富士通、「クラウド化が最適か」を見極めて移行支援するサービス


基本の移行ステップとサービス内容

 富士通株式会社は5月11日、業務システムをクラウド環境に移行するサービス「APMモダナイゼーションサービス for Cloud」の販売を開始した。

 クラウドには、データセンターに業務システムを預け、インターネットを介して利用するパブリッククラウドや、自社内にクラウド環境を構築し、それをグループ会社などで利用するプライベートクラウドなどがあるが、「クラウドに移行した際、業務システムの間でOSやデータベースなどのミドルウェアに機能差が生じた場合、システムが正しく動作しない場合がある。また、アプリケーションが業務間で複雑に連携している場合、クラウド化する範囲を明らかにすることが困難」(富士通)というように、業務システムの特性に応じてクラウドが最適かどうかは異なる。

 同サービスでは、顧客の業務システムがクラウドに向いているか、パブリック/プライベートクラウドのどちらが向いているかを分析してから、移行を実施するサービス。顧客は保有すべき業務システムとアウトソースすべき業務システムを分類できクラウド活用がスムーズになるほか、運用・保守も富士通が担当するため、長く安心して利用できる業務システムを実現してTCOを削減できるという。

 具体的なステップとしては、まず「業務・アプリケーション選別サービス」で、独自の分析手法・ツールを用いて、顧客の業務やアプリケーション、サーバーなどのインフラをサービスレベルといった特性に応じて分類。システム全体を「見える化」し、整理整頓する。さらに「見える化」された結果を分析し、業務システムがクラウドに向いているかを「見極め」るとともに、移行後の開発・運用・保守についての最適化を検討する。

 次に「アプリケーション引越サービス」で、「見極め」た業務システムのアプリケーション、アプリケーション環境、データをクラウドへ移行。将来的なインフラ変更の影響をアプリケーションに与えないよう、同社のアプリケーションフレームワーク「INTARFRM(インターファーム)」にも移行する。

 最後に「アプリケーション保守サービス」で、クラウド化された業務システムの開発・運用・保守を富士通が代行。ITILに準拠したプロセスやツールを用いてシステム全体の最適化を図り、運用コストの削減やサービスレベルの向上を実現する。

 価格は個別見積もり。出荷時期は即日。価格例は、50画面(業務処理)を組み込んだシステムの「アプリケーション引越サービス」が200万円から。300画面を組み込んだシステムの「業務・アプリケーション選別サービス」「アプリケーション引越サービス」が2400万円から。

 富士通では、2012年度末までに150億円の売り上げを目指す。




(川島 弘之)

2010/5/11 13:13