「外気空調」は4割ほどの電力削減効果、IDCフロンティアが実証


 株式会社IDCフロンティアは3月29日、データセンターにおける外気空調の実証実験により、最大4割弱の消費電力削減効果が確認されたと発表した。

 実証実験を行ったのは、同社が福岡県北九州市に構えるデータセンターコンプレックス「アジアン・フロンティア」。独自の空調最適化ソリューション「GreenMail」を備え、需要に応じて1棟ごと建設していくモジュール方式を採用するのが特長だ。

 今回、「空調動力の削減のため、十分に確保された上げ床高、天井高」「外気を取り入れ、排熱を室外に排出する外気空調」「ホットアイルの閉じ込め方式」といったGreenMailの仕組みを生かし、商用データセンターで通常の利用状況に限りなく近い環境で、2009年11月~2010年2月の間、外気空調の実証実験を行った。

 この結果、外気空調の効果を確認。従来の空調に比べ、最大4割弱の消費電力削減効果が得られたと発表した。これは、1000ラック規模のデータセンターで金額換算して、実に4000万円強/年におよぶ効果という。また、外気空調で懸念されていた結露や空気質悪化、稼働中のサーバーへの悪影響も観測されず、「外気空調と従来型空調システムを組み合わせることで、省エネルギー化を補完し、より大きな効果が期待できる」としている。

 さらにサーバーからの廃熱を利用した温室栽培実験も実施。実際にパプリカなどを育てた結果、冬季に必要とされる暖房の代替エネルギーとして廃熱が有効であることが確認され、「ITと農業の融合の可能性を予見させる結果が得られた」と述べている。

 同社では、同実験の成果を踏まえ、外気空調と従来型空調システムの効果的活用や、より実効性のある空調コンセプトや設備開発を進めることで、環境配慮と競争力のあるサービスを実現する方針。

アジアン・フロンティア外観【左】、温室栽培実験棟【中】、野菜の育成状況【右】





(川島 弘之)

2010/3/29 15:37