デルがPAN Systemの優位性を説明、「仮想・物理サーバーの統合管理が可能」


PANの仕組み
システムズ・ソリューションズ統括本部 アドバンスド・ソリューション開発本部 ビジネスディベロプメントマネージャの馬場健太郎氏
サーバーとI/Oを抽象化して定義し、物理・仮想サーバーを一括管理する

 デル株式会社は2月12日、ブレードサーバーを用いたクラウド基盤ソリューション「Dell PAN(Processing Area Network) System」に関する説明会を開催。その特徴についての説明を行った。

 デルが自社のブレードサーバーで提供しているPAN Systemは、もともと、イージェネラが自社のハイエンドブレードサーバー「BladeFrame」を中核として提供してきたもの。CPUやメモリといったコンピューティングリソースをプール化し、ユーザーの必要に応じて柔軟にシステムを組み立てられることから、自由度が高く、同時にリソースの無駄が生じにくい特徴を持つ。イージェネラでは、リソース管理ソフトウェア「PAN Manager」と専用ハードウェアのBladeFrameを用いて、一体型のソリューションとして提供を行ってきたが、2007年に他社への提供を表明。2009年7月より、デルが、自社のブレードサーバーに搭載して、国内でも販売を開始していた。

 近年ではハイパーバイザーを利用したサーバー仮想化ソフトの利用も広まっており、これらに向けた統合管理ソフトウェアも提供されているが、PANソリューションがこれらと違うのは、インフラ全体を管理可能な点だ。システムズ・ソリューションズ統括本部 アドバンスド・ソリューション開発本部 ビジネスディベロプメントマネージャの馬場健太郎氏は、「ハイパーバイザー型の仮想化製品が広まっているが、インフラ全体をそれで構築できるかとなると話は別。Oracle Databaseのサーバーや基幹サーバーなどは物理サーバーのままで残ることが多く、仮想化サーバーと管理が二重化してしまう」という点を指摘。PAN Managerであれば、物理サーバーとXenベースの仮想化サーバーの双方を一元して配備・管理できるため、大きなメリットがあるとした。

 そのサーバー配備に関して、容易な操作性を提供できる点も特徴で、仮想化サーバーや可用性を強化するためのHAクラスタの配備も、特別な知識を要することなく、GUIで簡単に行える。このため、管理者への教育工数も少なくて済むし、HAクラスタソフトウェアを購入して導入する、といった煩雑な作業も不要になる。さらに、リソースの移し替えにも手間がかからないことから、夜間や週末だけ別のアプリケーションに差し替えたり、アプリケーションのピーク時にあわせて割り当てるサーバー数を増やしたり、といったことも簡単に行えるという。

 またデルならではの特徴としては、ハードウェアからソフトウェア、保守までを含めたオールインワンで提供できることのほか、セッティングを済ませてから出荷するため、電源を入れたらすぐに利用できる、ターンキーソリューションである点が挙げられる。加えて、このソリューションで利用するSANストレージについても、FC SANやイコールロジックのIP SAN製品など多くの製品を扱っており、そこについてはイージェネラとも差別化できるとした。

 なおデルでは、社内でプライベートクラウドを運用したい企業や、顧客にサービスとしてPaaSなどのクラウドサービスを提供したいプロバイダ/xSP向けに訴求したい考え。前者ではその例として、パナソニック電工インフォメーションシステムズ(パナソニック電工IS)への導入事例を紹介。同社のような情報システム子会社が、グループ各社へサービスを提供するような際にPANソリューションが活用できるとした。また、後者の例としては、新日鉄ソリューションズの例を紹介している。

パナソニック電工ISの事例新日鉄ソリューションズの事例





(石井 一志)

2010/2/12 18:20