サイボウズとMS、SharePointベースの新グループウェア「Cybozu SP Apps」

ワークフロー・掲示板・スケジューラーを順次発売

【左】サイボウズ青野社長と【右】マイクロソフト樋口社長
協業の経緯

 サイボウズ株式会社とマイクロソフト株式会社は6月1日、Microsoft SharePoint Server(以下、SharePoint)をベースとした新しいグループウェア製品「Cybozu SP Apps」シリーズを開発し、6月14日に「Cybozu SP ワークフロー」「Cybozu SP 掲示板」を、2011年上半期に「Cybozu SP スケジューラー」を発売すると発表した。

 Cybozu SP Appsは、「もっと使いやすいSharePointへ」をテーマに、SharePointを開発プラットフォームとした新しいグループウェア製品シリーズ。「SP」には「SharePoint」と「Simple」という意味が込められている。

 マイクロソフト代表取締役社長 樋口泰行氏の「両社でもっとできることがあるのでは」という声で、2009年9月より始まった協業の成果で、特にSharePointの一部日本に適合しない欠点を、サイボウズ製品の「使いやすさ」でカバーするのが主眼となっている。

 「マイクロソフトの戦略的なプラットフォーム製品であるSharePointに、サイボウズのグループウェアを提供することで、新たな価値が生み出せるのでは」(サイボウズ代表取締役社長の青野慶久氏)との考えで、それぞれの顧客にヒアリングを実施。

 「SharePointは優れているけど、日本に見合わない部分もある」との多数の声から、特に「ワークフロー」と「掲示板」に寄せられた不満を重視し、新製品の開発に着手。細かなユーザビリティの観点から、「自分あての通知がわかる」「情報が集まる」「全員が見る・書き込む」「議論ができる」といった機能が不足している判断し、サイボウズで補完する形を採った。

 サイボウズが提供したのは、「スタートアップ」「ユーザー操作」「メンテナンス」に一貫する「かんたん!」という価値。導入に関しては、SharePointにインストール後、カスタマイズなしで利用できるほか、SharePoint専用製品として、データやActive Directoryなどを共有させることで、二重バックアップや組織・ユーザーの二重管理を不要にしている。

 また、ユーザー操作には細かいレベルで特にこだわり、Cybozu SP ワークフロー/掲示板ともにSharePointに欠けていた機能を補完した。例えば、SharePoint標準のワークフローは文書を軸にしたドキュメントワークフローに過ぎず、多段階での認証や文書に依存しない申請への対応が課題だった。そこで稟議(りんぎ)や残業申請なども可能な“承認・回章”のワークフローを搭載。申請とともに関係者へ通知を飛ばし、承認者が何をしなければいけないか即座に把握できるようステータスの表示などを明確にした。

 Cybozu SP 掲示板でも、情報の時系列化や未読/既読の管理などを機能補完し、フォロー機能を利用したグループディスカッションを実現。コメントを書き込んで「OK」するだけの簡単操作や、リストやカテゴリによる新着掲示の容易な把握を可能にしている。

未読/既読の管理画面など搭載メンテナンスは機能ごとに1カ所に集約。アイコンと説明文で迷わず設定できるCybozu SP ワークフローの申請画面

 両社は今後、共同プロモーション・販売活動として、マイクロソフト大手町テクノロジーセンターのショーケースとして組み込み、ソリューションの共同提案を行っていく。また、両社製品を取り扱う販売パートナー(内田洋行、大塚商会、住商情報、ソフトクリエイト、ソフトバンクBB、日立電サ)への支援として、トレーニングや技術情報を提供しながら、提案体制を整えていく。

 製品の今後については、2010年末までにSharePoint 2010対応を図り、2011年の早い段階にCybozu SP スケジューラーを発売。さらに「普及度合いを見ながら」(青野社長)BPOS対応やOffice連携などを検討していく。

 樋口社長は、「協業発表からこれまで、両社で既存顧客にヒアリングし開発にフィードバックするとともに、SharePoint技術者の育成などを実施してきた。それらを通じて国内市場での期待感や、日本発の世界展開グループウェアの可能性が見えてきた。実際、出光興産のようなSharePoint既存ユーザーからの期待の声も含め、369社の前向きな反応をいただいている」とアピール。

 引き続き青野社長が、「当社にとっては、2001年の海外進出の夢の続きとなる。このときは文化の壁にぶつかって、日本向けに作られた当社のグループウェアだけでは米国市場は開拓できなかった。新製品は、日本に併せたワークフローと掲示板を日本のお客さまに使ってもらうのが第一義だが、グローバル・大規模のSharePointをベースにすることで、樋口社長のおっしゃった通り、日本発の世界展開グループウェアとなる可能性を秘めている」とコメント。ともにメリットのある、Win-Winな協業であることを強調した。

価格とキャンペーンについて

 100ユーザーの標準価格は、Cybozu SP ワークフローが70万円(税別)、Cybozu SP 掲示板が35万円(同)、Cybozu SP スケジューラーが70万円(同)。1年分の保守が含まれる。

 なお、発売を記念して「最大80%Off!! ダブルで割り引きキャンペーン」を実施する予定で、7月31日までにエントリーした顧客に対して、Cybozu SP ワークフロー/掲示板ともに最大50%オフで提供する。さらに2010年10月31日までにCybozu SP ワークフロー/掲示板いずれかを購入した顧客には、Cybozu SP スケジューラーも最大80%オフで提供するとしている。

 両社では、今後3年間で計100社への導入をめざす方針。




(川島 弘之)

2010/6/1 18:12