サイボウズの中小企業向け「かんたんSaaS」がiPhoneに対応

ソフトバンクモバイルと戦略的提携

【左】サイボウズ代表取締役社長の青野慶久氏、【右】ソフトバンクモバイル 執行役員 法人事業推進本部長の安川新一郎氏

 サイボウズ株式会社とソフトバンクモバイル株式会社は4月22日、業務提携すると発表した。サイボウズの中小企業向け「かんたんSaaS」をiPhoneに対応させるとともに、共同で拡販し、今後3カ月で1万社以上にiPhoneの業務活用を提案するとしている。

 かんたんSaaSは、「SaaS化で使える場所を増やす」「さまざまなアプリケーションを用意して用途を増やす」「インターフェイスを簡素化して使える人を増やす」ことをコンセプトに、中小企業の業務を見える化するSaaSサービスだ。各業界・業種の業務スキルに精通したパートナーが作成した豊富なアプリケーションを、月額500円/ユーザーからの低価格で提供している。


かんたんSaaSの概要提供されているアプリケーション例。顧客リスト

 今回の提携では、かんたんSaaSのUIを改良し、iPhoneから閲覧・投稿できるようにする。「中小企業はスケジュールよりも報告書などを共有したがっている。PCに不慣れな場合もあり、サイボウズ Officeなどの既存グループウェアではニーズにマッチしないことがあった。そこで提供をはじめたのが、かんたんSaaSだが、さらなる普及のためにはスマートフォンとの連携が欠かせない。かつてはエンターテインメント機器のように見られていたiPhoneも、最近は中小企業の関心を集めており、2年もたてば当たり前のように業務に活用されるようになるからだ」(サイボウズ代表取締役社長の青野慶久氏)との考えから、ソフトバンクモバイルと市場を開拓する狙い。

 iPhone対応にあたっては、画面の見た目などで“iPhoneらしさ”を心がけたほか、連携技術もアプリケーションではなく、かんたんSaaSの基盤に実装することで、すべてのアプリケーションでiPhone対応を実現している。今後は市場の動向を見ながら、AndroidやWindows Phoneへの対応も検討するとしている。


リスト管理をかんたんSaaSで。そして、今回それらをすべて一挙にモバイル環境へiPhone対応で心がけた点iPhoneでの利用画面

 スマートフォンの企業活用を飛躍させるかもしれない提携だ。ソフトバンクモバイル 執行役員 法人事業推進本部長の安川新一郎氏も「ある調査機関によれば、2011年にはケータイよりもスマートフォンの出荷台数の方が多くなり、2012年には全PCをも超えると報告されている。一般市場と比べると台数の少ない法人市場だが、法人向けケータイも社長が利用するツールとして広まっていった。それをスマートフォンで再提案できれば、瞬く間に数十万台と出ていく可能性がある。当社としては今回の提携を、なかなか難しい法人市場へもう1回チェレンジするための節目と考えている」と意気込みをのぞかせている。

 両社は「iPhoneで初めての本格的業務アプリケーション群を日本の中小企業に届けたい」との思いで、「お仕事iPhone」キャンペーンを展開する方針。サイボウズはソフトバンクモバイルと提携することで、IT系パートナー以外にソフトバンク販売店からも提案が可能になる。キャンペーンでは、この中からモデルとなる販売店を取り上げ、iPhoneのビジネス利用の活用方法を共同研究するとともに、かんたんSaaSで提供中の「お客さまが見える化セット」(顧客リストや商談管理の機能などを搭載)を8月15日まで無償提供する。「今後3カ月に1万社以上の中小企業へ提案し、3000社へ導入することが目標だ」(青野氏)。




(川島 弘之)

2010/4/22 19:14