ポリコム、H.264ハイプロファイルに対応した最新ビデオ会議システム

ソフト新版や新インターフェイスデバイスも発表

米Polycom アジアパシフィック地域プロダクトマーケティングマネージャーのJune Shao氏

 ポリコムジャパン株式会社(以下、ポリコム)は4月21日、会議室用ビデオ会議システム「Polycom HDXシリーズ」のラインアップを一新し、全製品をフルHD 1080pおよびH.264ハイプロファイルに対応したと発表した。同時に、会議管理ソリューション「Polycom Converged Management Application(以下、CMA)」とネットワークアプリケーション「Polycom Distributed Media Application(以下、DMA)」の新バージョン、さらに会議室用ビデオ会議システム向けの新インターフェイスデバイス「Polycom Touch Control」も発表された。

 今回の新製品発表にあわせて行われた記者説明会では、米Polycom アジアパシフィック地域プロダクトマーケティングマネージャーのJune Shao氏が2010年度の事業戦略について言及。「当社は2010年、3つの投資分野に注力していく。1つ目が、低価格な会議ソリューションの提供による迅速な投資効果の実現。2つ目が、会議品質の向上。ビデオ、音声をうまく組み合わせ、使いやすく信頼性の高いシステムを提供する。そして3つ目が、ユニファイドコミュニケーション(以下、UC)環境の実現だ。さまざまなUCプレイヤーと協力し、オープンスタンダードによる製品展開を進めていく」との方針を明らかにした。そして、これらの事業戦略に基づいてリリースされるのが、今回の新製品・新バージョンだと位置づけた。


HDX会議室用ビデオ会議システムのラインアップ
H.264ハイプロファイルの概要
H.264ハイプロファイルの例
会議室用ビデオ会議ソリューションの仕様

 会議室用ビデオ会議システム「Polycom HDXシリーズ」の新ラインアップは、「Polycom HDX 6000/7000/8000/9000」の4製品。すべての製品において、高精細映像を実現するフルHD 1080pと鮮明で滑らかなモーションを実現するHD 720p/60fpsに対応。さらに、高品質な映像・音声での通信を半分の帯域幅で実現する映像圧縮技術H.264ハイプロファイルに対応したことも大きな特徴で、「H.264ハイプロファイルに対応したのは当社が業界初。これにより、従来必要だった帯域幅を最大50%削減することができ、低帯域幅で優れた品質のビデオ会議が可能となった。帯域幅を抑えることは、TCOや運用コストの削減にもつながる」(June Shao氏)としている。

 音声については、22kHzの超広帯域ステレオ音声「Polycom StereoSurround」によって、同時に複数人が話した際に遠隔地の話者の位置を音で識別するなど、明瞭な音声による生産性の高い会議を実現する。ビデオ会議の品質面では、「Lost Packet Recovery(LPR)テクノロジー」により、パケットロスによるビデオ会議品質への影響を最小限に抑え、大幅な品質向上を図っている。

 国際標準のH.239技術をサポートしており、PCから有線および無線LAN経由でコンテンツを送信し、遠隔地と共有することも可能。特にPolycom HDX 8000/9000では、映像合成で効果的なプレゼンテーションを行える「Polycom People On Content」機能をサポートしている。

 また、Microsoft Office Communications Server 2007にゲートウェイなどを介さずにネイティブ統合できる機能を新たに追加したほか、従来まで別売りオプションとして提供していたコンテンツ共有機能、映像入出力追加機能、ラインレートアップグレードなどを基本パッケージに含んで提供する。

 なお同社では、Polycom HDXシリーズのラインアップ一新と同時に、中・小規模会議室向けのステレオマイク内蔵フルHD対応カメラ「Polycom EagleEye Viewカメラ」、および42インチ液晶ディスプレイにPolycom HDX 6000とPolycom EagleEye Viewカメラを組み込んで一体化した「HDX EagleEye Viewメディアセンター」も発売すると発表した。

 すべて、4月21日よりポリコムの認定販売代理店よりオーダー受付が開始される。価格はオープン。

 併せて発表された会議管理ソリューション新版のDMA 2.0は、参加者の場所に応じて、多地点会議をインテリジェントにルーティングすることで、帯域幅を効率的に活用し、通話品質の向上を実現する。また、耐障害性を向上したほか、H.323に加えてSIPを新たにサポートすることで、UC環境内でのネットワーク間の相互運用性を向上している。一方、ネットワークアプリケーション新版のCMA 5.0では、ユーザーインターフェイスの改善によりネットワークの管理と柔軟性を向上するとともに、ビデオ会議システムと会議のモニタリング機能を強化し、一貫性のある高品質なビデオ会議を提供する。さらに、ポリコムソリューションの管理サポートを充実させたほか、レポートツールを強化し、使用状況の確認やROIの測定、共有リソースの課金計算も可能としている。

 DMA 2.0、CMA 5.0とも出荷開始は4月末ごろを予定している。ポリコムの保守契約期間中のユーザーには無償で提供される。


CMA 5.0のダッシュボード、モニタリング機能、レポート機能などDMA 2.0のインテリジェントカスケード接続

 会議室用ビデオ会議システム向け新インターフェイスデバイスのPolycom Touch Controlは、7インチカラースクリーンを搭載し、携帯端末のような操作性を実現。基本的なダイヤル発信やディレクトリ検索、コンテンツ共有などあらゆる会議機能を、指先でユニバーサルアイコンをタッチしてスライドしたり、わかりやすい矢印やタブで操作できる。これによって、一般ユーザーもヘビーユーザーも、主要な機能を簡単に使いこなすことが可能となり、ビジュアルコミュニケーションの普及を促進する。

 Polycom Touch Controlは、2010年第4四半期にポリコムの認定販売代理店より販売される予定。




(唐沢 正和)

2010/4/21 17:39