デルの公共事業への取り組み、「日本はHPC市場が堅調」
米Dell グローバル公共事業統括責任者のポール・ベル氏 |
公共事業のフォーカスエリア |
デル株式会社は5月24日、公共事業の取り組みについて記者説明会を開催。米Dell グローバル公共事業統括責任者のポール・ベル氏がHPCソリューションを中心に説明した。
デルの公共事業では、特に研究教育、医療、官公庁などにフォーカスし、グローバル全体で1/4を売り上げを占めている。具体的には「K-12教育」「高度研究教育」「ヘルスケア&生命科学」「官公庁」の各分野に特化したソリューションを提供しているのが特徴だ。
「ヘルスケア&生命科学」においては、ペロー・システムズを買収することでソリューション力を強化し、「高度研究教育」では専門のハード部門を立ち上げ、HPCに特化した「PowerEdge C6100」を開発するなど、それぞれの分野で事業を加速させている。
デル 執行役員 北アジア地域 公共事業本部統括本部長統括責任者の郡信一郎氏 |
HPCのパートナー戦略 |
それらを踏まえた上で、ベル氏は「日本は特に高度研究教育市場が堅調」と語る。デル 執行役員 北アジア地域 公共事業本部統括本部長統括責任者の郡信一郎氏も、「日本のHPC市場は横ばいを維持している。スーパーコンピューターの需要が下がる一方で、より小規模な研究などで HPCのすそ野が広がっているからだ」と堅調さを強調。
同社のHPCはオープン性と柔軟性が特徴というが、そのオープン性を生かしたパートナー戦略にも積極的で、CPU/GPU、OS、クラスタソフト、ネットワーク、ファイルシステム、ストレージなど多岐にわたる協業を実現している。
このほかにも国内では、HPC専任エキスパートの増員、新たなオンラインコンテンツとツールの拡充などを実施。これまでは製品提供に注力してきた同社だが、「オンラインコンテンツやツールなどの拡充を図り、2010年からは製品提供だけでなく、アーキテクチャ自体の設計に、より深く踏み込んでいく」(郡氏)という。
その1つの例として、東京大学での導入事例を紹介。欧州合同原子核研究機構(CERN)が主導するATLAS実験データの解析拠点である同学素粒子物理国際研究センターに、PowerEdge M610ブレードサーバー×784台、M1000eブレードエンクロージャ×49台、R610ラックサーバー×39台、R710×2台、R410×2台を導入し、最大理論演算性能64.5TFLPSのシステムを構築。世界に約160あるというCERN解析拠点としては、日本で唯一のグリッド計算機システムを持つ施設として、2010年4月に稼動を開始している。
ベル氏は「日本には高度な研究機関が多数存在する。当社の製品は彼らに評価していただいており、公共事業としては2010年度第1四半期に39億ドルの売り上げを達成した。今後もリソースを結集し、効率的なHPCソリューションを提供できるよう努力を続けていく」と説明。研究用HPCとして最適なソリューションを、大学をはじめとする研究機関に訴求していく姿勢を見せた。
2010/5/24 16:30