EMCジャパン、ハイエンドストレージ「V-Max」の仮想プロビジョニングを強化

8Gbps FCへの対応や拡張性の強化も実施

EMC Symmetrix V-Max
8Gbps FICON/FCに対応した

 EMCジャパン株式会社は2月23日、ハイエンドストレージ「EMC Symmetrix V-Max」の機能強化を発表した。インターフェイスの高速化、仮想プロビジョニング(シンプロビジョニング)機能とスケーラビリティの拡充、といった強化がなされている。

 EMC Symmetrix V-Maxは、システム容量を柔軟かつ大規模に拡張可能な「Virtual Matrixアーキテクチャ」に対応するストレージシステム。必要に応じてスケールアウト型の拡張を行える点が特徴で、コントローラ部である「V-Max Engine」は、搭載するディスクやインターフェイスの必要量に応じ、最小2台から最大8台までの拡張が可能になっている。

 今回はまず、EMC Symmetrix V-Maxが8GbpsのFCと8Gbps FICONに対応し、オープンシステム、メインフレーム双方に対しての接続性が向上した。8Gbps FC/FICONは同一筐体で利用可能なほか、遠隔地へのレプリケーションについても8Gbps FCをサポートしているので、より高速なデータ複製を可能にしている。

 また、共用ストレージプールを利用し、物理的なストレージ以上の容量をアプリケーションに提供できるようにする「仮想プロビジョニング」機能についても強化が図られた。具体的には、ストレージプールの拡張時や縮小時に、自動的にデータの再配分を行えるようになったほか、「EMC TimeFinder/Clone」ソフトウェアによって、物理ボリュームから仮想ボリュームへのクローン作成が可能になった。

 この移行の際、一度データが書き込まれてから削除されるなどして、何もデータが存在しなくなっている領域(ゼロスペース)をボリュームから削除することもでき、効率的なディスク容量の再利用が可能になっている。テクノロジー・ソリューションズ本部 プロダクト・ソリューションズ統括部 マネージャーの笹沼伸行氏によれば、すでに存在する仮想ボリュームからゼロスペースを削除する機能はもともと搭載しているが、この場合はオンラインのレプリケーションを止める必要があったとのことで、仮想ボリュームへの移行時にゼロスペースを削除できる今回の機能強化により、効率のよいゼロスペース削除を行えるとしている。

仮想プロビジョニング機能の概要仮想プロビジョニング機能における強化テクノロジー・ソリューションズ本部 プロダクト・ソリューションズ統括部 マネージャーの笹沼伸行氏
V-Max Engine 2台時と4台時の搭載可能なドライブ数を拡張している

 スケーラビリティについては、V-Max Engine 2台時と4台時において、搭載可能なドライブ数を2~2.5倍に拡張した。最大搭載数が、2台時は480台から1200台へ、4台時は1200台から2400台に拡張されたことで、2エンジンで930TB、4エンジンでは1.8PBの最大有効容量を実現可能。データウェアハウス・リポジトリなど、大量のデータを扱うアプリケーション環境において、ストレージコストを従来より最大で約20%削減できるという。この拡張の理由として笹沼氏は、「SATA HDDに大量データを保管するお客さまからの、よりドライブ数を増やしたいというニーズと、1000台を超える環境で実績を積んだこと」の2つを挙げている。

 このほか、単相電源オプションによる、より広いデータセンター要件への対応、300/450/600GB FC HDD(1万rpm)のサポート、といった強化も行われた。

 なお、これらの新機能は、これから提供されるEMC Symmetrix V-Maxに追加されるほか、最新のファームウェアや追加ハードウェアの導入によって、既存ユーザーも利用可能である。




(石井 一志)

2010/2/23 16:24