富士通、データセンターに特化した高密度サーバー「PRIMERGY CX1000」

集中冷却方式採用で省電力・省スペースを実現

今回発表されたPRIMERGY CX1000、左は同社執行役員常務 システムプロダクトビジネスグループ長の佐相秀幸氏

 富士通株式会社は3月17日、ラックあたり38サーバーノードを搭載可能な高密度サーバープラットフォーム「PRIMERGY CX1000」を発表した。全世界で同日より販売を開始する。

 PRIMERGY CX1000は、クラウドコンピューティング向けのサーバープラットフォームで、数十台から数千台規模のスケールアウト型システムに適した製品。開発コンセプトは“Keep it simple”。「データセンターが抱える課題として、高密度化が進んでも、サーバー台数も増加しており、ファシリティコストが増大するというものがある。台数が増加することによる運用保守コストも課題だ。また、消費電力や床荷重などファシリティとの不整合も問題化している」(同社IAサーバ事業本部長の河部本章氏)と、単純に高密度化したサーバーやブレードサーバーだけでは課題は解決できないと指摘。

 今回、サーバー単位での最適化ではなく、ラック単位で最適化を図ったのがPRIMERGY CX1000。サーバー単体には冷却ファンを装備せず、ラック上面に2個の大型ファンを搭載してラック単位で集中冷却する方式を採用。「既存のラックサーバーの場合、ラックあたり300以上の小型ファンが搭載されていたが、PRIMERGY CX1000はサーバーそのものからファンを削除することで、約13%の省電力化を実現した」と紹介。


サーバーノード「PRIMERGY CX120 S1」すべての操作をフロントで行えるデザインを採用データセンターでの利用に最適化するよう、シンプル化を追求
シンプル設計のサーバーノードと専用ラックにより、ラック単位で最適化を実現大型ファンによる集中冷却方式を採用同社の最新モデルと比べて13%の省電力化を実現

 サーバーそのものの構造をシンプルにしたことで、軽量化も実現。これにより、床荷重の問題もクリアしたとしている。シンプル化は運用管理の面でも生かされており、フロントアクセスですべての作業が行えるデザインを採用。この結果、ラック背面が重なるように設置できるため、設置スペースも約40%削減できるようになっている。


集中冷却方式とラック背面のメンテナンスフリー化で背中合わせの設置が可能ホットアイルを解消したことで、設置スペースも約40%削減高密度化と軽量化により、ラックそのもののデッドスペースも解消

 サーバーノード「PRIMERGY CX120 S1」には、Xeon 5500番台および同日発表されたXeon 5600番台を搭載。メモリは最大64GB、2.5インチHDD×2、Gigabit Ethernet×2などで構成される。

 Xeon E5506×2、HDDなし、メモリ16GBのサーバーノード38台で構成された最小構成の場合で、価格は1480万円(税別)から。同社では、2010年度100ラック(3800ノード)を国内で販売することを目標としている。

執行役員常務 システムプロダクトビジネスグループ長の佐相秀幸氏

 同社執行役員常務 システムプロダクトビジネスグループ長の佐相秀幸氏は、「企業内クラウドなど、自社システムの“所有”から“利用”というクラウドコンピューティングの流れが進んでおり、2012年にはサーバー出荷台数の約28%がクラウドコンピューティング向けになるという調査結果も出ている。こうした時代に合わせて、クラウドコンピューティングへの対応をサーバー戦略のひとつとして掲げており、これに沿ったのがCX1000」と、クラウドコンピューティングに適した製品であると強調。また、昨年完全子会社化したFTSで開発された製品でもあり、「グローバルビジネスの強化・拡大を担う製品。ワールドワイドで同時に販売する」と、海外でも積極的に展開する製品であると述べた。





(福浦 一広)

2010/3/17 13:13