ソフォスがエンドポイントセキュリティ最新版、クラウド型のマルウェア検出に対応


代表取締役社長の堀昭一氏
営業・マーケティング本部長の牛込秀樹氏

 ソフォス株式会社は5月25日、エンドポイントセキュリティ製品の最新版「Sophos Endpoint Security and Data Protection 9.5」および「Sophos Endpoint Security and Control 9.5」を提供すると発表した。6月24日より出荷開始する。

 「Sophos Endpoint Security and Data Protection」は、ウイルス対策、スパイウェア対策、クライアントファイアウォール、リムーバブルディスクや未承認ソフトウェアの利用制限・管理機能、検疫ネットワーク機能などのエンドポイントセキュリティ機能、ならびにデータ暗号化機能を備えた統合セキュリティ製品。同製品からデータ暗号化機能を除いた製品が「Sophos Endpoint Security and Control」となる。

 今回の最新版では、両製品ともクラウド型の検出機能を新たに追加したほか、HIPS機能(ホスト侵入防止機能)の強化などを実施している。

 最新版の発表に併せて、日本市場における同社の営業戦略について代表取締役社長の堀昭一氏が説明。「ITセキュリティ強化に向けた企業の取り組みが活発化するなかで、同社も昨年度は前年度比124%の売り上げを達成した。4万台を超える大規模の案件が増加したことに加え、官公庁系案件も安定増加しており、新規累計4億円超の官公庁案件も出てきている。また、パートナー企業との協業の推進や、Windows 2000のサポート切れによる特需があったことも追い風になった」と、業績が好調に推移している要因を分析。

 「今年度は、Windows 2000を含め、25のプラットフォームを幅広くサポートしている当社セキュリティ製品ならでは特徴をさらに訴求していく。併せて、製品導入や製品入れ替えの容易さや、1ライセンスで複合化する脅威に対応できるメリットも強くアピールする」との考えを述べた。

 具体的な施策としては、経験豊富な社員の採用による営業・マーケティング部および技術本部の体制強化を図るとともに、パートナー企業との連携をさらに強めることで、官公庁・教育機関ビジネスおよび民間企業ビジネスの拡大を目指す。「そして、このビジネス推進の中核製品として、エンドポイントセキュリティ製品の最新版を投入する」としている。

 続いて、営業・マーケティング本部長の牛込秀樹氏が、「セキュリティ製品をスタンドアロンで個別に導入した場合、各製品の間にギャップが生じ、そこが脆弱性につながる可能性がある。また、管理コンソールも製品によって異なるため、運用・管理負荷も大きくなる。これに対して、当社のエンドポイントセキュリティ製品は、さまざまなセキュリティ機能をスイート化して提供することで、製品間のギャップによる脆弱性を完全になくすとともに、一元化された管理コンソールによって、運用管理を容易に行うことができる」と、エンドポイントセキュリティ製品のメリットを強調。

 「今回の最新版では、クラウド型の検出機能を追加するなど、さらなる機能強化を図った。これにより、エンドポイントセキュリティ製品のニーズの高まりに対応し、企業のTCO削減を支援していく」と述べている。

 最新版で追加されたクラウド型の検出機能は、Web保護対策「Sophos Live Web Protection」とマルウェア保護対策「Sophos Live Malware Protection」。ソフォスの脅威解析センターである「SophosLabs」にリアルタイムにアクセスし、感染サイトやマルウェア情報をチェックすることで、最新の脅威から保護することが可能となった。

 アップデートファイルは、ネットワークに負荷のかからないコンパクトなファイルで5分おきに更新。また、前回確認した後に変更されたファイルのみをスキャンする、独自のDecision Cachingテクノロジーにより、スキャン時間の短縮も実現した。


Sophos Live Web Protectionの概要同機能の操作画面Sophos Live Malware Protectionの概要

 このほか、最新版では、ウェブブラウザ保護対策「Web Browser Protection」およびランタイムビヘイビア検知機能「Sophos Runtime HIPS」の機能強化を行っている。「Web Browser Protection」は、難読化したJavaScriptなどに潜む悪意あるスクリプト検知機能の向上、WebやPDFに潜む悪意あるスクリプトの検知率の向上を図ることで、Web系マルウェアへの脅威対策を強化した。

 一方、「Sophos Runtime HIPS」では、HIPSの検出精度を向上し誤検知率を低減。防御コンポーネント間で通信を行うことで、より効果的な保護を実現するとともに、プログラム実行前とランタイム分析の相関結果を加えることで、悪意あるプログラムの判定精度を向上している。


Web Browser Protectionの機能強化ポイントSophos Runtime HIPSの機能強化ポイント

 1年間100ユーザーの場合の価格は、「Sophos Endpoint Security and Data Protection 9.5」が6240円(税別)/ユーザー、「Sophos Endpoint Security and Control 9.5」が5200円(税別)/ユーザー。

Sophos Endpoint Security and Data Protectionの製品ロードマップ

 なお、同社では、エンドポイントセキュリティ製品の今後のロードマップも発表。次期バージョンとして「Sophos Endpoint Security and Data Protection 9.7」を2011年2月にリリースし、コンソールの統合化やカーネルレベルでのスキャン、URLフィルタリング機能の追加といった機能強化を行うという。

 さらに、2011年末には「Sophos Endpoint Security and Data Protection 10」を投入する予定。また、アンチウイルス製品「SAV」のプラットフォーム展開として、Linux版の次期バージョン「SAV for Linux 9」を2011年3~4月頃にリリース。Mac版については、2010年末に「SAV for Mac 7.2」、2011年春頃に「SAV for Mac 7.5」、そして2012年初頭をめどに「SAV for Mac 8」をリリースする予定となっている。




(唐沢 正和)

2010/5/25 17:47