テクマトリックス、ソフトウェアアーキテクチャ分析ツールの新版「Lattix 5.6」

IBM Rational Rhapsodyへの標準対応など、大幅に機能を拡充

 テクマトリックス株式会社は4月22日、米Lattixが開発したソフトウェアアーキテクチャ分析ツールの最新版「Lattix 5.6」日本語版を、同日より販売開始すると発表した。

DSMによる構造の可視化
テクマトリックス システムエンジニアリング事業部 取締役事業部長の中島裕生氏

 Lattixは、DSM(Dependency Structure Matrix)手法を使ってソフトウェアの構造と依存関係を可視化する、ソフトウェアアーキテクチャ分析ツール。Java、.NET、C/C++で開発されたソフトウェアを始め、Oracle DatabaseやSQL Serverなどのデータベース、UMLやSysMLのモデルデータなどを静的に解析し、その構成要素(サブシステム、モジュール、ファイル、関数など)の構造と依存関係を表計算(マトリクス)で可視化することができる。

 最新版のリリースにあたり、テクマトリックス システムエンジニアリング事業部取締役事業部長の中島裕生氏は、「Lattixを日本向けに販売開始した当時は、市場からの反応はあまりよくなかった。しかし、ソフトウェアアーキテクチャへの注目度が高まるとともに、Lattixの市場ニーズも着実に拡大してきている。そして今回、約1年ぶりのメジャーバージョンアップとなるLattix 5.6を投入する。最新版では、モデル駆動型開発ツールのIBM Rational Rhapsodyに標準対応したほか、ユーザーからの関心の高いアーキテクチャメトリクスの追加やアーキテクチャ分析の強化など、大幅な機能拡充を行った」と述べている。

 最新版の主な機能強化点としては、前バージョンのLattix 4.8から搭載されたUML/SysML分析モジュールが、IBMのモデル駆動型開発ツール「IBM Rational Rhapsody」に標準対応した。これにより、「IBM Rational Rhapsody」のモデルデータを直接Lattixにインポートすることが可能となり、DSMやアーキテクチャメトリクスによる分析が、より簡潔に行えるようなった。

 また、アーキテクチャメトリクスの追加では、これまで計測可能だった11種類のメトリクスに、新たに約30種類を追加。「これにより、システムの結合度や凝集度、循環度、依存関係の密度といった新しいアーキテクチャメトリクスを数値化して評価することが可能となった。特に循環度は、バグの数との相関関係が非常に高いメトリクスといわれ、計測した数値から相対的にシステムの潜在バグを予測し、テストなどに役立てることができる」(テクマトリックス システムエンジニアリング事業部ソフトウェアエンジニアリング営業部の福永一寛氏)という。

IBM Rational Rhapsodyに対応アーキテクチャメトリクス分析の強化

 あわせて、分析機能の強化も図っており、プログラム階層構造の現状を表示するためのパーティショニングアルゴリズムを6種類から10種類に拡張。循環依存を含まないような並び替えとグルーピングを行う「Component」、Warfieldアルゴリズムによるパーティショニング「Reachability」、クラスタリングアルゴリズムの一種「Proximity」、スペクトラルグラフ分割手法「Spectral」など、今まで以上に多様な分析が行えるようになった。

 さらに、Lattix APIを利用したスクリプト機能を新たに実装しており、GraphVizを利用した依存関係図の生成や、依存関係パスのリストアップなど、Lattix本体のレポート機能では提供されていないさまざまな情報を出力することができる。スクリプトは、今後順次追加していく予定で、将来的にはLattix APIを利用したカスタムスクリプトの作成もサポートする考え。

構造分析機能の強化スクリプト機能による拡張
米Lattix 共同設立者兼副社長のFrank Waldman氏

 なお、Lattix 5.6の製品発表会には、Lattix 共同設立者兼副社長のFrank Waldman氏も同席し、「静的解析ツール市場が大きな伸びを見せている。これは、新しいテクノロジーの登場やWebシステムへの移行が進む中で、多くの企業が従来のシステムをリエンジニアリングする必要に迫られていることが背景にある。また、ソフトウェア品質に厳しい目が向けられており、効率的に不具合を減らす手段として静的解析ツールの需要が高まっている」と、静的解析ツールの市場動向を説明。

 同社のビジョンとして、「アジャイル型開発に対応するため、今後も解析の自動化を推進するとともに、開発者が容易に使えるツールとの統合、連携を図っていく。これにより、アジャイル型開発に最適な、軽量の解析ツールを提供していく」との考えを述べた。




(唐沢 正和)

2010/4/22 18:15