デルに聞く、10GbE対応iSCSIストレージ投入が意味するもの


 デル株式会社は、10Gigabit Ethernet(10GbE)対応のiSCSIストレージ「EqualLogic PS6010/6510シリーズ」を発表した。今回、EqualLogicを担当されている、ラージエンタープライズマーケティング ジャパン・マーケティング本部シニアマネージャーの小松原真一郎氏、およびシステムズ・ソリューションズ統括本部イコールロジックビジネス本部 ストレージソリューションアーキテクトの山田祐輔氏に、iSCSIストレージのマーケットや、10GbEをサポートした意義などを伺った。


―デルのデータセンター製品に関するストラテジーはどういったモノになっていますか?

ラージエンタープライズマーケティング ジャパン・マーケティング本部 シニアマネージャーの小松原真一郎氏
10GbEのEqualLogicだけでなく、10GbEのスイッチPowerConnect、サーバー用の10GbE NICを発表。これにより、一貫した10GbEのソリューションが提供される

小松原氏
 デルは、「Simplify IT」というコンセプトに基づいて、データセンターなどで必要とされるサーバーやストレージ、ネットワーク製品などを提供しています。他社は、データセンターで使用される製品を垂直統合型のコンセプトで、すべてのレイヤーにわたって自社製品でまとめようとしています。特定の企業の製品でまとめることが、効率化につながると考えているのです。

 しかし、デルは、まったく反対の考え方で、業界標準のテクノロジーを利用して、顧客にとってメリットのある効率化というものを提示しています。このため、自社製品だけでなく、業界標準を採用しているサードパーティとアライアンスを組んで、顧客に最もフィットしたシステムを提供していきたいと考えています。

 今回発表した10GbEのiSCSIストレージEqualLogic PS6010/6510シリーズは、ブロケードやジュニパーのネットワーク製品と組み合わせて利用できるようにしています。単に、ブロケードやジュニパーなどのネットワーク製品をOEMしてもらうだけでなく、自社ブランドで提供することで、業界標準になっているサーバーやネットワークスイッチ、ストレージなどの10GbEソリューションを、相互互換性をテストした上で提供していきます。

 ブロケードやジュニパーの製品は、日本国内では2010年から提供する予定です。また、米国では、Cisco製品も提供しています。このため、Cisco製品の国内での取り扱いも計画しています。


―iSCSIストレージのEqualLogicで10GbEをサポートすると、どのようなことが変わるのでしょうか?

小松原氏
 10GbEをサポートしたことで、iSCSIストレージのEqualLogicは、8GbpsのFC(ファイバーチャネル)を超えるパフォーマンスを実現します。さらに、パフォーマンスで8GbpsのFCを超えながらも、コスト的には8GbpsのFCより最大76%も削減します。


10GbEのEqualLogicは、8Gのファイバーチャネルよりも高いパフォーマンスを持つ。さらに、FCよりも低コストでシステムが構築できる10GbEのEqualLogicは、仮想化、統合、パフォーマンス面で大きなメリットがある10GbEのEqualLogicは、ケーブル数を少なくし、バックアップにかかる時間を短縮する

 8GbpsのFCは、SANストレージとしてよく知られていますが、コスト的に高価です。一方、iSCSIストレージは注目はされていましたが、ネットワークが1GbEということで、パフォーマンス面で8GbpsのFCと比べると劣っていました。しかし、EqualLogicで10GbEをサポートすることで、8GbpsのFC以上のパフォーマンスをiSCSIでも提供できるようになりました。

 日本国内でもSANストレージにiSCSIを利用しようというお客さまは増えてきています。実際、リーマンショック以降も、iSCSI市場は順調に伸びてきています。その中でもデルは、EqualLogicやPowerVaultなどのiSCSI製品により、日本のiSCSI市場の4割以上のマーケットシェアを取ることができました。

 EqualLogicが10GbEをサポートしたことにより、パフォーマンス面でFC SANストレージを選択されていたお客さまにとっても、十分に満足いく製品になったと思います。あとは、多くのお客さまがiSCSIストレージのコスト面のメリット、管理面でのメリットを体験していただければ、今後もiSCSIストレージの市場は拡大していくと思っています。

デルシステムズ・ソリューションズ統括本部 イコールロジックビジネス本部 ストレージソリューションアーキテクトの山田祐輔氏
デルは、国内のiSCSI市場でトップシェアを持つ(IDC Japanのデータから)

山田氏
 日本市場では、iSCSIストレージのマーケットは拡大していますが、米国ほどではありません。これは、ある意味iSCSIストレージに対する実績といったことがあるのかもしれません。

 iSCSIストレージが登場した2000年あたりは、エンタープライズ分野で利用するには十分なパフォーマンスや機能がありませんでした。こういった初期のiSCSIストレージを導入した方々が、FC SANストレージに戻っていかれたのを見て、iSCSIストレージは使えないという印象を持たれたのだと思います。

 しかし、現在のiSCSIストレージは、FC SANストレージと対抗できるだけの十分なパフォーマンスと機能を持っています。また、信頼度も初期のiSCSIストレージと比べれば、エンタープライズ分野での高い要求に応えられるモノになっています。

 今回発表した10GbEのEqualLogicは、FCよりも高いパフォーマンスを持つSANストレージといえると思います。

 10GbEのEqualLogicを利用すれば、以前の1GbEのiSCSIストレージでは、若干パフォーマンスに難があった、大規模なデータベース、ストリーミングメディア、HPCなどの用途においても、FCストレージを超える性能を出しています。

 さらに、10GbEの提供と同時にアップデートされたEqualLogicの新ファームウェア4.3では、ストレージグループあたりの最大容量が、460TB以上に拡張されています(以前は115.2TB)。

 10GbEのメリットとして、結構重要な点だと思うのが、ケーブルの本数が少なくなったことです。1GbEのPS6000シリーズは、パフォーマンスを出すために、1コントローラに1GbEの回線が4本ありました。さらに、信頼性を高めるためにコントローラを二重化しているため、1GbEのケーブルが全部で8本ありました。

 10GbEのPS6010シリーズは、コントローラあたり2本の10GbEをサポートしています。システム全体では4本の10GbEケーブルを使用します。つまり、1GbEのEqualLogic製品と比べると、半分のケーブルで済みます。

 結構細かなことですが、実際データセンターに設置する場合などは、ケーブルの本数が少なくなることは、設置やメンテナンスにとっては大きなメリットがあると思います。


―10GbEのEqualLogic製品は、PS6010/6510シリーズだけですが、PS4000シリーズなども対応していくのですか?

山田氏
 10GbEに関しては、ハイエンドからミッドレンジ製品という位置づけなので、ローエンドのPS4000シリーズやPowerVaultなどには導入されないと思います。また、既存のPS6000シリーズをお使いのユーザーには、アップグレードキットとして、10GbEのコントロールユニットを提供する計画はあります。ただ、現状では計画中としかいえません。

 個人的には、10GbEのサポートにより、SSDのiSCSIストレージが注目を集めるのではと思っています。SSDを使用した場合、HDDより容量が少なく、コストも高くなりますが、性能は抜群です。特に、ネットワークが10GbEになったことで、SSDのパフォーマンスが十分に生かせると思います。ずばぬけた性能が必要といった用途には、10GbEのSSD iSCSIはぴったりでしょう。


―他社では、複数のiSCSIストレージを組み合わせて、ネットワークRAIDを構築できるような製品もでてきていますが?

山田氏
 EqualLogicは、ストレージに特化して設計されています。このため、単体で負荷バランシングや高い信頼性を持っています。また、拡張オプションとして、同じSAN上にあるEqualLogicと統合して使用することができます。

 ネットワークRAIDのようなコンセプトを持ち込まなくても、十分に単体製品で、高い信頼性を持つストレージシステムとして完成されていると思います。ネットワークRAIDは、ある程度の耐障害性を持つには、3台以上必要になるので、コスト的にも高くなります。

 EqualLogicなら、3台買わなくても、1台で十分なパフォーマンスと信頼性があると思います。


―ありがとうございました。





(山本 雅史)

2010/1/5 09:00