日立がIFRS支援事業を強化、グループ6社と専門組織を発足へ


コンソーシアムで提供するサービス・ソリューションの概要

 株式会社日立製作所(以下、日立)は2月17日、国際財務報告基準(IFRS)導入支援ソリューション事業を強化すると発表した。日立グループ各社と共同で、技術・ノウハウ・人材を結集した「日立IFRSソリューションコンソーシアム」を3月1日に立ち上げる。

 IFRSは、IASB(国際会計基準審査会)が欧州連合(EU)諸国を中心に国際統一化を進めている会計基準。日本においても2015年に強制適用が予測され、任意適用が可能となる2010年以降、上場企業を中心に対応検討が本格化すると見られている。IFRS導入は、連結グループ会社で業務の共通化・標準化が進み、経営効率を高める機会である同時に、業務上・システム上で対応すべき課題があるのも事実。

 日立は、2010年1月から「IFRS導入支援ソリューション」を提供しているが、新たに日立IFRSソリューションコンソーシアムを立ち上げ、今後の本格導入期に向けて、より迅速な支援体制を整える。

 同コンソーシアムは、日立コンサル、日立システム、日立情報、日立ソフト、日立電サ、ビジネスブレイン太田昭和の6社と共同で発足し、会計分野のシステム構築に精通するとともにプロジェクトマネジメント力、業務ノウハウを有するエキスパート100名(コンサルタントおよび営業40名、SE60名)で構成。エキスパート教育カリキュラムにより、人員のレベルアップ・体制強化を継続し、2011年度には200名規模まで拡大していく。

 同コンソーシアムでは、IFRS導入の初期段階で直面する「人材育成」「既存システムへの影響」「システム改修に伴うコストイメージ把握の難しさ」などの不安を解消する「IFRS対応エントリーサービス」の提供をはじめ、いくつかの新たな取り組みを実施する。

 新たな取り組みとしては、短期間でIFRS導入が可能となるシステム連携ツールの開発に着手。「SAP Business Objects Financial Consolidation」を日本企業向けに本格適用するため、導入支援ドキュメント「HITRY/FC(Financial Consolidation)」を開発し、4月から提供を開始する。また、ユーザー企業が連結グループ内で利用する異なる業務システムを連携するソリューションも提供。SAPのほか、Oracleの「E-Business Suite」、日立の「GEMPLANET Ver.2」、日立ソフトの「Fit-ONE」などの連携を実現するという。さらに金融機関向けソリューションとして、金融商品会計評価・仕訳ルールエンジン「FlexFinance」を中核としたソリューションも提供する。

 こうした施策により、IFRS導入時の上流(IT部門向けトレーニングやITインパクト診断)から下流(運用サポート)まで、ワンストップで支援し、会計ソフトのバージョンアップ対応や財務情報などのXBRL対応まで広範囲にカバーする考え。


(川島 弘之)

2010/2/17 12:18