PBC、IFRSに対応した中堅・中小向けERP「Dynamics NAV」新版

利用者ごとのポータル機能やWebサービスとの連携機能を搭載

 株式会社パシフィックビジネスコンサルティング(以下、PBC)は3月4日、マイクロソフト株式会社の中堅・中小企業向けERPパッケージ「Microsoft Dynamics NAV」の新版「Dynamics NAV 2009 SP1 ロールテイラード版 日本語バージョン」を発表した。4月下旬より販売を開始する。

 マイクロソフトのDynamicsは、CRMソフト「Dynamics CRM」、ERPソフト「Dynamics AX」「Dynamics GP」「Dynamics NAV」「Dynamics SL」で構成されているが、マイクロソフトの日本法人が日本語版として提供しているのは、Dynamics CRMとDynamics AXの2製品に限られている。今回、PBCが発表したDynamics NAVは、英語版ライセンスをマイクロソフト日本法人が提供し、その上にPBCが開発した日本化機能を組み合わせることで、日本語版として提供されるもの。


Dynamicsの製品ラインアップDynamics NAVが提供する機能Officeなどマイクロソフト製品と密に連携
取締役社長の小林敏樹氏
ロールテイラード版では、プレゼンテーション層、アプリケーション層、データ層の3階層システムに対応
ロールセンターの画面。利用する人の役割に応じて表示される機能が異なる。また、Outlookとの連携を強化しており、受信トレイやカレンダーなどがロールセンターから直接確認できる

 今回発表されたロールテイラード版は、Web技術を採用し、3階層システムに対応しているのが最大の特長。同社取締役社長の小林敏樹氏は、「既存製品であるDynamics NAV 2009 Classicは、2階層(クライアント・サーバー)で提供されていたが、ロールテイラード版は、中間にWebサービスやクライアントサービスを提供するアプリケーション層を用意しているのが大きな違い。これにより、Webサービスとの連動といった機能に対応できる」と紹介。

 また、ロールセンターと呼ばれるWebポータル機能を新たに採用。これは、利用ユーザーごとに利用頻度の高い機能をあらかじめ事前に定義したもので、業務別に21パターンが用意されている。同社取締役 戦略事業推進室 室長の吉島良平氏は、「業務担当者別に用意されたポータル画面で、ログインすると最初に表示されるのがロールセンター。ユーザー自身で画面をカスタマイズすることができる」と、ロールテイラードという名前の通り、役割ごとにあわせて作られた画面を利用することができる。Outlookとの連携も強化されており、受信トレイやタスクリストをそのままロールセンターの画面上に表示することができるようになっている。

 このほか、図やグラフを挿入する機能など、レポーティング機能も強化。レポートをExcel形式で保存する機能も用意されている。「ダブルバイトに対応していなかった部分だったので、ローカライズに時間がかかった部分。ただし、今回ローカライズを済ませているので、次期バージョンからの対応は容易になっている」(吉島氏)と、日本で受け入れられる機能に仕上げるのに時間がかかったことを紹介した。

 3階層化したことで、Webサービスとの連携が容易に行えるようになっている点も紹介。「一般的なWebサービスプロトコルによって定義されたものとして呼び出すことが可能。外部からのデータアクセスのほか、内部ロジックを利用したい得意先・パートナーが利用するのに適した機能」(吉島氏)と述べた。

 また、Dynamics NAVはデンマークの会社が開発した製品ということもあり、IFRSを意識した製品に仕上がっている点も特長として挙げた。「勘定科目を慈愛に構造化し、各基準で必要な開示項目の設定や計算の定義ができるなど、ヨーロッパで作られた製品であることから、IFRSへの機能面での対応はすでに済んでいるといえる」(吉島氏)と、IFRS対応も完了していると紹介した。


マイクロソフトDynamicsビジネス本部 本部長の中西智行氏

 発表会には、マイクロソフト Dynamicsビジネス本部 本部長の中西智行氏も出席。「今回発表されたロールテイラード版は名前のとおり、いろいろな役割ごとにポータル画面が用意されているのが特長。マイクロソフトは、すべての働く人の生産性を、ITを通じて向上させることを目的としているが、今回の製品は全社員がバックエンドのデータを活用できるのが大きな機能となっている」と紹介。「PBCのスキルを活用していただいているDynamics NAVは、日本のビジネスプラクティスにあわせて機能が追加されており、日本市場にマッチした製品に仕上がっている。より広く価値を提供していただけると考えている」と述べた。

 価格は、基本ライセンスが31万3000円、ユーザーライセンス(11ユーザー)が310万2000円、日本語版基本パッケージが200万円。





(福浦 一広)

2010/3/4 17:08