SAPジャパン、2010年度のビジネス戦略について説明


代表取締役社長のギャレット・イルグ氏
SAPの製品戦略
製品ポートフォリオ

 SAPジャパン株式会社は4月8日、2010年度ビジネス戦略に関する記者説明会を開催した。同社では2009年度、顧客中心の戦略を展開し、顧客満足度を大幅に改善したという。2010年度は、この実績をベースに「ビジネスユーザー&プラットフォーム分野の強化」、「SME(中堅・中小企業)ビジネスの拡大」、「サステナビリティの推進」の3点にフォーカスし、国内市場におけるさらなる事業拡大を図っていく方針を示した。

 同社 代表取締役社長のギャレット・イルグ氏は、まず2009年度の事業概況について、「2009年度は、顧客とのパートナーシップに注力し、顧客の声をよく聞き、当社の戦略に反映してきた。具体的には、SAP本社開発部門と世界各国の顧客が直接共同開発する国際規模の開発プログラムとして、Customer Engagement Initiative(CEI)を開始した。これにより、日本の顧客も新製品開発の早期段階から開発に関与できるようになった。また、新たな保守サポートとして、包括的なサポートソリューションのSAP Enterprise Supportと、標準的な保守サポートのSAP Standard Supportを提供し、顧客のニーズに合わせて保守サポートを選べるようにした。こうした顧客重視の戦略を進めた結果、厳しい市場環境の中で非常によい実績を残すことができた」と説明した。

 また、最近のテクノロジートレンドについて、「クラウド」、「モバイル」、「インメモリー」の3つを挙げ、「当社では、これらのテクノロジー変化に対応するため、自社ソリューションだけでなくパートナーソリューションも含めて、オンプレミスからオンデマンド、オンデバイスまで包括的にカバーする製品ラインアップをそろえている。そして、これらのソリューションを、SAPプラットフォーム上でオーケストレーション(連携)できることが、競合他社と異なる当社製品ポートフォリオの優位性であり、顧客のビジネスに大きなメリットを提供できる」としている。

 2010年度のビジネス戦略における重点施策として、1つ目の「ビジネスユーザー&プラットフォーム分野の強化」では、ビジネスユーザー(SAP BusinessObjects)に特化した営業部門をBUP事業本部内に設置し、20人以上のBI/EPM専任営業を業種別に展開していくという。また、「SAP BusinessObjects Explorer」および、あらゆるDB/DWHとの連携を可能にした「BW Accelerator(In-Memory)Wave-2」の展開を開始する。このほか、今年に入って富士通(4/5発表)やテラデータ(3/3発表)、伊藤忠テクノソリューションズ/ネティーザ(3/8発表)との協業および共同アプライアンスの発表を相次いで行うなど、BI領域についても注力していく考え。

 2つ目の「SMEビジネスの拡大」では、中堅・中小企業専任の営業部門およびインサイドセールス(内勤営業)を増強するとともに、「PartnerEdge Program」によるチャネルパートナー販売を強化し、チャネル専任営業部を設置するという。「SAPにとって、SME市場は大きなチャンスと考えている。販売体制の拡充によって、中堅・中小企業向け製品のSAP BusinessObjects Edgeシリーズ、また月額利用料金のライセンスモデルを拡販展開し、新規顧客の大半をSMEビジネスで獲得していく」(イルグ氏)という。

 3つ目の「サステナビリティの推進」については、「2009年には年間で二酸化炭素排出量を15%削減し、掲げた目標値を大きく上回る実績を達成した。これは、約9000万ユーロのコスト削減に値する効果だ」(イルグ氏)という。この実績を踏まえ、2010年度はサステナビリティの統合機能を提供する「SAP EHS Management」の展開とともに、年内には「SAP Carbon Impact」を本格展開する予定。さらに、スマートシティ・プロジェクトへの活動にも取り組んでいくとしている。


(唐沢 正和)

2010/4/8 18:10