GoogleもAzureも-富士ソフトがクラウド分野でマイクロソフトと協業強化

秋葉原に「マイクロソフトソリューション&クラウドセンター」開設

富士ソフト代表取締役社長の白石晴久氏(右)とマイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行氏(左)
富士ソフト代表取締役社長の白石晴久氏

 富士ソフト株式会社とマイクロソフト株式会社は3月18日、クラウドとオンプレミスの両分野でのビジネスを推進することで合意したと発表。これに伴い、富士ソフトは同日付けで「マイクロソフトソリューション&クラウドセンター」を同社秋葉原ビル内に開設した。

 今回の協業強化について、富士ソフト代表取締役社長の白石晴久氏は、「クラウドコンピューティングビジネスは、2012年には2兆円を超えるという予測もあるが、実際にお客さまと接していても関心が高まっているのを実感している。とはいえ、すべてをクラウドというのではなく、オンプレミスのシステムと併用したハイブリッド型に対する要望が高い」と、単純にすべてをクラウド化するのではなく、なんらかの形で既存システムと併用した使い方に関心が集まっていると紹介。

 「マイクロソフトはオンプレミスのシステムで高い実績があり、最近ではBPOS(Microsoft Business Productivity Online Suite)やWindows Azureなどクラウドでの存在感も高まっている。特に、マイクロソフトが提唱する“ソフトウェア+サービス”は、富士ソフトの方針にも合致するもの」と、協業を強化することが顧客ニーズに的確に応えるものになると判断したと経緯を説明した。

 今回の協業強化では、1)専門部署の新設、2)サービスパックメニューの増強、3)セミナー開催、4)センター開設、の4つを柱に取り組むと発表。

 専門部署の新設では、1月付けでマイクロソフト専門の事業部門としてMSユニットを新設。「これまでもメーカー専門の部門は用意してきたが、百名規模は今回が初めて」(富士ソフト専務取締役の吉田實氏)。国内の全拠点に専門の担当者を配置し、営業・技術の両面で顧客対応を行う。

 サービスパックメニューの増強では、4種類から13種類に拡大。「従来は案件ごとに見積もっていたが、今回ニーズに沿ったメニューを用意した。これにより、価格が明確になり、汎用化されたものを利用することで短期間で導入するといったメリットが得られる」(吉田氏)と、説明する。

 セミナー開催では、両社共催のセミナーを全国各地で年間30回開催する。「毎回テーマを設定して、お客さま視点でソリューションの価値を提案する」(吉田氏)。


専門部署の新設サービスパックメニューの増強セミナー開催

 センター開設は、最新テクノロジーを体験できるように設置されるもので、マイクロソフトソリューション&クラウドセンターが同日開設された。同センターでは、セミナーや最新製品のデモンストレーション、体験型プログラムの提供、顧客窓口などが提供される。


同日開設したマイクロソフトソリューション&クラウドセンターセンターは、解説ゾーンと検証ゾーンで構成。検証ゾーンでは実機を操作して体感できる解説ゾーンは、対話型のブリーフィング施設となっている

 同社はGoogleとも代理店契約をしており、Google Appsの販売も積極的に行っている。同社との関係について、白石氏は、「われわれは独立系ベンダーであり、ユーザーのニーズに応じて対応できるようにしている。とはいっても、多くの企業がマイクロソフトのソフトウェア資産を持っており、今回の取り組み強化はユーザーにとって有力な組み合わせになるといえる」と、顧客の要望に応えるための体制強化であると述べた。

マイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行氏

 マイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行氏は、「今回の協業により、お客さまにとって、オンプレミスのメリットとクラウドのメリットを、柔軟に組み合わせてビジネスニーズに対応させることができる。その結果、業務効率の改善とITコストの削減につながり、全体最適化が図れると考えている。われわれの準備ができていなかった面もあり、クラウドでは最初から強い連携はできなかったが、富士ソフトが持つ高い技術力とソフトウェア+サービスによる新たな市場の創出を期待している」と、オンプレミスだけでなくクラウド分野でも強い連携を継続する考えを示した。



(福浦 一広)

2010/3/18 17:00