魅力がなければどんなに頑張っても売れない。売れないものは結局何やっても売れにくいという現実からは回避できません。だから本当にモノを売ろうと思えば、商品企画から入らせていただくことが一番で、その力をわれわれに備えて、それを立証していきたくなった。コスメテスターではあまり知名度こそ高くないけど高品質な化粧品を取り上げて、40社の100アイテムくらいの販促支援してきましたが、販促支援の域を超えて根本的に「モノを売るとは何なのか」をいろいろと考える起点となりました。


小川(ヒロ)氏
 確かに売れるモノも売れない下手なプロモーションも存在するけど、どうやっても売れないモノと思いつつ高い広告料金だけをとる企業がないとはいえないですね。でも、お客さん、その商品は何をやっても売れないと思いますよというのは勇気が要りますしね(笑)


小川(カズ)氏
 ですね(笑)。

 だからこそわれわれが期待されていると思うんです。いいものをつくるのは絶対としても、マーケ、プロモ機能を自分で持っていることが大事で、マーチャンダイザーとITの融合スキームを作り、自社発ヒット商品という成果を実際にお見せすることで自分たちの価値を証明したいですね。ネットが絡むからこそ、商品のプロモーションだけでなく、次の商品開発に生かせるわけで、商品販売と商品開発のサイクルを作ることができるわけです。


時代は販促。商品企画からかかわることで売れるサイクルを作りたい


小川(ヒロ)氏
 そういう意味で、もはや広告の時代ではなく、販促、SP(セールスプロモーション)あるいはPRの時代であると僕も思っています。


小川(カズ)氏
 電博(電通と博報堂)もこれまではマスの広告主体から、今後はその手の仕事にもウエイトを置くことになるのだろうなと。


小川(ヒロ)氏
 また、PRとかブランディングが販促そのものに直結してきている証明として、例えばスポーツ選手などのPRを手がけてきたサニーサイドアップが東ハトのスナック菓子をプロデュースするなど、グランドデザインさんと同じような動きを見せています。


小川(カズ)氏
 そうなんです。マーケティング支援をする会社は、モノ作りからかかわっていくべき面が見えてきたんです。繰り返しになりますけど、販促支援する中で、やっても売れないものはままあるわけで、それが分かっているうえで販促を受けてモバイルソリューションをしてお金をいただいたら、それはうそになります。やってみてダメだったときに、やっぱモバイルはダメだとか、ネットは使えないよねと言われるのは心外じゃないですか。


小川(ヒロ)氏
 同感ですね。

 僕はマーケティングやブランディングだけでなく、デザインも、モノ作りの最初の時点で平行して考えられるべきだと思うんですよ。僕が社長という肩書だけでなくクリエイティブ・ディレクターを名乗っているのはそのためです。商品のパッケージングを最初にデザインしないで後付けしようとするのは間違いですよね。


小川(カズ)氏
 そうですよね。僕も社長ではありながらもマーケティング・ディレクターとして商品企画には携わっていきたいですし。


小川(ヒロ)氏
 少し話を戻しますが、販促というか戦略的なPR、戦略的なブランディングを考えていくうえで、IT業界がどう絡むか、今後の大きな課題と思いませんか。


小川(カズ)氏
 思います。モノ作りとITの両輪を考えていかないと。

 特に、検索エンジン対策、つまりSEOやSEMなどだけではなく、今後はソーシャルメディアとのかかわり方も考えないとダメですよね。


新しい時代のソーシャルメディア最適化&ソーシャルメディアマーケティングを提供


小川(ヒロ)氏
 そうなんです。


小川(カズ)氏
 グランドデザインとモディファイがタッグを組もうとしているポイントですね。

 例えば、まだここで詳しくはいえないですけどが、ECとソーシャルメディアの融合的な仕組みを考えています。例えばリアルの展示会に有名人をお呼びして、ブログに書いていただくことでクチコミに広げるなどという手段は前からあるわけです。だからといって、そういうアプローチを僕らがセットしてあげて終わりでは、結局マーケティングのソリューションとしては不完全で不親切だという見解です。

 そこで、使用感やパッケージのデザインなどの商品の中身等について、ユーザーの声をもらい続けて商品開発や改良に生かすことができたら?と考えてみる。例えばECを有力販路と据えるのならば、そこにソーシャルメディア内に分散されたユーザーの声などを効率的に収集して取り込むことによる可能性などを模索し、仕組み化してみようという感じです。


小川(ヒロ)氏
 いわゆるSEOは検索エンジンからのトラフィックをサイトに誘導することなんですけど、実際はGoogleとYahoo!の検索結果の上位にくることまでは保証するかもしれないけど、本当にトラフィックを誘導するところまでを保証できない。じゃあ、実際にクリックしてサイトまでトラフィックを持ってくるためには検索されやすいキーワードを買ってよ、となる。つまりSEMです。

 でも最近では、何が検索されやすいキーワードなのかはクチコミ、すなわちソーシャルメディアの中で決まってくる。ソーシャルメディアからのアクセス流入をいかに増やすかを真剣に考える時代がきている。要するに SMO/SMM(ソーシャルメディア最適化/ソーシャルメディアマーケティング)です。


小川(カズ)氏
 幅広いソーシャルメディアに対するアプローチの仕組みも必要ですよね。ソーシャルメディアを販促に生かすことの有効性はもはや否定できない昨今だけれど、単にクチコミを分析するだけでは十分ではないし、お金を出してブロガーに商品をよく書いてもらうなどの手法はもうユーザーが信じない。

 もっといえば、ユーザーを単に商品の説明サイトに飛ばしてもドキッとしてくれない。直接ECに飛ばして需要喚起するのはいいとは思うけど、たまたま自分が買った商品がWebで検索してみたら実はすごい話題になっている…ということが分かったら、その方がむしろ強固なクチコミ起点になったりする。そういう需要喚起やブランディング手法もあるのだと思います。


小川(ヒロ)氏
 ユーザーを呼んでくるだけでなく、買った後にも満足してもらうことで本当のブランドを作る。


小川(カズ)氏
 ヒロさんとのコラボは、互いに足りないところを補うだけでなく、1+1を3にも4にもすることでしょう。われわれはモバイルの可能性は感じてきましたが、iPhoneというかスマートフォンの影響でモバイルが変わってきた。当初モバイル業界にあった一部のネガティブな予想は外れて、iPhoneは確かに売れている。


小川(ヒロ)氏
 100万台はとうに超えたらしいですよ。


小川(カズ)氏
 従来的なケータイの延長線に限界があるのは確かですからね。

 同じように、ソーシャルメディアマーケティングでいえば、例えばmixiへの対応だけでいいんだ、ということではないんだと思います。ヒロさんが言うようにソーシャルメディアはストリームでつながり始めているから、ソーシャルメディア全体を俯瞰(ふかん)的に考えないと。


小川(ヒロ)氏
 そのとおりです。


小川(カズ)氏
 従来のバナーやモバイルのQRコードなどによる集客も、WebサイトのPVの増加まではある程度コミットできる。でもそれによって例えば店頭に行かせることができても、そこに良いモノがなければ、マーケティング活動としては不完全で終わってしまうわけです。モノを売るのは総力戦のはずで、WebサイトのPV 増加はそのための一要素にすぎないんです。

 Webの進歩は早いし、キャッチアップしていくのは難しい。そこで手っ取り早く分かりやすくで有名人ブログを広告として使ってみよう、ということになる。平面的な提案にはこういうのがありがち。でも、立体的に考えれば、ちょっと待てよ、となる。そしてそこに対する新しい定点的な手法が必要なんです。マーケティング活動の一環としてソーシャルメディアそのものに飛び込んでみて、その動きや流れをじかに見て感じて、何らかのフィードバックを得たらすぐ生かす、という新しいサイクルに対する仕組み作り。


小川(ヒロ)氏
 一昔前にブロードバンドの普及の最後の障壁で、ブロードバンドをどうやって家庭に引き込んでもらうことに同意してもらうかという意味で、それをラストワンマイルといったこと覚えてますか? 僕が思うに、Twitterはリアルの情報をWebにアップロードするためのファーストワンマイルだと思うんですよ。あれ以上簡単にはならない、タイトルはない、140文字しかないし、twitter.comでなくてもiPhoneのサードパーティのアプリでも投稿できるし(笑)。

 だからファーストワンマイルなんですけど、個人はいいんですけど、でも簡単すぎて企業は困るわけです。不用意になんでもかんでもWebに担当者がアップできちゃうんじゃ、管理のしようがない。なのにTwitterに投稿しちゃうといろんなところに伝搬しかねないから、クチコミ創造の威力がすごい(笑)。つまり、ある意味ソーシャルメディアを本気で活用しようと考えたときに、Twitterはまるで核爆弾の発射ボタンがむき出しになっているみたいなわけですよ。


小川(カズ)氏
 すごいたとえだ(笑)。


小川(ヒロ)氏
 それでモディファイではSM3というSMO/SMM支援ツールを作ったわけです。Twitterを始め、ソーシャルメディア全体の活用に取り組むための安全装置みたいなものですね。


小川(カズ)氏
 僕らはITと商品開発などのリアルとの統合マーケティングモデルを考え、モディファイではそのためのテクノロジーを作る。両社が組む意味はここにありますね。

 最終的には自社企画商品を実際に売ってみせて、それを土台にクライアントの商品企画段階から入れるスキームを作ることでこそ、本質的なマーケティング活動の支援もできる。そこでは絶対デジタルの知見はこれからのカギとなるけれど、デジタル視点だけでデジタルの力を本質的に引き出し切るのは難しい。それには総力戦でいかないとね(笑)。





小川 浩(おがわ ひろし)
株式会社モディファイ CEO。東南アジアで商社マンとして活躍したのち、自らネットベンチャーを立ち上げる。2001年5月から日立製作所勤務。ビジネスコンシューマー向けコ ラボレーションウェア事業「BOXER」をプロデュース。2005年4月よりサイボウズ株式会社にてFeedアグリゲーションサービス 「feedpath」をプロデュースし、フィードパス株式会社のCOOに就任。2006年12月に退任し、サンブリッジのEIR(客員起業家制度)を利用 して、モディファイを設立。現在に至る。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス) などがある。

2009/7/7/ 09:00

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