米SonicWALL、無制限ユーザー対応の小規模向けUTM「TZ 100シリーズ」

無線LAN付きUTMも再展開、「Clean Wireless」の価値を訴求

TotalSecure TZ 100【左】と同 Wireless【右】
上位機種との比較

 米SonicWALL 日本支社は1月20日、小規模ネットワークやホームオフィス向けのエントリーUTMアプライアンス「TotalSecure TZ 100シリーズ」を発表した。価格は11万4000円(税別)からで、販売は同日より順次開始される。

 TZ 100シリーズは、「TotalSecure TZ 180シリーズ」シリーズの後継として提供されるUTMアプライアンス。ファイアウォール、VPN(IPsec/SSL)を中心に、ウイルス/スパイウェア対策、IPS、Webフィルタリングといった機能を統合して提供する。

 従来、SonicWALLが提供するUTM製品は、機能やニーズに応じて「SonicOS Enhanced」と、機能を絞った「同 Standard」のいずれかを搭載していたが、TZ 100シリーズはエントリー機でありながらも、SonicOS Enhancedを採用。より細かな設定が可能になった。また、利用可能なユーザー数に応じて10ユーザー版/25ユーザー版/無制限版の3種類を販売していた販売方法をあらため、価格を抑えつつ、無制限版へ一本化している。

 セキュリティ機能面では、TZ 180シリーズと同等の機能を備えながら、処理能力を高速化しており、最大100Mbpsのファイアウォールスループット、最大75MbpsのVPNスループット、最大25MbpsのUTMスループットを実現した。

 価格は、100BASE-TX/10BASE-Tポートを5基備えたベーシックモデル「TZ 100」が11万4000円(税別)から、IEEE 802.11b/g/n対応の無線アクセスポイントを備えた「TZ 100 Wireless」が12万円(同)から。本体の価格には、初年度の保守やウイルス対策のサブスクリプション、SSL-VPNの1ライセンス(最大拡張5ライセンスまで)が含まれている。発売は、TZ100が1月20日、TZ 100 Wirelessが3~4月の予定で、後者については、TZ 100と同額で提供する発売記念キャンペーンを、出荷開始から3カ月間行う予定。

日本支社代表のマイク小池氏

 SonicWALLがこのキャンペーンを実施する背景には、国内での無線LAN機能付きUTM市場を開拓したい、という狙いがある。米国では、市場の一定の割合を無線LAN機能付き製品が占めていることもあり、同社をはじめ数社から無線LAN機能付きのファイアウォールが提供されていたが、「市場には価格の安い無線LAN製品が多く、過去はセキュリティへのニーズがなかった」(日本支社代表のマイク小池氏)ことなどから、国内では定着しなかった。SonicWALL側でも、安価な無線LAN製品との比較をしてしまっていたため、価格面で不利になる無線LAN機能付き製品の価値を訴求し切れていなかった側面もあったという。

 しかし同社では、「SMBにおいてもセキュリティへのニーズが高くなっているので、市場を作っていける可能性があると思っている」(小池氏)との考えから、市場を開拓するパイオニア的製品として、TZ 100 Wirelessを市場へ再度投入する。その具体的なメリットとしては、きちんとセキュリティが確保された「Clean Wireless」という概念を訴えていく考え。セールスエンジニアの澁谷寿夫氏は、「無線LANでは、通信自体のセキュリティはWPAやWEPなどの技術で保護されるものの、通信の中身自体がきちんと検査されているわけではない。Clean Wirelessは、有線と無線の間のトラフィックをUTMで精査することにより、セキュリティを高めようという考え方。さらにSSL-VPNとの併用により、より細かな、極端にいえばファイル単位でのアクセス制限も可能になる」と述べ、こうしたメリットを訴えかけていくとしている。

 なおSonicWALLでは、単体で提供しているメールセキュリティ製品の機能をベースにした迷惑メール対策の機能も、今後、UTMアプライアンスに追加する予定。来週にも提供される予定の「SonicOS 5.5」から、オプションライセンスを契約すると、IPレピュテーションを併用するクラウドサービス「Comprehensiveアンチスパムサービス」が利用可能になる。価格は10ユーザー(メールアドレス)・1ドメインの場合で7万8400円(税別)/年から。最大250ユーザーまでのライセンスが用意されている。




(石井 一志)

2010/1/20 16:50